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とても素敵なお話でした✨ ですがなぜ🍣君はあの二人をすぐに処刑しなかったのでしょうか? なぜ結果的には処刑して下界に行くのは変わらないのに🍣君はあそこまで必死になったのでしょうか…うーん、謎が深まります、でも人それぞれの解釈が出来るのも魅力的です!😢 神作ありがとうございました!✨
ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙神😭 なんで毎度毎度感動させてくれるんですかぁ!!有り難すぎます😭
神作品すぎます!号泣しました笑
アミノ酸
乳酸
アミノ酸
乳酸
アミノ酸
1100タップ 越えなの!!
乳酸
アミノ酸
アミノ酸
アミノ酸
アミノ酸
乳酸
アミノ酸
乳酸
!注意! ・ご本人様には全く関係ございません ・軽度なB絡みが出てくるので 少し注意またはUターン ・よくわからん ・なんでも許せる方向け ・神様や天使悪魔に関する 勝手な妄想を含みます、注意 ・駄作注意
アミノ酸
天使と悪魔の世界には狭間がある。
思ったよりも薄くて 透明な膜で出来ている壁。
この狭間を起点として、 魔界と天界は分かれる。
悪魔の世界は "けがらわしくておそろしい"らしい。
初
お母さん
初
お母さんが何度も 同じ言葉を連呼する。
花道とは、膜に沿うように生えた 膜が近いことを示すための標。
膜とは、魔界と天界の世界を 区別するための境界線。 人間で言えば、国境ってものらしい。
天使は悪魔を忌み嫌う。 それは母さんも一緒だった。
母さんはいつもそう言う。
お母さん
初
お母さん
…またそれだ。
初
初
初
おつかいの内容を頭の中で 復唱して忘れないようにする。
初
何…あれ
初
初
少しだけ息を飲んで、考えた。
初
ガサッ
初めて内側に入った。
初
背中に大きな傷。
見るからに痛そうだ。
ぴょんっ
初
うさぎさんが内側内側へと逃げていく。
初
ガサッガサッ
初
初めてこんなに膜の近くに来た…
後ろを振り向き、 今までうさぎを 追いかけてきた道を眺める。
トスンッ
初
背中にボールが当たる。
初
こちらに転がるボール。
初
ボールを手にした。
初
ボールを持ち上げて 名前が書いてないか探る。
???
り
初
半透明な膜の向こう側で笑う持ち主。
黒い羽と真っ赤な瞳。 頭から生える触覚。
初
これが…悪魔?
り
り
初
手の中にあったボールを膜に投げつける。
すると不思議なことにボールは 膜を通過して向こう側に行く。
り
初
り
話しかけるべきじゃない。
わかってる。
でも、大丈夫。 これだけ聞いたら帰ろう。
初
り
初
り
お腹を抑えて笑う目の前の異物を 眺めて、彼の笑いが 収まるまで静かに待つ。
り
初
これが、悪魔。
思い描いてたよりもずっと魅惑的で、 でも言葉の端々に イタズラ心を感じる。
り
初
今まで花道に入ることもなかったし。
り
偉い子しとったからな。
というか
初
り
何となくで分かるもんなんかこれ
僕は周りの子よりも少し成長が遅い。
同い年の子よりも 見た目的に一回り小さいのだ。
それで分かるもんなんか‥?
り
初
り
り
初
あるからと言って膜の近くで 向こう側の住人の邪魔をするなんて、 全くめんどくさい人である。
正直鬱陶しいという方が割に合っている。
初
り
り
り
初
り
初
…悪魔は知らないけど、 天使は相当悪魔のことが嫌いだ。
なんで天使と悪魔は 仲良くしないんだろ。
り
一瞬自分の声が漏れたのかと錯覚した。
でも違う。 僕の声ではない。
はっきりと、りうらの声が聞こえた。
初
初
り
り
初
り
初
り
り
り
りうらは大きく手を広げて こちらに微笑む。
初
もっとりうらと近くで話したい…
軽い気持ちで りうらの方に手を伸ばした。
り
そんな軽い思いが、 ある時には仇となるんだ。
バチバチッ!
