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気がつけば、私は知らない場所を歩いていた。
細く薄暗い、何かの内部通路の様なところを。
周りは床も壁も全て鉄で出来ている様で、
窓も無く殺風景な通路だった。
でも一番気になるのは、
私の前を歩く、三人の人達。
何故か一言も喋らないし、誰も後ろを向かないから、
この人達を知っているかすらわからない。
ただ私も含め4人、1列で歩き続けていた。
暫く歩いていると、行き止まりになった。
目の前には八角形の大きな鉄板が見えている。
もしかしたら扉かもしれないが、鍵は無いらしくこのままでは進めない。
少し心配になったその時、
先頭の人が、前を向いたまま、
A
と、この先へ進む方法を提案した。
一番後ろからだったからか、よく聞き取れなかった。
しかし、その人が言い終えると
八角形の鉄は音も立てずに横にすーっと開き
案を挙げた人がその向こう側に入りきった瞬間に
バタン!!!
と、今度は大きな音を立てものすごい速度で閉じてしまった。
私を含めた三人は、扉の前に取り残された。
が、
その状況に焦っていたのはどうやら私だけで、
他の二人は焦りも慌てもせず、ただ黙って前を向いていた。
─────────────……
私
私
気がつくと、また私は歩いていた。
どうしてまた歩いているのか思い出せない。
歩いていたのは、さっきと同じに見える通路。
違うのは、三人で歩いているということ。
…扉の前からここに来るまでがどうだったかの記憶が全く無い。
何だか不安になって、俯く。
それでも、何となく止まっちゃいけない気がして、私は歩く。
コツ、コツ、コツ、……
一定間隔のまばらな足音が響く。
コツ、コツ、…コツン。
前の人の足が止まった。
何だろうと思い顔を上げると、
そこにはまた八角形の鉄扉があった。
でも、何故かその扉はさっきとは違うものだとすぐにわかった。
すると前は2番目だった今は先頭の女性が、
B
と、また前を向いたまま提案したが
私
それほど距離は離れていないのに、またよく聞き取れなかった。
そして、これも同様に扉は音を立てず開く。
今度は違う方向だった。
女性がその扉を通り抜けると、
バターン!!!!
と、同じくらい大きな音を響かせて閉まるのだった。
───────……
私
また記憶がなかった。
前を見たら、私の一つ前の男性しかいない。
遂に二人になってしまった。
でも、話しかけようという気は起きない。
多分、聞いてもらえないだろうから。
そしてまた、足音が止む。
…もう、何となくわかる。
また違う、扉の前。
男性は、口を開く。
C
やっぱり、聞き取れない。
そもそも、誰に言っているのか。
私に向けてなのか、独り言なのか。
そもそも私の存在を認識しているのか。
全部、わからない。
でも、もうどうでもいい。
だってどうにもならないから。
…助けを求める暇もなく、
扉は静かに開き、
男性が通ると、やっぱり、
バターーン!!!
と、閉まってしまったのだから。
私は、一人、取り残された。
そのときの扉の音は、通路の中をいつまでも木霊していた。