この作品は「5分後に意外な結末」という本を参考にしています
その鏡は、真実だけを告げる、魔法の鏡だった。 その鏡の持ち主である美女が、朝目覚めてすぐに、 魔法の鏡に話しかけた。それが彼女の日課なのだ。
na
na
そ れ は、 貴 方 様 で す 。
na
そ れ は、貴 方 様 で す 。
na
そ れ も 、貴 方 様 で す 。
10 年 後 __ 。
今朝も、いつもどおりのやりとりが繰り返される。
na
そ れ は、貴 方 様 で す 。
na
そ れ は 、貴 方 様 で す 。
na
そ れ も 、貴 方 様 で す 。
10年の時が、美女の容姿を衰えさせていた。 しかし、この鏡は本物の魔法の鏡。 絶対に嘘は言わない。 美女は、さらに魔法の鏡に問いかけた。
na
na
na
しかし、答えはすべて同じ。 面白くも何ともない。それでも美女は色々な 質問をし続けた、そして、質問が尽きると、 小さな声でつぶやいた。
na
その言葉に対しては、魔法の鏡は何も答えなかった。 「質問」だとは認識しなかったのかもしれない。
美女は最後に、もう1つだけ質問をした。
na
それは、貴方様です。
__私は、一日のほとんどをこの鏡と会話して過ごす。 こんなことをして何になるのだろうと思いながら、 それでも私は鏡と話をする。だって、 私が話せる相手は、この鏡しか居ないのだから。
十数年前、小さな戦争が引き金となり世界大戦が勃発し、 地球を破壊させるほどの兵器が使われ、人類は絶滅した。 たった1人、奇跡的に生き残った彼女が、毎日鏡に話しかけるのは、
寂しさを紛らわすためなのか、 ほかに生存者がいるかを探すためなのか__ それは、もう彼女自身にも分からなかった。
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