初
何か…電気のようなものが手を打った。
り
電気の影響で頭がふわふわする。
初
目の前が眩み、 視界が揺らぐ。
り
り
り
「悪魔用 万能痛み止め」
そう書かれた小さな箱。
こんなもの、 持って帰れるわけが無い。
持って帰ったら 悪魔に会った事、バレちゃうから。
初
でも突き変えせるほどの 度胸はあいにく 持ち合わせてなかったから、 そっとポケットにしまった。
り
初
り
初
うさぎも、ボールも、 僕らとは全然違う。
天界や魔界にあっても 価値や存在のあり方が 1から100まで全て違う。
り
り
りうらは半透明の膜を見つめる。
よく見ると風に なびかれているように ふわふわと揺れていた。
初
り
り
初
ジリリリリッ
耳になれない音。
思わず耳を抑えた。
初
り
初
初
り
初
り
り
初
振り返るりうらを見つめて、 でもすぐに後ろを振り向いて 足を踏み出した。
り
もう、きっと会わない。 会ったらだめだから、 これは悲しいことでは無い。
後ろを振り向かずに まっすぐ帰るだけ。
り
初
り
初
""またね""
その確信もない約束が 嬉しかった。
初
ニヤけ顔をしていたかもしれない。
初
木の扉を押し開け、家に戻る。
お母さん
お母さん
一瞬バレたのかと思って ヒヤヒヤした。
でもあまり意味は無いっぽい。
初
こんなこと
流石に話せないな。
お母さん
初
初
自分に言い聞かせるように言う。
いつも通り…か
お母さん
お母さん
初
初
お母さん
どっちがええんやろな…
ガチャッ
部屋に戻り 目当てのものを本棚から引きずり出す。
重くて表紙はしっかりしていて、 厳重な文字で大きく題名が書かれた本。
天界の掟
小さい頃から読まされている本だ。
そして、パラパラとページをめくる。
第66条 悪魔
悪魔とは汚らわしくて恐ろしい存在である。その容姿、性格共に悪魔らしく光り、我らを惑わす。
我らはそんな悪魔とは慣れ親しんではならない。神に誓って膜に触れるべからず、神への裏切りは極刑なり。
初
初
初
初
そんな風には決して見えない。
確かに魅惑的な所はあったけど、 悪いものじゃ無さそうだったのにな…
初
一息ついたところで、 ページを一番最初に戻す。
第1条 神様
神様は我らを作って下さった天上の方であり、我々の崇拝すべきお方である。神様は我々に沢山のものを下さった。だから我々は神様に尽くさなければならない。
神様は天使の誰もに平等である。だからこそその報いに逆らうことなく、平和に暮らさなければならない。裏切りは罰す。
初
天界では神様が絶対である。
そんな事は言うまでもない常識。
小さな頃からどんな家でも 叩き込まれる知識だ。
初
なんで皆そんなに信じてるんだろう。
自分を創ってくれたから?
色んな意味で助けられてるから?
初
誰か別の人がやったとか…
どこかの研究員さんが 僕らを開発したとか…?
んー…でもそしたら研究員さんを 創ったのは誰って話になるし……
初
神様の姿は超上流の天使しか 見られないらしい。
でも皆神様を信じて崇めてる。
初
初
初
お母さん
初
決まり文句を耳に流しながら靴をはく。
今日は晴れ。 きっと居るやろな。
そんな邪なことを考えながら 今日もお使いに行く。
こんなの、親不孝すぎて申し訳ない。
お母さん
初
ま、話すだけな、大丈夫やろ。
初
花道の側を通りながら鼻歌を歌う。
初
兎を見た時の道を辿って、 膜の近くまで来る。
初
初
少し不安になって小声になってしまった。
周りを見回してりうらを探す。
今日は居ないのか…?
り
すると突如として木の影から 出てくるりうら。
初
初
り
ニコッと笑顔を見せられる。
後ろに組んだ手を離して、 髪を耳にかけた。
初
初
目線を逸らすと、 クスッと笑われる。
り
まずい…のか
魔界でも天使と会うのは 禁止されてるんか…?
