桃赤
「莉犬!俺は今お前との婚約を破棄する!」 まだ寒さの厳しい新年の宵 年に一度行われる国王陛下の誕生祭 会場中に広がるその声でその場に居る皆が注目する 皆が見る先にはとある女の子を腕に抱え指をさす殿下と殿下に抱えられ、涙目で見つめるヒロイン そして婚約破棄を言い渡された私 思わずため息が出てしまった 「分かりました。」 そう言って私は2人に背を向け歩き出す 「…っおい!何も気にならないのか?!」 「いえ別に」 歩く足を止めずにそう答えると殿下は私に何か叫びながら追いかけて来て見事に転んだ ドスーンという音に誰もが笑うのを堪えきれずクスクスと笑っていた 「……………は、ダサいですわね 殿下としての自覚を持ったらどうなのです?はしたない。第一婚約破棄をしたのに追いかけてくるとはなんなんです?女の子1人残して」 「…な、だ、大体お前がフェアルのことを虐めるからだろう!」 『フェアル』それはこの世界。つまり乙女ゲームの主人公の名前 私はその悪役令嬢に転生してしまったのだ 「………… はぁ、私が何をしたの言うのですか?」 「お前がフェアルに水をかけたりしただろう!」 「していません。あれはフェアル様が水やりの時転けて自ら被ってしまったところをたまたま近くにいた私がフェアル様に水をかけたと勘違いしたんです」 「…っんなわけあるか!お前はフェアルのドレスを破っただろう!!」 「いいえ。あれは舞踏会の日柱から釘が飛び出ていることに気が付き報告をしに行ってる間にフェアル様が気づかずに当たってしまい破れてしまったものです」 「それと私はお前ではありません」 「それでは、急いでおりますので」 再び歩き出すと後ろから私を呼ぶ声が聞こえて振り返るとフェアル様が眉を下げ不安そうな表情をしていた 周りの方に見えないようにピースサインをするとフェアル様は目から大粒の涙を流した そのまま会場の大きな扉をキィィィィ…バタンと閉めると膝から崩れ落ちるように座り込んだ 「莉犬…っ!」 「さとみさん…」 あらかじめ外で待っていたさとみさんが私に駆け寄り腕の中に抱き締める 「……さとみ様、婚約破棄された人にこんな行動してはいけませんよ」 「…婚約破棄をしたのなら、もういいよな」 そう言ってさとみさんは私の唇を塞いだ
~ end -
コメント
6件
フォロセ終わったのでフォロー失礼します🙇 一つのテキストに書いてある系最近めっちゃ気に入ってるんでなんか嬉しいです、笑 一つ一つの言葉がとても綺麗で大好きです💗
どゆこと…
転生系とかやばいわぁ…主様天才…?