ピンポーン
平日の昼間。 久しぶりのオフの日にわざわざ瑠姫の部屋のインターホンを押す奴がいるとするならば、おそらくコイツだろう。
純喜
まだ扉を開けてもいないのに、普段から大きい声のコイツは遠慮なく話しかけてくる。
純喜
瑠姫
純喜
なぜオフの日まで労力を使わなければいけないのか、普通ならそう考えてしまうのだが、大好物の“ハンバーガー”を引き合いに出されては瑠姫も簡単に突き返すことはできない。
時計を見ると昼の1時を少し過ぎたところ。 正直、ちょうどご飯を食べようかと迷っていたところではあった。 瑠姫はため息をついて、玄関の扉を開けた。 するとそこには、両手に袋を持ってとびきりの笑顔を向ける純喜の姿があった。昼の太陽の眩しさも相まって、瑠姫は眩しそうに眉を顰める。
純喜
さも当然のように勝手に部屋に上がっていき、楽しそうに鼻歌を歌いながらテーブルの上にハンバーガーを並べ始める恋人を、瑠姫は少し呆れたように見守った。 おそらくこんなことができるのは、この世で純喜くらいだろう。普通の人はこの部屋にすら入れないのだから。
瑠姫
純喜
瑠姫
コイツは本当に無意識に人をドキドキさせる。 そんなところがリアコ製造機と呼ばれる所以なのだろうけど。 瑠姫もグループの中では王子様ポジションで、こんな台詞には慣れているのだけれど、日常生活の中でこんなにもさらっと言えるのだから、純喜も相当罪深い男である。早くその自覚を持って欲しいものだ。 だから瑠姫はいつも心の中でゲームを始める。その名も “純喜のメロい言動にトキめかないゲーム”
純喜
瑠姫
純喜
瑠姫
純喜
人差し指を口の前に当ててニカっと笑う純喜の笑顔にまた胸がギュッとしてしまう。JAMの気持ちが痛いほど分かるよ… そして瑠姫のトキメキHPは消耗される。
純喜
瑠姫
純喜
目を大きく開いてキラキラさせながら頬を膨らませて勢いよくがっつく純喜に、ふふっとつい笑ってしまう。ダメだ。また胸が…こんなんじゃすぐにゲームに負けてしまうではないか。 瑠姫の好みを知り尽くした純喜が選ぶハンバーガーは間違い無く美味しくて、それもまた嬉しくなる。
瑠姫
純喜
ここに来てやっと瑠姫のカウンターパンチが炸裂する。 突然の瑠姫の行動に驚いて体を大きく後ろに逸らしたかと思えば、今度はハンバーガーを置いて頭を抱えて項垂れる純喜を横目に、瑠姫は意気揚々と大好きなハンバーガーを味わう。 俺だって簡単に負けるわけにはいかない。なにしろJO1の王子様担当なのだから。世のJAMたちをメロメロにさせてきた自負がある。
瑠姫
純喜
瑠姫
純喜
勢いよく顔を上げてまっすぐ見つめてものすごい前のめりでそう言った。これだから無自覚は困る。 さっきまで散々人の心を弄んでいたくせに。 ま、今は俺の方が少し優位に立ったようだけど。
瑠姫
純喜
うっ… そんなまっすぐな目で言われたら…
瑠姫
純喜
瑠姫
純喜
少し口を尖らせて、まるで子犬のように目をまん丸にさせ、上目遣いで見てくる。分かる。みんなこの純喜の顔に弱いだろ。それは瑠姫も同じな訳で。
瑠姫
純喜
瑠姫
純喜
いつの間にか形勢逆転されている。おかしい。さっきまでこちらが優勢だったのに。
瑠姫
純喜
瑠姫
純喜は手に持ったままのハンバーガーを奪うと、瑠姫の顎に手を添えてチュッと唇に口付ける。 少し塩分を含んだ味に舌なめずりをして、もう一度軽くキスを落とす。
純喜
瑠姫
純喜
真昼間の部屋はまだ明るく、遠くで活発な外の音も聞こえている。 ここでYESといえば、瑠姫の敗北が決まったようなもの。もしかしたら他のメンバーにも聞こえるかもしれないし、マネージャーから連絡が来る可能性だってある。 だけど…
瑠姫
純喜の指で、唇で、熱い体で愛される方を選んでしまったが最後。たかが外れたようにベッドになだれ込み、日が暮れるまで激しく求め合う。
瑠姫
純喜
顔を隠すように腕を顔の前で交差させる瑠姫だったが、純喜がその腕を掴んで顔の横に縫い付ける。 瑠姫の色気を含んだ乱れた顔に、中のモノがズンと質量を増すのが分かった。
瑠姫
純喜
瑠姫
純喜
瑠姫
瑠姫は純喜の首に腕を回して何度も唇を押し当てる。 小鳥のような短く軽い可愛らしいキスで満足できるほど子供ではないが、純喜はそんなキスも可愛くて好きだ。
可愛いなぁ…なんて考えていた純喜だったが、突然瑠姫の熱い吐息が耳にかかり、悪魔か天使かわからない低く甘い囁きが聞こえた。
瑠姫
その瞬間、瑠姫が純喜の肩に噛みつき、その上に舌を這わせた。ゾクリと身震いした後、じんわりと熱くなり、そこから全身に一気に血が回ったような気がする。
純喜
瑠姫の腰を掴むと一心不乱に奥を突き立てる。 綺麗な顔が崩れても、眉間に皺が刻まれて苦しそうな顔をしても、声が枯れても止まってやれない。 純喜の目に映る美しい恋人は、天使なのか悪魔なのかなんて考えていられないほどに、ただ本能のままに腰を振る。 瑠姫も自分に必死に愛をぶつけてくる恋人を見上げるのも結構好きだったりするわけで。
純喜が仕掛けて、今度は瑠姫が仕掛ける。 きっとこうなることは、瑠姫がこの部屋の扉を開けた瞬間から決まっていたのだ。 どちらも自分が勝ったと思っているだろう。 本当はとっくにどちらも負けているのに。
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てんさいです