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_____

はっ………

_____

此処………は…

目の前の女に触れられた瞬間、頭が真っ白になる

頭が回らない、何もかも理解できない

今この瞬間どんな状況なのか、目の前の人物は誰なのか

そもそも自分は何なのか

そんな疑問のみが頭を埋め尽くす

_____

此処は……何なんだ…?

_____

僕は…何をしているんだ…?

自身の頭に触れている女に問い掛ける

目の前の女の左手には水色の宝石らしき何かが掴まれている

雹華

あら、お目覚め?

雹華

気分はどうかしら?

_____

お目覚め……?

_____

僕は眠っていたのか…?

雹華

そういう訳では無いけど……そんな感じね

_____

そう…なのか……

_____

あの…さ………

_____

ちょっと良い……?

雹華

何かしら?

_____

頭を掴むのを……やめてくれる…?

雹華

あら、痛かったかしら?

_____

まあ……ちょっと

雹華

そう、ごめんなさいね

雹華

でも、もう少しやらなければいけない事があるの

目の前の女は___の頭を掴む力を強める

_____

うっ…………

_____

やめて……くれ…って言ってるだろ……!

雹華

ごめんなさいね……

雹華

でも…今の貴方の状態だと不完全なの……

雹華

私にとって完璧にするには……

目の前の女は更に手の力を強める

_____

ぐっ………ぁ…

雹華

私にとって都合の良い記憶を入れ込む必要があるの

_____

……………!?

女がそう言った瞬間、脳内に何かが流れ出す

それは、ありもしない筈の記憶

ありもしない筈だった記憶

出生から幼少期、学生時代

様々な記憶が流れ出す

その記憶にはどれも目の前の女が映り込んでおり

目の前の女はまるで家族の様だった

女は頭を掴む力緩める

雹華

どう?思い出せた?

_____

思い出せたって……

_____

今のは何だったんだ…?

雹華

貴方の過去の出来事よ

雹華は優しく微笑む

雹華

貴方は昔…私に拾われたの

雹華

貴方の実の両親は本当に酷い奴らでね……

雹華

貴方を道端に捨てて…何処かへ行ったの

雹華

貴方が道端に捨てられているところを私が見つけて……

雹華

拾って…育て上げたのよ

_____

そう……なのか…?

脳内に流された記憶を辿ってみる

そこには確かに自分を拾って育ててくれた雹華の姿があった

雹華

思い出せた?

_____

え…あ……

_____

うん

若干記憶について疑問に思いつつも、脳裏には雹華に育てられた記憶が焼き付いている

_____

じゃあ……僕は…

_____

君の息子って事で良いのか…?

雹華

ええ、そうよ

雹華

あら、忘れちゃってたの?

_____

え……あ…

_____

ああ……

雹華

そう……

雹華

でも…思い出してくれたみたいで良かったわ

雹華は此方に手を近づける

先程の様な事をされるのではないかと身構える…が

雹華は優しく頭をポンポンっと叩く

雹華

まあ……私の大事な子だものね

雹華

私の事を忘れる筈が無いわ

雹華は頭を撫で続ける

その手は目一杯感情を込めて動かしている様に見えるが

体感、感情のこもっている様には感じることができなかった

雹華

もう忘れたなんて言わないでね?

雹華

私との思い出……忘れないでね…?

雹華は心配そうな表情をしながら此方を覗き込んでくる

それは心配の表情とは裏腹に圧の様なものも感じられる

_____

え…………あ…

_____

うん

流れに合わせ、つい肯定的な返事を返してしまう

雹華

そう、それで良いのよ

雹華

貴方は一生私に従っていればいいの

雹華はそう言って微笑みを浮かべる

その微笑みにはどこか余裕の様な何かが感じられる

雹華

さて…と……

雹華

この子の記憶も入れ替えられた事だし…

雹華

この計画も…そろそろ終わりにしましょうか

雹華

今…この計画を完成させるのよ

雹華はスッと立ち上がり、玉座の近くに置いてある機械へと目を向ける

_____

どこに……行くんだ…?

