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【Escape】

第2話 - 『感染』

132

2022年02月22日

#ワイテルズ

鈴召灯依

あの子

むにゃむにゃ…

nakamu

わ…寝てる。

きりやん

この子の精神力おかしいわ絶対

あの子

んぅ、すぴぃ…

nakamu

変に薬入れるより良いよ。

nakamu

連れて行こう？

あの子

ふぁあ…おはよぉ…

きりやん

呑気ぃ…！！

nakamu

おはよ。いきなりで悪いけど…

nakamu

実験台になってよ。

nakamu

まあ…
君に拒否権なんて無いけど。

特に驚いた様子も見せず余裕そうに身体の上で手を組んで呆れる様に微笑んだ

あの子

あぁ…やっぱそっちかー…

あの子

いや、考えては居たんだけど
予想と違っちゃったなぁ…‪w

きりやん

今からされること
理解してない感じ？
それとも無駄な現実逃避してる？

あの子

理解はしてるよ。

あの子

でも残念ながら
キミ達のしたい様にされるなんて
御免なんだよね。

寝かせられていたソファからゆらりと動く。幸い他の薬剤なんかは入れられてないみたいだ。軽い身体のまま机にあった書類の束を一瞥した。

nakamu

やっぱり…
もっと色々入れておけば
良かったかな？

あの子

そうかも。

あの子

これでも私、
運動神経は良いから。

きりやん

それで？逃げたりすんの？
同じ様に俺達を
嘲るんだ？

あの子

そんなことしないよ。
しても良い事無い。

nakamu

でも君がしてるのは
逃げる素振りだよ？

nakamu

大人しくしてほしいな、
出来るだけ
傷付けたりしたくない

あの子

大人しく？やだ。絶対に嫌。
だってその薬、
欠陥品にしか思えないんだもん

あの子

…これじゃダメだよ。

あの子

今のままだと本来の効果が見込めない。

きりやん

…何言ってんの。

あの子

ワイテル病の改善点だよ。

あの子

中枢神経系への作用を高める。
そうすれば
不穏だったりとか
言語障害が引き起こされるよ。

あの子

まあ、全部
先輩の受け売りだけど。

nakamu

ふーん…良いの？
敵に塩を送る真似なんてして。

あの子

良い。だって…

あの子

面白そうじゃん。

nakamu

…なんだか似てるね、
こんな計画を
面白い、なんて。

nakamu

どうなの？きりやん。
あの子が言ってるのは。
正解？

きりやん

あーぁ…

きりやん

悔しい事に全て合理的だ。

きりやん

でもどうする？
それを実現出来る訳ない。
理想と現実は違う。

あの子

そんな事言ってたら
新しい病なんて
生まれないよ？

あの子

理想を捻じ曲げるんじゃない。

あの子

現実を思う様にすればいい。

nakamu

………

nakamu

真っ向から否定された気分。

あの子

それはごめん。

nakamu

でも、ちょっといいなって
思った。

きりやん

まだまだ
改善しなきゃいけないのは
事実だし、

きりやん

俺も一理あるかもってなった。

あの子

私はキミ達が壊した世界が
見たいだけだよ。

あの子

後は…みんなの元に早く帰りたい

nakamu

その皆って誰の事？

あの子

別世界のキミ達？‪w

きりやん

はあ…？？

あの子

ま、私は私で
帰れる方法を探すよ。

あの子

切羽詰まってる訳じゃないから

nakamu

じゃあ薬作りに専念出来るね！

きりやん

…できるけど…えぇ…？

きりやん

協力…させんの？

nakamu

利用出来るなら
全部利用しつくそうよ？

あの子

そうだ。

あの子

そこ2人にちょっと聞きたいの。

nakamu

何？

きりやん

ん？

あの子

実験台は私だったんでしょ？

あの子

別に受けても大丈夫だけど、
多い方が良いよね？
他とか居ないの？人間。

きりやん

言い方‪が凄いわ。

nakamu

うーん…昨日3人来たけど

nakamu

無断で持ってきたら
怪しまれるんだよね。

きりやん

ホントあのクズ院長は
早く何とかした方がいい。

あの子

その患者、
死んだって事にできないかな？

きりやん

…出来なくは無い、多分

あの子

患者が死んだなら
責任感だって持つ筈だよねー、
正常な人間であればあるほど。

nakamu

一石二鳥出来るなら試してみる？
きりやん。

きりやん

鵜呑みにはしたくないけど…
言ってる事は
的を得てるんだよなぁ…。

あの子

失敗なんて有り得ないよ。

あの子

怪しまれたら未完成の薬でも
打ち込んで殺せば良いから。

きりやん

はいはい…。

きりやん

じゃ、明日にでもやろう。
nakamu。

nakamu

…うん。

nakamu

ねぇ。

あの子

…私？

nakamu

そう。

nakamu

この協力関係が続く限りは
宜しくね。

あの子

こちらこそ。

あの子

どうぞ宜しく。

11月20日見覚えのある容姿と声を持つ 2人に出会った。この関係を通して帰る手立てを探そう。

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