初
り
りうらが草むらに 腰を落としたのを見て、 自分もその場に腰を落とす。
これは1杯話してくれる 合図なんかな…
なんて勝手に思い込みをした。
り
初
膜…に触れられない、か。
初
り
まさか。
もうあんな思いはしたくない。
初
初
り
初
りうらは膜に手を近づけるが、 決して触りはしなかった。
するとりうらは急に にまーっと笑い、 魅惑的な笑顔を見せてくる。
り
初
からかう時の目だ。
ペロリと舌を出すりうらに何も言えず、 目線で威嚇する。
り
初
り
そういえばさっき、 人によるって言ってたよな。
初
り
初
期待を裏切らない答えを待っていた。
"ん?りうらは好きだよ!"
そう言った綺麗すぎる回答を 淡く期待していた。
り
ふわふわ
曖昧な答えが宙に浮かんで、 呆気なく消える。
それは僕が一応考えていた 最悪の場合とも違った。
一瞬何を言えばいいか悩んだところで、 りうらが付け足す。
り
更に何を言えばいいか悩んだ。
喜んでいいのか、 当然だとあやすべきなのか、 それとも悲しむべきなのか。
りうらの意味深な沈黙に 言葉が詰まる。
とにかく、早く返さないといけない。
初
いや、今のは苦笑い過ぎただろ
そんな後悔を抱きながら、 次の話題を探る。
初
り
初
昨日聞こうと思った事。
初
初
初
り
りうらは上を見て考える仕草をする。
り
り
り
り
初
り
あ、確かに
何気に頭ええんかな、こいつ。
初
初
初
り
頭がこんがらがる。
やっぱり僕らの頭じゃまだ 解き明かせない謎は多いのだ。
初
り
初
空っぽのカゴを持ち上げて見せる。
初
初
り
り
少し歯切れの悪い口調だったが、 りうらはいつも通りの笑顔だった。
…気のせいかな
初
り
初
???
初
家の中に久しぶりの顔が居た。
初
僕の兄ちゃん。悠佑。
色々な研究をしていて、 今は寮住まいだから大抵家にはいない。
きっと休みが取れたから 帰ってきたんだろう。
悠
初
悠
初
ぎゅーっ!
再会のハグを交わす。
悠
悠
くしゃくしゃと崩される前髪。
僕は兄ちゃんの 暖かくて大きな手が大好きだ。
初
初
兄ちゃんは向こうで 色んな研究をしている。
この前は天使の心理学と 道徳的傾向の研究をしてたらしい。
悠
悠
初
兄ちゃんは割と色んな種類の 研究に手を出す。
まだチームにも入ったばかりだから バチッと来るものがないって この前電話で言ってたな。
初
初
悠
兄ちゃんにしては珍しいが、 研究員としては それが普通なのかもしれない。
初
すると、兄ちゃんは耳をかしてと 手で合図する。
兄ちゃんの方に耳を貸した。
兄ちゃんはひそひそ声で囁いた。
悠
初
初
悠
咄嗟に出た声を兄ちゃんは手で塞ぐ。
大声を出してしまった自分を殴りたい。
悠
悠
初
悠
初
初
情報とかがあれば、知っておきたい。
いつかりうらの為に なるのかもしれない。
悠
悠
悠
それはそうだろう。
天界には偏った意見の文献ばかりが 充満している。
悪魔の情報はあまり 流れてこないだろう。
初
悠
初
定期的に情報が入ってくるというのは ありがたすぎる話だ。
兄ちゃんにはまだりうらの事は 言えないけど、 もしかしたら力になれるかもだし。
初
そういえば昔も そんな研究してたような…。
悠
堕天使。
何となく、聞いたことがある。
初
悠
堕ちた天使…
裏切り行為ってことは、 膜の向こうに行ったり、 悪魔と会ってたり……
初
初
いざとなった時に歯止めを 聞かすためでもある。
悠
悠
悠
悠
初
初
朗報だ。 朗報すぎる。
つまり、堕天使になったら 膜の電気を受けずに 魔界と天界を行き来することが 可能になる。
悠
悠
初
兄ちゃんが手をアレコレして 研究の説明をしてくれる。
