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青
しーん、と静まり返った保健室。
俺の呼吸する音だけが響く。
………………否、もう一人の呼吸音も。
水
すやすやと眠るそいつは、反対側に寝返りを打ち、俺に背中を向ける。
青
青
少し呆れたようにいったその発言は、どうやらそいつに響いたようだ。
水
向こうを向いているので、表情は分からないが、耳の赤さが物語っていたので。
青
近くまで寄り、そっと髪を撫でる。
青
水
からからと乾いた音を立てて閉まった保健室のドア。
いつもは、学校だからと言い二人きりのときでも撫でてくれたりしないのに。
水
青
自身のデスクに座り、パソコンを叩く。
青
堪えきれない笑いが出てきてしまい、慌てて咳で誤魔化す。
その笑いの原因は、アイツ。
先程の、保健室で眠る発端となった出来事。
水
何を思う事も無く、ただグラウンドを歩いていたとき。
生徒
生徒
水
横を向くと、そこには豪速球のボールが飛んで来ていた。
水
慌ててボールを受け止めようとするも、虚しく。
僕の顔面が凹むのではないかと言う程、ボールに強打した。
水
青
笑いを抑えるため、一旦咳を吐く。
そして、教師としての威厳を取り戻し、早速仕事に取り掛かる。
青
約1時間程、集中して仕事を終わらせた。
ここの校長曰く、
桃校長
ということらしい。
ので、普段も定時前後には帰れている。
青
特にこの後準備をして置かなければいけないこともないし。
何より、今日は華金なので早く帰ってだらだらと過ごしたい。
青
青
教師用の玄関から出た直後。
俺は固まっていた。
青
何故なら。
水
さっきまで保健室で健やかに眠っていたそいつが、能天気そうに声をかけてきたからだ。
青
流石に、あんな豪速球を顔に受けたやつだし、心配になる。
水
水
そう言いながらも、何だかいつもより奥ゆかしい感じがして。
こいつにしては珍しい雰囲気だったので、つい問い掛けてみた。
青
青
そう言って、少し頬に手を添えたとき。
水
青
肩が跳ね、頬も赤らまっている気がする。
青
青
次の言葉を発した途端、唇に柔らかいものが降ってくる。
水
青
慌てて唇を離し、周りをきょろきょろ見回してから彼の方を見る。
青
水
青
俺の言葉と被さって、よく聞こえなかった言葉を聞き返す。
水
青
言葉の意味を理解する。
いつもは、自分から言ってこないのに。
水
水
袖を掴んで離さない彼。
きっと、否と言ってもついてくるつもりだろう。
だったら。
青
水
目を輝かせて、俺の横を通り過ぎようとする君に。
青
水
くるっと振り向いたときに開いた、その薄い唇に。
青
軽い口づけを落とした。
水
水