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ガチャリ、とドアが開く音がして、しゆんさんが部屋から出てきた。 顔は既に生気が抜け落ちている。
ゆきむら。
しゆん
コクリと頷いたのを確認して、マグカップを二つ用意する。お湯が沸くのを待つ間に彼を盗み見ると、疲れた顔でスマホを眺めていた。
目が死んでる。
しゆん
そっと手からスマホを抜き取って、代わりにマグカップを渡す。彼の目の前にスマホを裏返して置くと、ちょっと驚いたような顔をして…また元に戻った。
絶対いつも何か無理してる。 そんなに僕は頼りないものだろうか。
ゆきむら。
しゆん
彼がこちらを向く前に、思いっきり彼を抱きしめた。 親が小さな子供にするような、子供からすると苦しいようなやつ。
しゆん
肩に顔を埋めると、しゆんさんの匂いが僕を優しく包む。こうしたら、少しは話してくれると思ったけれど、流石に嫌…かな。
ゆきむら。
そう言って僕が顔を上げたのと、手に生温い液体が落ちてきたのはほぼ同時だった。
しゆん
ゆきむら。
我慢してたのか、しゆんさんの目からはとめどなく涙が溢れてくる。
しゆん
しゆん
ゆきむら。
しゆん
泣き叫ぶ彼は今にも壊れてしまいそうだった。 ゆっくりと触れた背中は、なにかに怯えるように震えていた。
ゆきむら。
しゆん
ゆきむら。
しゆん
しゆんさんはいつも誰よりも努力してて頑張ってるの、僕は知ってるんだから。
ゆきむら。
しばらく背中をトントンしていると、静かな寝息が聞こえてきた。 疲れてたんだろうな。最近ずっと仕事だったみたいだし。
ゆきむら。
また、彼が心から笑ったところがみたいな。