研究の目の付け方が プロっぽくてかっこいい。
悠
悠
悠
初
一見落ち着いた反応を見せたけれど、 内心では震えていた。
やっぱり堕ちた天使は 当然ながら受け入れられない。
膜を行き来出来たとしても 天使と馴れ合うことは ほぼ不可能に近い。
天使にとっては 徹底的な屈辱である。
初
少し震える手を膝の辺りで ギュッと握って平静を保とうとする。
悠
初
悠
初
なんで天使と悪魔は 仲良くしないんだろう。
初
り
り
それから毎日というものの、 りうらの所に通った。
いつ来てもりうらは 膜の向こう側の存在だったけど、 毎日りうらと話せていたのが 何よりも幸せやった。
それに、何故かりうらと 膜を挟まずに話せている気がした。
そんなの気のせいだろうけど、 気のせいでも良かった。
たまにりうらが魔界のものを 見せてくれることもあった。
いつになってもりうらはここに居て、 りうらからは帰ろうとしなかった。
朝御飯が好きなものだった時も、 天界で新人俳優が売れた時も、 兄ちゃんがいい研究を残した時も、 りうらは変わらない。
むしろ、変わらないでいて 欲しかったというのが本音やった。
膜を挟まずに話したいという気持ちは 山々やったけど、 こうしてりうらの話を 聞いているだけでも 幸せやった。
とにかく、バレたからと この関係が終わってしまうのが嫌やった。
まだ、もうちょっとだけ………
りうらと一緒にいたい
なんて言うのは、 強欲なんかな。
でも、そんな願いが一生続くことは ないんやろな……
初
影に座る赤い髪の彼に声を掛ける。
り
りうらが気づいたところで、 りうらの近く、といっても 膜から少し離れたところに座る。
初
り
初
頑張って焼いてきたクッキーだ。
ほのかに甘い香りがする。
り
り
初
初
り
り
初
り
初
り
初
甘いカゴを開け、 中にかけてあるハンカチをとる。
すると袋に入ったクッキーが 姿を見せた。
初
り
初
初
正直形には自信が無いが、 味は大丈夫なはずや。
するとりうらは目を輝かせる。
り
り
上目遣いをしておねだりをするりうら。
悪魔的な魅力が垣間見える。
初
り
やっぱり有罪な男やと思う。
あざとくて、 狙ってる感じで。
人が1番喜ぶことをしてくれる。
初
膜の向こうにカゴを突き出す。
り
口に合うか不安になり、顔色を伺う。
りうらは顔を赤く染め、 にっこりと笑った。
り
り
初
り
初
こういう事をサラッと言っちゃう ところが悪魔だと思う。
初
初
手をぎゅっと握って 思い切りを付ける。
初
り
り
り
笑った時に見える八重歯が 凄く愛おしかった。
初
受け取って貰えたことに安心する。
初
この話をするかどうかも悩んだが、 今は話したい気分だった。
り
初
初
初
言葉に詰まる。
顔がぶっ飛んでしまいそうな程に 恥ずかしい。
初
こんな照れくさいことを言うのは 案外恥ずかしくて、 言ってから後悔した。
初
居所が悪くて苦笑いで乗り切る。
り
初
り
"好き"
そんな直球すぎる言葉に ドキッとする。
きゅーっと心臓が縮んで、 自制心に緩みがかかる。
初
初
こんなこと、言っちゃダメやろ。
言っちゃったら、 歯止めが効かなくなるから…
り
り
り
初
まだダメだよな、そーだよな。
分かっていたのに、 凄く窮屈に感じて心臓が痛い。
どんだけ好きやけ、 この恋は成立しない。
こんな事実が当たり前なのが苦しい。
でも、会いたいんだ。
我儘やけど、 このままやと苦しくて死んでまう。
初
初
これで死んでしまったら元も子もない。
こんな馬鹿な事、 賢いりうらならしないだろうに。
初
り
膜に手を伸ばした。
バチッ
バチッ……バチチッ!