雹華

何でも無いわよ

雹華

すぐに戻ってくるから、安心してね

雹華は微笑み返す

雹華は機械の方へと歩いて行く

雹華

さて……黒桜が作ってくれた機械を使う時が来たわね

雹華

ついに……ついに…

雹華の手は少し震えている様に見える

雹華の興奮し、震える姿に恐怖さえも感じる

雹華は一歩一歩機械に歩み寄り始める

そして、機械に触れる

雹華

このボタンを押してしまえば…全ては私のもの…

雹華

全ては私にひれ伏し……私を信仰する…

雹華

く…くく…………

雹華

ふふふ……はははは!

_____

っ…………?

気が狂った様な雹華の様子に恐怖を覚える

雹華

ふぅ……一旦落ち着きましょう……

雹華は機械に触れる手を離す

雹華

そうね……

雹華

このボタンを押した後………

雹華

この世界は完璧になる…

雹華

でも…何だか物足りないわ

雹華

そうね…

雹華は視線を機械から別の方向へと変える

雹華

もっと……もっとこの世界を完璧にする方法…

雹華

そう…ね…

雹華は一つの方向を訝しげに見つめる

雹華

まずは…私の事を裏切った奴らから始末するところからね

雹華の見つめる先には倒れ込む何人かの少年たちが居た

赤ちゃん…銀髪の少年……更にはバナナの様な姿の者も居た

_____

え…………?

_____

始末するって…

_____

そこに居る子達を…殺してしまうのか…?

雹華

ええ、そうよ

雹華

察しが良いわね、貴方は

_____

でも……可哀想じゃ無いか……?

_____

そもそも…その子達は何をしたんだ…?

雹華

この子達……?

雹華

この子達は…

雹華

私の計画を邪魔した、それだけよ

雹華は冷たく言い放つ

_____

で…でも……

_____

殺すのは……

雹華

何?命の恩人に向かって口答え?

雹華

貴方…何様なの?

雹華は此方を睨みつける

_____

………

_____

(そうだ…この人は…僕を拾って育ててくれたんだ……)

_____

(命の…恩人なんだ……)

_____

(だから…口答えなんてダメだよね……)

_____

ご…ごめんなさい

雹華

………

雹華

そう、それで良いのよ

雹華は短く言葉を言い放ち、再び地面に倒れ込む少年達の元へと歩いて行く

_____

(これで…良いんだよね)

_____

(だって……この人が言ってる事なんだもん)

_____

(この子達の事なんて…知りもしないし…)

_____

(この子達なんて………)

「忘れるな!」

_____

え………?

「忘れたのか!?生徒達の事を!」

心の奥底から何かが訴え掛けて来る

それは……僕の奥底に刻まれている記憶

僕自身の思い

_____

な…何これ………

「大事な生徒なんだろ!?それなのに…それなのに忘れたのか!?」

「あれだけ…あれだけ生徒達を大事に思っていたのに……」

「誰よりも……生徒達が記憶を失ってしまった事を悲しんでいたのに……!」

「今度は自分自身が忘れたのか!?」

_____

大事な……

_____

生徒………?

「生徒の事を忘れるなんて……教師として失格だろう!?」

_____

教……師…?

_____

僕は……僕は…

_____

ぐっ………う……

頭が痛む

過去の記憶が脳裏に浮かび始めるのを何かが阻害する

_____

ぐ……ぁ…

「思い出してよ!生徒達の事を!」

「君の人生とも言える生徒達の事を!」

_____

人生……生徒…教師…………

頭の中がモヤで溢れる

「僕自身の大事な生徒の事を…!」

_____

僕自身の…記憶………

_____

生徒………!

頭の中に何かが浮かび始める

「馬鹿だし女の子好きだけど…友達思いの怪力………」

_____

ミスター………赤ちゃん…?

