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主
主
主
主
主
東京の春は
花粉と共にやってくる。
桜が咲き始める頃
涙兎は高校を
休みがちになっていた。
病院の白い天井を
見つめている時間の方が
おおかった。
医者
涙兎
涙兎は診察室へ移動した。
医者
医者
医者の声は淡々としていた。
涙兎は、驚かなかった
ただ……
やっぱりかと思っただけだった。
両親には心配をかけたくなかった。
だから、友人にも何も言わず、
ただ日常の中で
静かに終わりを受けていた
そんなある日
母がふとしたこで
古い箱を渡してきた
涙兎の母
涙兎の母
涙兎の母
何気なく箱を開けた涙兎の手が止まる。
そこに入っていたのは
1冊の手紙だった。
涙兎は見覚えがあった
涙兎
涙兎
涙兎
中学校時代
隣のクラスにいた美奈
明るくて
でもどこか人に心見せない
不思議な雰囲気をまどっていた
涙兎はいつの間にか
彼女に惹かれていったが
気持ちは伝えられなかった。
その美奈が
卒業後……
交通事故で亡くなったという
話を聞いたのは、
高校に入ってしばらくしてからだった。
涙兎は手紙をそっと開く。
そこには……
彼女の文字で書いてあった。
茉未
涙兎の心に、何かが灯った。
病に蝕まれていく体の中で
唯一あたたかいものだった。
そして彼は
この手帳に導かれるように
奇妙な
夢を見るようになる。
春に包まれたどこか懐かしい教室。
笑い声。
風に舞う花びら。
そして
その中に微笑む一人の少女
美奈
彼女の名前は、夢の中でも美奈だった。