り
ワンチャン、堕天使として 甦れるかもしれない。
そしたら魔界でも天界でも 暮らせるようになる。
って、兄ちゃんも言っていた。
初
初
馬鹿だ。 大馬鹿者だ。
なのに、体はこうしろと言っている。
初
り
り
痛い。痛い。
激痛が体全体に響く。
初
激痛に悶えながら、 必死に手を伸ばした。
バチバチバチッ!!!
初
り
りうらは押し戻そうとする。
馬鹿、お前も感電しとるやんか…
お願いだから止めないでくれ…
り
りうら、止めないで……
僕がしたい事なんやからさ……
初
………やめろと言うりうらの瞳は 必死だけど優しくて、 暖かく感じた。
初
初
頭が溶けるようにグルグルする。
上半身が向こう側に出た。
初
あと…ちょっと…なのにッ…
瞼が重い。
腕に力が入らない。
手の感覚がほぼ無い。
りうらの声も上手くきこえない。
り
り
初
初
僕がこんな我儘じゃ無ければ 良かったのかな……
ほんとに申し訳ない、ごめんな。
僕のせいで、 こんなに振り回してしまった。
僕がこの後生きても、きっと命は無い。
せめて最後に、伝えたいんだ。
初
初
り
そこで、呆気なくゲームオーバーだ。
僕はッ…!! こんな境界に挟まれてずっと過ごすんじゃなくて……分け隔てなくりうらと話したいのッ…!!
りうらだってそう思ってた。
りうらだって しょーちゃんと隣で、 手を繋いでみたかった。
あの時は冗談で 言ったつもりだったけど、 今ならハグだって キスだって…してみたいくらい。
だから、情けない。
自分がしょーもない。
何でりうらから 言い出せなかったんだろう。
何でしょーちゃんをもっと早く 止められなかったんだろう。
り
初
羽が黒く染まり、 天使の輪もひび割れている。
天使らしくない禍々しい姿に 戸惑いを覚える。
堕天使。
堕ちてしまったのだ。
り
り
クッキーの甘い香りが より涙を誘う。
???
ふと頭の上から声がして、 声の先を辿る。
り
な
目の前の刺客がにんまり笑う。
り
り
幕の向こう側に現れる奴は、 しょーちゃんより羽は大きく、 背は高い。
り
大天使とは、天使の中でも 特別にくらいが高い天使だ。
神様に面会できるひと握りの天使。
な
り
座り込むりうらを大天使サマは覗き込む。
体の隅から隅までじっくり見られ、 少し気まずい。
な
り
り
な
少しの沈黙の後、 ソイツはしょーちゃんに目線をずらす。
な
り
こういう時、りうらは どう言ったらいいか分からない。
り
り
嘘のつき用が無かった。
幾つか変化が見られるけれど、 特徴は天使のままだ。
な
り
な
り
割れた天使の輪の破片が 夕日を反射して嫌にキラリと光る。
り
天界の恐ろしさを知った。
裏切り者はもう自分たちとは 同じ存在では無いということだ。
裏切りひとつで ここまで切り捨てるとは。
一緒にするなと囁く虚無の目と、 世渡り上手な天使の口元が あまりに残虐に見えた。
な
り
嫌な汗が止まらない。
何で、そんなにしょーちゃんが 傷つかなければならないんだろう。
な
な
少し間を開けて天使は息を吸う。
な
り
手を出すことも出来ず、 ただ睨みつけることしか出来なかった。
な
な
り
……何で天使と悪魔は 仲良くしないんだろ
いつかの話が頭によぎる。
せめて
せめて、しょーちゃんだけでも…
りうやが罰を受ける代わりに しょーちゃんは助けて欲しい………
な
り
こころを…読んだ?