「IQ200、スクール1天才で……ミステリアスな…………」

_____

ミスター…ブラック…?

「建築が上手くて…誰よりも優しい…キレッキレのツッコミ…」

_____

ミスター……銀さん

「秘密基地作りが上手でアイスが大好き…だけど物凄い臆病」

_____

ミスター…ブルー

「授業もサボるし盗みはする……でもとっても弟思い」

_____

ミスター…レッド

_____

とにかくお金持ちで自信満々……でも世界最弱

_____

ミスターマネー

_____

射撃の天才でスクールで生徒最強…

_____

ミスターバナナ

_____

そうだ……そうだよ…

_____

僕にはこんなに大事で…個性的な生徒達が居たんだ………

頭の中に次々と生徒達との記憶が浮かび始める

生徒達とのかけがえの無い記憶

記憶を抜かれても尚、心身に刻まれている記憶

忘れなんかしない、大切な記憶

_____

そうだ……そうだよ…

_____

僕は雹華の息子なんかじゃ無い…!

_____

あんな記憶…全て虚妄の記憶さ

_____

本当の僕の記憶はそんなもんじゃ無い……

_____

心に深く刻まれていて……消えてしまう事なんて無い

_____

僕は……

_____

僕はすまないスクールの生徒を受け持つ教師

すまない先生

すまない先生だ

そう呟いた瞬間、全ての記憶が脳内に溢れ始める

雹華の能力さえも凌駕するほどの記憶

心に刻み込まれて居る記憶

自身の強い思いが、雹華の能力を打ち消す

すまない先生

はっ………

すまない先生

記憶が……戻った…?

すまない先生

ほ…本当に戻ったのか!?

すまない先生

石触ってないのに!?

すまない先生

な…なんかよく分かんないけど……

すまない先生

良かった…

すまない先生

って…こんな事言ってる場合じゃ無い!?

すまない先生

雹華は!?

周りを見回し雹華を探す

雹華の姿が目に留まる

そこには生徒に一歩一歩歩み寄る雹華の姿があった

雹華

貴方達…すぐに殺してあげるからね…

雹華

これが私を裏切った罰よ

雹華

地獄で後悔しても遅いんだからね……?

雹華

さようなら、私の子

すまない先生

待て!雹華!

雹華に向かって叫ぶ

その瞬間雹華の視線が此方に向く

雹華

何?

すまない先生

生徒達に手を出すな!

すまない先生

手を出したら……許さないからな!

雹華

生徒達……って…

雹華

貴方……記憶が戻ったの!?

雹華

は…………?

雹華

だって…記憶の石は私の手元にある筈よ!?

雹華

何で……何で記憶が戻ったのよ……!

雹華

って………

雹華

記憶の石が……無い…?

ミスターブラック

貴方、知らないのですか?

ミスターブラックがいつの間にかすまない先生の背後に立っている

すまない先生

え!?ミスターブラック!?

ミスターブラック

貴方の能力の元になっているのは「ポーション」

ミスターブラック

「ポーション」という物は必ず能力が付与される制限時間があります

ミスターブラック

貴方の能力の効力はたった今、切れたのです

ミスターブラック

効力が切れると同時に、記憶の石は持ち主の元へと帰って行きます

ミスターブラック

現に私は、記憶を取り戻すことが出来ています

ミスターブラックはポーションについての説明を淡々と言い連ねる

雹華

な………

雹華

能力が……切れた…?

雹華

嘘……でしょ…?

雹華

じゃあ……私の世界を手に入れる計画は…台無しになったの…?

雹華

人々を支配する計画は……パーになったの…?

ミスターブラック

そうです

雹華

何で……何で…………

雹華

何でなのよ!

雹華

なんで私ばかりが不運な目に遭わなければいけないのよ!?

雹華が唐突に叫び声をあげる

すまない先生

ちょっ…落ち着けよ!

