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いつの間にか日が落ちていた。

電気を点けていなかったので、 部室もすっかり暗くなってしまった。

紗良

……っ

付き合っていた時と変わらない、 優しくて深いキス。

別れて半年も経つのに、 体は正博を覚えている。

紗良

(このまま……するの?)

理性と本能が相反していて 頭の中がぐちゃぐちゃだった。

正博

紗良……いい?

紗良

(いや、良くないよ)

紗良

(駄目なんだって)

どうしよう。

このまま続きを 許してしまいそうになる自分と 冷静な自分がいる。

紗良

(ここ学校だし)

紗良

(誰か来たらどうするの?)

このままするなら、 よりを戻してほしい。

体だけの関係には…なりたくない。

でも、正博にそれは望めない。

だったらここで はっきり断らなくちゃ。

断らないと……

紗良

!!

正博の手が太ももに触れた。

その時。

正博

…………

紗良

…………

正博

…………………帰るか

正博

今の放送、顧問だわ

正博

バレたら殺される

紗良

……それは大変

正博は渋々紗良の上から退いた。

紗良

(た、助かったー…!)

紗良

(危なかった)

紗良

(セーフ…だよね?)

自分に言い聞かせる。

紗良

(千夏に隠すの無しって言われたけど、さすがにこれは言えないな…)

その日の出来事は、 2人だけの秘密になった。

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