な
な
大天使サマはもう一度 しょーちゃんを隅から隅まで見渡す。
な
な
な
り
言い訳を考えていた。
言い訳でもいいから、 何か逃れられる口実が欲しかった。
な
な
な
な
り
な
大天使の中でも位はあるらしい。
な
な
り
り
知らなかった。
いくらでも、膜を通れる…
な
な
確かに、もうどちらからも 関与されないということだ。
自由とは、時に残酷である。
な
な
な
口を開く大天使サマ。
少しだけ、ほんの少しだけ 頭を下げられる。
り
な
り
り
しょーちゃんを…保護しろと
…それって、 ワンチャン逃げられるってことかな?
な
それなら見つからなければ良い話だ。
り
な
り
心底、不確定の幸せに 浮かれていたんだと思う。
ガラッ!!
病室の扉を開け、 勢いよく突っ込む。
初
瞳を閉じたしょーちゃんが、 そこには眠っていた。
り
考えるよりも先に口が動いた。
あぁ、焦ってるんだ、りうら。
I
り
り
しょーちゃんの方を チラッと見てから 先生の方に視線を戻す。
先生はカルテに目を落とし、 ため息をついてから話し始めた。
I
I
り
I
り
その言葉を聞いて 膝から崩れ落ちそうになる。
ドクドクと鳴いていた心臓は ゆっくりと元通りの拍に戻り、 身体が少し暖かくなった。
り
先生はデータをモニターに 映して説明を続ける。
I
I
り
り
良かった…良かった、けど…
支障も沢山出ている。
こうなったのは、 きっと全部りうらのせいだ。
眉間に皺を寄せる。
何も言えなかった。
I
先生はりうらにアメを ひとつ差し出し、 自分は紅茶を口にしていた。
受けとったアメの包み紙を 優しく剥がし、 黄色いアメを口に放り込んだ。
そして口の中でコロコロと転がす。
り
り
り
り
り
I
先生はしょーちゃんの隣の カーテンが締め切られたベットを 見ながら、 落ち着いた声で話す。
I
I
I
I
り
り
落ち着かない右手を左手で抑え、 恐る恐る問いただす。
I
り
I
下界。
いわゆる、天の下の世界。
I
I
確かに悪魔にとっても屈辱だ。
下界の状態は 魔界や天界より断然悪い。
それに下界に行った時点で牛耳る側から 牛耳られる側になるのだ。
そんなの、誰でも嫌だと思う。
り
I
"もう一生会うことは無い"
真剣な表情に押しつぶされそうになる。
そんなの…そんなの…
り
初
り
しょーちゃんの頭を撫でた。
ジリリリリッ
り
I
り
り
I
シャッ
りうらが部屋を出た時、 閉まっていたカーテンが 空いたのがわかった。
でも、別に振り返りはしなかった。
h
I
h
I
h
h
h
I
I
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I
り
初
り
それから毎日というものの 病室に通った。
いつ来てもしょーちゃんは 寝たきりだったけど、 規則的な寝息が聞こえていたのが 何よりも安心だった。
それに、何故かしょーちゃんと 心で会話できるような気がした。
そんなの気のせいだろうけど、 気のせいでも良かった。
たまに先生が見に来て お喋りすることもあった。
いつになっても隣のベットの住人は カーテンから姿を見せず、 挨拶も何も無かった。
晩御飯が好きなものだった時も、 魔界で新作の服が出た時も、 先生が飴以外を食べてるのを見た時も、 しょーちゃんは変わらない。
むしろ、変わらないでいて 欲しかったというのが本音だった。
しょーちゃんと話したい気持ちは 山々だったけど、 こうしてしょーちゃんの 暖かい手を握っているだけでも 幸せだった。
とにかく、居なくなるのが嫌だった。
まだ、もうちょっとだけ………
目を覚まさないでくれ
なんて、言うのは酷い気がする。
でも、そんな願いが一生続くことは 無いんだろうな…
り
今日も今日とて病室に来た。
静まっている。
カーテンの向こうの主も、 今は検診中か何かで居ないみたいだ。
いつも通り、病室を見渡す。
り
一瞬状況が分からなかった。
え
なんで
居ない…?