雹華

嫌だ!能力が無くなるなんて嫌よ!

雹華

こんなの…こんなのおかしいわよ!

雹華

何で私ばっかり!何で…

雹華

もう嫌よ!

すまない先生

落ち着けって!

雹華

落ち着ける訳無いじゃない!

雹華

貴方には到底分からないでしょうね!

雹華

私の…私の気持ちなんか!

雹華が何度も悲鳴に近い叫びをあげる

雹華

うわぁぁぁぁぁぁぁ!何で…何でなのよ!

雹華

もう……どうすれば…

雹華

っ……………?

雹華がふと顔を上げ、何かに気がつく

雹華の視線の先には能力を放出する事ができる機械が置かれている

雹華

(あの機械……まだ中に能力が籠っているのよね…?)

雹華

(なら…まだ諦める必要は無い…)

雹華が一目散に機械へと走り出す

すまない先生

ちょっ!?急に走り出してどうしたんだ!?

ミスターブラック

!?

ミスターブラック

先生!あの機械には能力がまだ残っています!

ミスターブラック

雹華が…あの機械を使おうとしてます!

すまない先生

!?

すまない先生

つまり……マズいって事か!?

雹華は機械に向かって走っている

すまない先生

早く…止めないと!

雹華を止めるべく、すまない先生も走り出す

雹華

あの機械を使えば……私の夢は叶う…

雹華

私の夢が…

雹華

私の夢が叶うのよ!

雹華

これで…!これで!

雹華が機械に触れようとしている

すまない先生

マズい……!!

今までにない程のスピードで走る

だが、雹華に追いつく事が出来ない

雹華が機械に手を伸ばす

雹華

これで!!

雹華が機械に付いているボタンに触れる

カチッ

ボタンが雹華の手によって沈む

その瞬間、機械に付いているアンテナから何かが発射される

すまない先生

!?

ミスターブラック

!?

雹華

これで…これで………!

広間の中に発射された何かが降り注ぐ

だが、アンテナから放射される物はすぐに止まる

雹華

あ…あれ………?

雹華

機械が…壊れた……?

雹華は何度も機械に付いているボタンを押すが、反応が無い

雹華

何よ……これ……

雹華

不良品じゃないの!何よこのガラクタ!

雹華

ふざけるんじゃないわよ!

雹華は何度も機械を蹴り上げる

すまない先生

機械が壊れたのか!?

ミスターブラック

そうみたいですね……

ミスターブラック

今がチャンスですよ!先生!

すまない先生

ああ!

雹華に向かって再び走り出す

すまない先生

雹華!これだけの事をやって許されると思うなよ!

拳を振り上げる

雹華

!?

雹華

ちょっ………な……

すまない先生

あぁぁぁぁぁ…………

すまない先生

すまなぁぁぁぁぁいっ!!!

振り上げた拳を雹華に向ける

雹華

ぐふぅ………!?

雹華の腹に拳が直撃し、雹華が吹き飛ぶ

雹華は吹き飛んだ瞬間、意識を失う

すまない先生

すまない……と言いたいところだが…

すまない先生

君は悪事を働きすぎた

すまない先生

今から……たっぷりと罰を受けてもらわないとね!

忘れてしまったとしても

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コメント

10

ユーザー

ふぁー?!?!! 最高では?!?! 自分はテストでしんだぞ☆

ユーザー

ミスターブラックと先生記憶戻ったァァァァァァ!!雹華は…ピーしてからピーしてぶっ◯すぜぇ!(((

ユーザー

すまない先生とブラックきちゃああ~!!!!すまない先生の潜在意識マジですげえな!! 雹華可哀そうって思ってたけどやっぱ許せねえな!先生手貸しまっせ! ブラック…何かいきなり記憶戻ってんのに超冷静だな流石っすパイセン。 もう一つ質問良いかな。他の生徒どうなったん?(特にブルーの…何か伏線?)

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