南
えっ、と……
黙り込んでしまう部長。
南
(あ、またこの香り……)
咄嗟に腕で鼻を覆い、後ずさる。 前みたいなことになったら大変だ……
高平
……南?
南
待っ、今近付かないで下さい!
少しずつ歩み寄ってくる高平部長。
彼の首元には、昨日噛み付いた部分に絆創膏が貼ってあった。
南
……!
食べたい。
高平
南は、フォークか?
目を逸らしながらコクコクと頷く。 昨日の食感が思い出され、唾液が止まらない。
高平
昨日、その……帰ったあと
高平
お前の、気持ちよさそうな顔を……反芻して思い出してしまった。
南
……どーゆー、ことすか?
高平部長の耳は真っ赤に染まっている。
赤く熟れている、舌触りが柔らかそうだ。
高平
あと……最初は痛かったが
高平
噛まれた部分が段々と、温かくなってきてしまって
高平
その……
高平
えぇと……
突然モゴモゴし始める。 その姿さえ、愛おしいほどに美味しそうだと感じる。
高平
……絶頂に、達してしまった
南
ぶ、部長が?
認めたくないのか、少し眉間にシワを寄せながらゆっくりと頷いた。
高平
だ、だからッ……!
高平
そんなみっともない事が有るわけない、と思って
高平
もう一度、確かめたかったんだ。
南
なる、ほど……
理性が飛びかけている状態で、そう頼まれたのだから仕方がない。
南
では、いただきます。
高平
ま、待て、今か?
南
……え?
この人はバカかと思った。 もうここまで来て、抑えられるわけがない。
高平
明日は、公休だから……
南
すみません、もう無理す。
高平
え、ぁ゛うッ?!
首を一度舌で嗜んだ後、優しめに噛み付く。
高平
南、ぅあ、駄目だ……!
喉仏のコロコロした舌触り。
南
(ぁあーー、美味ぇ……)
深くキスすると、他の部位とは違う旨味が溢れてくる。
高平
ん゛ん゛ッ……!!は、ァ
南
ッはぁ……部長〜、気持ちいすか?
涙と汗でぐちゃぐちゃになっているその姿に、加虐心が引き立てられる。
南
勿体ね……
涙を指で受け止め、味わう。
高平
はぁーッ、うぅ゛
南
部長さぁ……
高平部長は恐怖を感じているようだが、その奥には恍惚の表情も見えた。
南
確かめたいからって……言い訳ですよね?
南
本当は、また気持ちよくなりたかったんじゃないすか?
高平
……違、う
図星を突いたのか、若干目が泳ぐ。 顔はさらに赤みを増し、香りが濃くなった。