り
もしかして……
り
声に出したことを後悔した。
嫌でも考えちゃうじゃないか、 そんなの。
り
でも流石にそうとしか考えられない。
意識が戻ったから 連れてかれたのだ。
り
病室のドアから勢いよく飛び出す。
そのまま1歩1歩と走った。
看護師さん
り
心は急いている。
早く行かないと…!
町の中でしょーちゃんが 居そうな所は確実に探した。
膜の近くを走ってみたりもした。
り
り
り
り
息が続かない。
体力も限界に近い。
場所にも宛がある訳ではない。
もう走れなさそうだ。
り
???
り
ふと後ろから声が聞こえ、振り向く。
り
I
そこには飴を咥えた先生がいた。
棒付きキャンディーは 少し溶け、形が崩れている。
り
り
り
早口になっている。
心臓がバクバク音を立て、 呼吸も荒い。
今にでも倒れそうなほど 心身共に蝕まれていた。
I
り
I
I
I
り
I
I
I
り
り
I
h
I
h
り
h
水色の髪の男の子は チラッと先生の方を見て、 説明を任せるというような 意思表示をした。
I
先生も男の子の扱いには 慣れているっぽかった。
I
色々あって…?
生きてるのに、 連れてかれないの?
なんでこの子は助かったのに しょーちゃんは?
り
り
I
バレなければ、良かったの?
それって運じゃないの?
なんで…
なんで…
なんで…!!
り
り
水色の男の子は凛とした目で こちらを一瞥し、ため息をつく。
呆れた顔って、こんな感じなんだろうな。
h
h
小さな声のはずなのに、 ハッキリと1音1音が聞こえる。
り
お腹の中から込み上げてくる怒りを 必死に抑える。
I
り
りうらとは全然違う。
りうらの方が、 しょーちゃんの事を見てきた。
今更先生に何が言えるんだよ。
I
先生は相変わらず飴を舐めながら 話し続ける。
I
り
言い訳なんかじゃない、 正真正銘の気持ち……なの!
ムシャクシャして、 イライラして、 思わず床に落ちていた石を蹴る。
石は弾み、静かに止まった。
h
h
り
初めて目が合った気がする。
急に自分がしょうも無くなってきた。
何怒ってんだよ。
今度はこんな自分が嫌で、 いつしか涙が出てきていた。
しょーちゃんの事になると、 どうしてもこうだ。
ほんと、自分が馬鹿らしい。
止まらない涙を拭って頭を下げる。
り
深く、お辞儀をした。
りうらが今しなきゃいけないのは、 これなんだ。
h
り
I
h
ギュッ
り
急に抱きつかれた衝撃でよろける。
そんな事はどうでもいいかのように 白くて所々黒い羽を出す男の子。
堕天使だ。
なのに、天使みたいに綺麗。
I
h
h
り
ふわっと浮いている。
自分の羽以外で飛ぶのは久しぶりだ。
h
h
ゆっくりと降ろされ、 地に足を着く。
り
り
h
h
h
り
h
銀の包み紙に包まれた飴を渡された。
h
h
り
飴を口に入れる。
口の中に爽やかな レモンの香りが広がった。
り
り
h
h
り
り
h
り
男の子は背中を見せて こちらを向かずに言った。
h
り
h
すると、男の子は振り向いて ニコリと笑う。
イタズラっぽい笑顔だ。
h
h
り
h
h
男の子はりうらの唇の前に 人差し指を添えて言う。
涙を袖で拭った。
り
h
り
h
ほとけっちは咳払いをするように笑った。
h
り
ほとけっちによると 処刑はだいたい天界の西にある 展望台のところで 密かに行われるらしい。
下級天使だから 一般公開するほどでも無いと 判断されるからだそうだ。
貰った地図の展望台まで 障害物を避けるようにして飛び抜ける。
一段一段が高い階段を 駆け上がって扉を開けた。
ガチャッ
り
しょーちゃんと大天使サマが そこに居た。
