本音しか言えない薬

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今日は待ちに待ったIf君とのデート。僕はあんまり甘えられないしいつもツンツンしちゃって甘えられない…

もちろんIf君はもう先に着いていた。タートルネックの服にズボンを合わせてガーディガンを羽織っている。待ってる姿もすらっとしていて…

えっ！待って待って！やだちょっと！え！？今口に出てた！？違う！と言おうとしても口から出てくるのは別の言葉

違う！やばい！謝らないといけないのに！でも…かっこいいのは事実…って違う！！慌てて必死で自分の口を押さえて喋れないようにする

そう言って僕の顔を覗き込む。そのビジュも良い…

お互い顔を赤らめ下を向く。顔が熱い…If君を直視できない…お互い黙ったまま。え、気まず…

沈黙を破ったのはIf君だった。さすがに本音を言う薬なんて馬鹿正直には言えないから褒め言葉しか出てこない薬ということにした

自然と言葉が溢れ出す。止まりそうにない…

いつになく真剣な声のIf君。何聞かれるんだろうかとドキドキする…

今1番聞かないでほしかった！！

ほらぁ…もう恥ずかしい…////

甘々でも本音ということに変わりはない。正直薬じゃなくて自力で言いたかったけど…それはまた今度頑張ろう…

こうやってさりげなく人にぶつかりかけた僕を引き寄せてくれる。こういうところもハイスペックなIf君。もちろん薬の効果は切れていなくて

そうやって愛おしそうに僕を見る。君の瞳に映る僕は色はなくても顔が真っ赤だろうと分かる

遊園地だからさすがに膝まづいて言われはしなかったが、少し頭を下げてお辞儀をしながら手を出される。その手を取れば恋人繋ぎでエスコートするIf君。どこまでもカッコよすぎる。付き合っててもいつも言い合ってたからこんなこと新鮮すぎて調子が狂う…

アイスを食べたあとジェットコースターに乗った。乗っている時にあることに気付いた

確か薬の効果は3時間って書いてあった気がする。となると飲んでから今は3時間10分ほど経っている。アイスを食べてる時はまだ効果は残っていた。

と、言うことは？

もう薬の効果はない。本音を言って恥ずかしがることはない。( ¨̮⋆)ﾗｯｷｰ

大好きとか愛してるってIf君はいつも言ってくれてるのに僕は言えてない。それが嫌でこの薬を飲んだ。今日はそれは叶えられたけど…

ちゃんと言いたい。薬の力を使わないで。ということである名案が思いついた。まだ薬が効いてるフリをして愛を伝えればいいのではないだろうか？やってみる価値はある

ちょうどジェットコースターが急降下して僕の気合いの入れるための掛け声は悲鳴と化した

星になるアクリルキーホルダー。それともこの可愛いぬいぐるみ。ちょうど両手で抱えて持つとめちゃくちゃ萌える。どちらも初兎ちゃんが喜びそうで迷う。初兎ちゃんとのマブダチとしての証としてアクリルキーホルダーでもいいが、初兎ちゃんは可愛いのも好きだしうさぎ好きって言ってたから…いっその事うさぎのアクリルキーホルダーないかなぁ…

実は僕もこのぬいぐるみ欲しかった…なんて思ってたのはここだけの秘密。こういうところも好きだなぁ…

頑張れ-hotoke-！言うんだ！今なら薬の効果っていう保険がある！

い、言えた！！進歩！すごい！でもめちゃくちゃ恥ずかしい…まぁ薬の効果ってことで！

気付けばもう閉園時間が近づいていて、最後に観覧車に乗ろうという話になった。さっき買ってもらったぬいぐるみを両手に抱えたまま観覧車に乗った

今だ！大丈夫！薬っていう保険がある！ちゃんと言わないと…

言えてる言えてる…このまま最後まで…ちゃんと大好きって言うんだ…

言えた…良かった…最初こ恥ずかしかったけど、薬って保険があるからもう羞恥心もなくなった

な、なんでバレてるの…？いや、でもきっとまだ疑いの段階のはず…頑張れ-hotoke-！まだバレてはない！

さすがにあれは無理があったか…どうしよう…なんて言い訳しよう…なんて焦って考えてると背筋も凍るような言葉が来た

なんで？その3文字すら言えない。どうしてIf君が知ってるの？

何してんだあの機械。馬鹿正直に答えたらダメでしょ…なんで分からないの？もう…まぁあの機械に頼った僕も馬鹿か…

どうしよう…違うのに…誤解解かないと…もう戻れなくなっちゃう…

あーあ…泣いちゃった…どうしよう…正直に言っても信じてもらえるかな…でも言うしかない…

買ってもらったぬいぐるみに涙が落ちる。If君は喋らない。僕は下を向いているからIf君の顔が視野の中には無いから分からない…でも言わないと…

涙が止まらなかった。もう元には戻れないかもしれない…それが辛くて…嫌で…買ってもらったぬいぐるみに顔を埋める…

その声は嘘かと思うほど優しくて…驚いて顔をあげた時には目の前にIf君はいなくて、僕はIf君の腕の中だった。If君の匂い。すごく安心する…

If君の呼び掛けに答えるために上を向くと唇に柔らかいものが触れる。何が触れたのかなんて考える必要も無い

勝手に勘違いしたのIf君じゃない？てか仲直りしたんだよね？ならお仕置いらないよね？なんて言う暇もない。まだ唇に柔らかい感覚。でも今回はそれだけではなく口の中に何かが入ってくる。

If君の舌と僕の舌が絡み合う。変な声が出てしまうが今は2人だけの空間。観覧車も今は1番上。誰にも見られない。自然と頭がふわふわしてきて、体がビクビクする。

自分の中ではめちゃくちゃ長かったDキスも観覧車が4分の3のところに来たため終わった。体に力が入らない…ぬいぐるみを抱えるのも精一杯…If君の頬も紅潮している

そう言って彼は僕の額にキスを落とした。君とならどんなにすれ違っても元に戻れる…僕らは大丈夫…だってこんなに…

好きなんだから