コメント
2件
参加ありがとうございます…! 言葉選び、メンバーの心情が伝わってくる素敵な作品で終わるのがあっという間でした。本当にありがとうございました。これからも読み返します
ひつじがいっぴき
ひつじがにひき
ひつじがさんびき
ひつじが、、、
人は眠れないとき、羊を数える
感情で「涙の味」は変わる
人間の鼻は5万種類の匂いを記憶できる
そんな、人間の不思議
俺はひとつづつ
その意味を考えている。
俺の家には返してくれる人がいない
かつて一緒に過ごしていた恋人、いるま
いまとなっては遠い空の存在だ
そんな俺が寂しくない理由
それはある意味、
友達に恵まれているからなのかもしれない
ガラガラガラッ
テンテー
テンテー
俺の頭はずっと上の空状態で、
誰が何を言っても全く頭に入ってこなかった
俺はもう既に心臓が張り裂けそうだった
俺はなんだかちょっと心が軽くなった気がした
俺といるまとの出会いは
よくある、衝動的な出会いでもなんでもなくて
ただ、物心ついたときからずっと
隣にいた存在。
いるまに対してずっと恋心を抱いていた俺は
中学にあがって、あまり話さなくなったいるまを
影からそっと見ることしか出来なかった
あの日の夏休み前日
俺は忘れ物を取りに教室に戻ろうとした
モブ
完全な告白だ
モブ
モブ
そんなたどたどしい会話に俺は思わず吹き出した
キーンコーンカーンコーン..
距離が少し縮まった日。
星空を一緒に眺めた日も。
いるまが俺の前から消えた日も。
俺にとってはたった一日の出来事だって思う
約束したもん、
きっと神様が迎えに来てくれるって
一年に一回
織姫様と彦星様が出会える七夕
7月7日
俺ら2人が出会える日
8月3日
俺が告白した日
一年に一回の幸福
神様に感謝しないとなっているまは言う
そのとき俺は決まってこう答える
一年に一回って____。
数年後、
俺はいるまに会えなくなった
橋が、封鎖されたんだ
いるまの元へ行ける橋が。
スマホを開くと、1件L〇NEが来ていた
たったそれだけだった
着替えながらなつに電話をかける
通話
00:00
こさめかよと思いながら出にくい声を絞り出す
ゆきを気にしてか、通知で飛んでくる文章
通話
07:03
滑り台で遊ぶゆきを横目で見ながら木の棒で地面をいじる
学生だろうか、少しチャラそうな男の子
ゆきは楽しそうにぶらんこに乗っている
見覚えのあるくしゃっとした笑顔
隣の子の匂いを乗せて
風はふわっと俺の元へ運ばれた
そのとき、俺の頭の中で走馬灯のように思い出が走ってきた
言ったでしょ?
俺、いるまの匂い好きだって
𝑭𝒊𝒏.