り
な
な
り
相変わらずの冷たい目に少しひるむ。
だめだ、ここで下がるな。
初
僕を呼ぼうとした しょーちゃんの口を 大天使は軽く手で塞ぐ。
な
り
り
勢いで突っ込む。
初
な
すると大天使が突如と 前に飛んで来て、 りうらの体を掴んだ。
急に体が止まった衝撃に ビクッとする。
り
手足を動かしても離れず 行き場を見失う。
な
な
り
な
り
な
な
な
初
初
そう叫ぶように囁く しょーちゃんを強く見つめる。
大丈夫。 覚悟は出来てるからね。
り
り
いつもより神様に従順なしょーちゃん。
膜の威力を知ったから 怖がっているんだろう。
初
初
その言い方はない気がする。
下級悪魔だけど、 りうらにもチャンスはあるはず。
り
すると大天使は間に入って ウンザリしたような声で 止めにかかった。
な
な
り
な
視界にチラつく桃色の髪が うざったるい。
ともかく、こうもしてられない。
な
り
り
確かに、バレる。
本来の目的はしょーちゃんを 連れ帰ることだけだったから そんなこと考えてなかった。
な
な
な
にっこりと笑っているように見える コイツの口の端は、笑っていなかった。
り
な
り
思いつけ、思いつけ、 何か言い訳、あるよな。
恩を仇で返す訳にはいかない。
な
な
り
これだ。
天使って、これだ。
そうだった。 しょーちゃんが例外すぎて、 忘れていた。
天使は転んだ悪魔の手を 取ろうとはしない。
むしろもっと深くに落とすのだ。
な
り
な
確かに悪口は慣れてる。 でも、一度も許そうとなんて した事無かった。
り
り
天使なんて大っ嫌いだよ!!!!!
り
り
だから、しょーちゃんに親の話を 切り出された時はビビったよ。
まぁ空気が空気だから、 嘘をついてたけど。
初
り
な
な
り
黒い羽をじっと広げて 正々堂々目を向ける。
な
な
な
り
な
り
な
り
な
な
元は、という所を強調した口調。
イライラする。
り
り
り
初
泣かないで、しょーちゃん。
りうら、もらい泣きしやすいの。
り
な
な
大天使は指を組んで 祈りを捧げる。
その言葉一つ一つが重く鋭く、 りうらを突き刺す。
洗脳済みのその瞳は どこからか光が消えていた。
な
り
な
な
そうだ、りうらは悪魔だ。
悪魔だから、こんな事しか出来ない。
この決断が良いのか悪いのか、 りうらは知らない。
り
な
しょーちゃんの乗っている台に近づく。
咄嗟に抑えられた体全体に 力を入れて、 大天使サマの手を振り払った。
り
な
でも先生の薬が効いて 体に傷が付くほどの 威力はなかった。
バチバチと体に電気が走る。
意識が遠のかないよう、 唇をぐっと噛んだ。
り
り
初
な
そんなこと言われても、 離れるわけないじゃんか。
そこで、しょーちゃんに触った。
手を、繋いだ。
大丈夫。
りうらは、りうらだよ。
り
初
な
叫ぶ声を後目に 2人で足を踏み出す。
大天使サマはこの膜を通れないらしい。
り
初
り
な
そして僕らは飛び降りた。
り
明るい光の中、目を覚ます。
雲が上にある。
見慣れない景色だ。
初
しょーちゃんは横になっている りうらの顔を覗く。
そして、目が合うとふわっと笑った。
り
初
しょーちゃんだ…!
り
思わず抱きつく。
初
抱きついた勢いで しょーちゃんも倒れてしまう。
お日様みたいないい匂い。
幸せな、顔だった。
初
初
しょーちゃんの 伏せた瞳が微かに煌めく。
この少しいたずらっぽい声が大好き。
り
初
しょーちゃんの手に手を重ねて きゅっと力を入れる。
り
初
アミノ酸
乳酸
乳酸
アミノ酸
アミノ酸
乳酸
アミノ酸
アミノ酸
乳酸
アミノ酸
乳酸
アミノ酸