テラーノベル
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夜は深く澄み 頭上には満天の星々が瞬いていた
洞窟を抜けた時点で 昼の光はどこにもなく
まるで数時間だけ眠っていたかの様に 世界は少しだけ、変わっていた
爽は肩に夜露を受け ふるり、と身震いした
声は小さく それでも確かに震えを含んでいた
俺は足を止め 星明かりの下で振り返る
爽の瞳には恐怖と それ以上に揺るがぬ信頼が同居していた
俺は夜風に流れる草の音に耳を澄ませ ゆっくりと言葉を紡ぐ
その一言に 爽の胸の中の氷が少し、溶ける
安堵に似た温かさが広がり 爽の顔に、自然と笑みが浮かんでいた
俺は腰の刀に目をやり 苦笑混じりに、肩を竦めた
爽は、思わず吹き出した
すると、カタカタと鞘が鳴った
夜気を震わせるような微かな音……
─────まるで 「誰が同居人だ!」と抗議するかの様に
爽はさらに笑い、頬を緩めた
その笑みは、星明かりを受けて 一層柔らかく輝いて見えた気がした
空気の張り詰めた恐怖はすでに薄れ
夜の静けさの中で 二人の呼吸だけが重なっていた
遠くで虫の声が響き 夜風は草木を渡り始め
旅の再開を静かに促す様に 周囲の音が、戻ってきた
俺は夜空を仰いだ
群青に溶けるような無数の星々の中 ひときわ速く光の筋が走る
─────流れ星だ
一瞬で消えたその光跡を 俺は静かに目で追いながら
心の奥で静かに願った
爽は夜風に髪を揺らし、力強く頷いた
先ほどまで 胸を締め付けていた恐怖は、もう無く
代わりに 父上と並んで歩む、温もりだけがあった
俺たちは歩き出す 草を踏む足音と、夜の虫の声
それに混じり 腰の鞘がカタカタ、と小さく鳴った
─────まるで
「遅れるなよ」と言わんばかりに
二人と一本の刀を抱え 夜の道が静かに続いていた
さぁ、またやって来ました ─────────“選択”の時です
早速ですが…… ……貴方に“選択”をして頂きましょうか
今、私の手の中には三つの宝石があります
……どれも 世界にほんの僅かしか存在しない 希少なものです
黄金に輝く、インペリアルトパーズ
その光は柔らかく温かで 触れる者の心をそっと満たしてくれます
深い闇を映す、セレンディバイト
青みを帯びた黒の中で光が微かに揺れ 静かに力を与えてくれます
赤と青が混じる、アレキサンドライト
光によって色を変えるその輝きは まるで、時間そのものを宿しているかの様です
綺麗でしょう? 私の数あるお気に入りの1つなんです
光を放ち 空気をわずかに震わせるその姿は
ただ、そこにあるだけで 世界の片隅をそっと揺らすようで…
─────ふふ 熱く語りすぎましたね
……貴方が選ぶことで この物語は、変化を起こすでしょうね それは、良い方へも、悪い方へも……
─────さて…… 貴方なら、どれを選びますか?
コメント
3件
インペリアルトパーズですかね…あったかい雰囲気が好きなもので!でも!師匠の作る物は全部神作なのでどれでもいいですよ!
いや〜震えました〜マジで最高すぎる!「インペリアルトパーズ」を残します。続き待ってまーす♪
インペリアルトパーズ セレンディバイト アレキサンドライト…… それぞれコメントに残していって下さいね