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けぺ
「いらっしゃいませ」
席に案内しようと寄ってくるメイドに会釈し、視線だけで兄貴を探す
サンウ
兄貴は遠くでテーブルを拭いていた
こちらに気づいていないのだろうか、ひたすら入念にテーブルを拭いて顔を上げようとしない
メイド
サンウ
メイド
サンウ
メイド
メイド
焦ったような顔でメイドは兄貴の元に走っていった
二人でなにやら話し込み、兄貴は怪訝な顔をしてため息をついている
しばらくして兄貴がテーブルに来てくれた
ギフン
サンウ
ギフン
サンウ
サンウ
ギフン
ギフン
サンウ
サンウ
兄貴は手を組み直し、俯いたまま口を開く
ギフン
「もう大丈夫」
この意味がわからなかった
サンウ
サンウ
ギフン
ギフン
ギフン
ギフン
気まずそうに兄貴はこちらに視線を向けた
初めは出来心だった
ただ、メイド服で働く兄貴がなんとなく気になって
それで、週1で通おうかなんて考えた
でも兄貴が他の客にしつこくされているのを見て、ひどくイライラした
そこで理解した
ああ、兄貴は俺が見てないとダメなんだなって。
人の悪意にも鈍くて、本当に抜けているというか、目を離すと不安になる
だから、毎日
毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日
毎日通った
チェキは初めは机の上にまとめて整理していたけど、いつしかそれが幅を取るようになって
壁に飾り出したら、常に兄貴を見ている気がして安心した
それで、本物の兄貴を常に見ていたくなって、兄貴のシフトを他のメイドにきいた
兄貴の友人で名が通っていたからすぐ教えてくれて、兄貴の出勤も退勤もずっと見守れて嬉しかった
兄貴なら、あの優しいギフン兄貴なら、
許してくれるよな?
ギフン
ギフン
ギフン
サンウ
ギフン
ギフン
サンウ
サンウ
サンウ
サンウ
サンウ
サンウ
ギフン
ギフン
ギフン
ギフン
ギフン
サンウ
驚いた
店の裏にまで連れていかれて、何の話をされるかと身構えていたらこれだ
ギフン
サンウ
ギフン
サンウ
ギフン
伸ばした手の先、兄貴はひどく怯えた顔をしている
サンウ
ギフン
サンウ
サンウ
サンウ
サンウ
サンウ
サンウ
そこまで言って、兄貴が泣いているのに気付いた
小さく鼻をすする音が聞こえる
サンウ
ギフン
サンウ
目の前で嗚咽を漏らしながらすすり泣いている兄貴を俯瞰した
そして、わかった
兄貴は俺を拒絶している。
サンウ
兄貴に一歩近づく
サンウ
兄貴にまた1歩近づくと、兄貴は1歩下がろうとしたが、後ろは壁だった
サンウ
薄く化粧の施された顔を片手で掴む
兄貴は恐怖ゆえか、視線を逸らすことができないようだ
サンウ
サンウ
ギフン
サンウ
サンウ
サンウ
ギフン
自然に手に力が籠っていた
顔を離してやると、兄貴の頬は少し赤く色づいていた
ギフン
兄貴は腰が抜けたのかそのままへたりこんだ
注視するとその肩は僅かに震えている
サンウ
サンウ
サンウ
サンウ
ギフン
ようやく顔を上げた兄貴と視線がかち合う
困惑と失望、そして恐怖に濡れた瞳に、理性にヒビが入るのがわかった
サンウ
サンウ
けぺ
けぺ
けぺ
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