# 嘘つきな自分を 終わりにする日

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『 なつです 、明日の放課後 また空き教室来て 』

短く並べられた その文章を読むなり 、 こさめは思わず声が零れた 。

驚いて送り主の名前を 確認すると 、 そこには いるさんではなく 、 『 N 』 という 見知らぬアカウント名が 記載されていた 。

ホーム画面も見てみれば 投稿はひとつもない 、 今日作られたばかりの アカウントだった 。

今思えば 、 こさめはなつくんと 連絡先も交換していない 。

こさめにこのDMを 送るために わざわざアカウントを作成 したということだろうか 。

だけど 、そう考えてから 『 あれ ？ 』 と 思い出す 。

先日 、カフェの 酷評投稿を見せてもらった時 。

なつくんのスマホに表示 それたその投稿に 、 青い栞のマークが 付いていたのに気がついたのだ 。

青い栞は 、その投稿が ブックマークされていることを 表すマークだ 。

あとで見返したい投稿等を 保存しておける 機能で 、いいねとは違い 投稿主には知らされない 。

そして 、投稿に ブックマークをつけられるのは 自分のSNSアカウント を持っている人だけだ 。

なつくんは 、 死んでもSNSはやらない と言っていた 。

だから恐らく 投稿はしていない 、 ただの閲覧用アカウントだったの だろうけど 、でも それなら 。

あくまで閲覧用なら 別に 見られても 恥ずかしくないような 投稿も無いはずだし 。

こさめとは違って 。

疑問には思ったけど 、 単純に 自分のアカウントを こさめに知られたくなかった だけなのかな 、と すぐに思い至る 。

投稿はしていなくても いいね欄を見られたくなかったとか 。

その気持ちなら こさめも痛いほどわかる 。

こさめだって未だに 、 なつくんにアカウントを 知られているという事実に 死んでしまいたくなる時もあるし 。

＿＿ いや 、やめよう

こんなこと 、今更気にしてたら 生きてけない 、うん 。

必死にその事実は 頭から追い出しつつ 、 『 じゃあ明日も空き教室行くね 』 と 、なつくんの DMに返信をした 。

そこでふと 、 そういえば ... と 思った 。

なつくんって 、 なんでこさめのアカウント 見つけられたんだろ ... ？

こさめだと確信したのは 例の自撮りだったみたいだけど 、 あれだって顔をがっつり 写していたわけではない 。

ほぼ片目しか写ってないような 写真から 『 これこさめだろ ？ 』と 一度も話したことの無い クラスメイトに

増してや 、 こんな陰キャなんかに 。

思い至るのは なかなか凄い気がする 。

身バレしないように 一応プロフィールや 、 普段の投稿には 気を使ってきたつもりなんだけどな 。

＿＿ という疑問が 翌日まで残っていたので 、 放課後なつくんと顔を合わせた時 に聞いてみた 。

すると 、なつくんからは そんなあっさりとした 答えが返ってきた 。

悪びれもせず さらっ と告げられ 、 思わず固まってしまう 。

なつくんからしたら 本当にたまたま 見えてしまっただけのことで 別に 意図的に見たのでは ないだろうけど 。

だけど

だけどそれって ＿＿＿

人のスマホ画面が ちらっ と目に入って しまうことくらいはそりゃあ あり得ると思う 。

そこで 、 『 あっ 、この人SNSやってるんだな 』 ってそれがバレるくらいなら まだ分かる 。

だけど 、

＿＿ そうだ 。

だからこさめも油断してたんだ 。

学校ではまあ 、 大丈夫だろうって 。

平坦に告げられた その言葉に 一瞬息が詰まる 。

相変わらずその言葉は こさめに向けられているような 気がして 。

＿＿＿＿ 嘘 。

吐き捨てるようななつくんの言葉に 少し苦しくなって 落ち着かせるかのように 右手で毛先を触る 。

すると その仕草に気がついた なつくんが 、 こさめの右手を掴んで 口を開いた 。

ふと気になったように 聞いてくるなつくんに こさめは 思わず 顔を伏せた 。

たしかに学校には 髪型はなんのアレンジも してない状態で 来るようにしている 。

昨日 時間をかけて 編み込んだ髪の毛も 投稿した後 、すぐに解いた 。

なにしてるんだろ 、こさめ 。 なんて虚しさに襲われながら 。

だけどそれでも 毎回すぐに解いてしまうのは

ただ 、

昔から 、自分の 髪質だけには 自信があった 。

誰も 見た目について 褒めてくれることなんて 滅多になかったけど 、

髪を褒められることは沢山あった 。

『 髪さらさらだね 』 とか 『 綺麗な髪色 』 とか 。

こさめが他人から 羨まれるとしたら 、 もっぱらそこだった 。

それで 中学生の頃に 、 ヘアアレンジに 興味を持った 。

いつもと違う 髪型をすると 少しでも こさめが可愛く見えるんじゃないか って 思ったから 。

勿論こさめは 、 “ 男 ” だから 可愛い なんかよりも かっこいい って 思われる方が絶対にいい 。

それでもこさめは 、 皆から 『 可愛い 』 と言ってもらいたくて 沢山 ヘアアレンジの練習をした 。

だけど 、

『 こさめは男なんだから 、 そんな髪型似合わないんじゃない ？ 』 って親に言われた 。

その時 、その瞬間から 人前では 本当の自分を隠すようになった 。

本当は大好きな 可愛いものも 、 人の前ではさらけ出さなくなって

『 似合わない 』 という言葉に 縛られて生きてきた 。

ああ 、そっか 。

似合わないんだ って 。

そう気づいた時 、 急激に 今までの自分に 自信がなくなってきて 『 可愛い 』ものが 好きな自分は 隠すようにしてきた 。

そうして 、生きづらくなった 人生の中で こさめが目をつけたのが “ SNS ” だった 。

そう 、こさめの こんな 可愛くもない地味な顔は 皆には見えない 。

綺麗にセットした 髪型しか 。

自分の体の中で 1番自信のある場所だけを 飾って お洒落に加工して 。

そんな画像しか SNSには載せなくていいから 。

SNSにいるこさめは それだけでいられるから 。

だから

切る場所絶対違うけど 長いので切りました 🙏🏻´- 最近フォロワー様が やっと800突破しまして 😭😭 ほんと 嬉しいです ！ ありがとうございます ♪