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梅澤

さぁ、始めようか。両者、準備はいい?

飛鳥

あぁ。

与田

はい。

バサッ

梅澤が勢いよく旗を振り下ろした。スタートの合図だ。 この瞬間、チーム存続を賭けたLost and foundの、 絶対に負けられない戦いの幕が上がった。

え?チーム存続ってどういうこと?だって?それは、遡ること数週間前…

ー数週間前ー

さくら

やったー!今回も私の勝ちー!

賀喜

あーあ。また負けた。やっぱそのニトロ強すぎだって。ずるいよ~

さくら

じゃあ、賀喜もやってもらえば?チューンアップ。

賀喜

やってもらっても意味ないよ。私じゃ乗れないもん。

あの整備士コンビのチューンアップは異次元なのだ。 自分が予想していたよりも遥かにスピードアップしてしまう。 しかも、あまりの反動に普通の人間は運転することが出来ないのだ。 車の造詣が1番深い賀喜であっても。

さくら

そっか。ごめん。

賀喜

w別に謝ることじゃないよ。

他愛もない話をしていると、どこからか、

ブゥゥゥゥゥン

聞きなれたエンジン音が聞こえてきた。

賀喜&さくら

ん?

音がした方を見てみると、見慣れた白のアメ車がこちらに向かっていた。

さくら

与田ー久しぶり…?

アメ車から降りてきた与田の顔はとても焦っているようだった。

賀喜

与田?焦った顔してどうしたの?

与田

…落ち着いて聞いて。

さくら

うん。

そう言うと、与田は深刻な面持ちで話し始めた。

与田

…私たちがよく言ってるダイナーあるでしょ?

賀喜

あぁ。ご飯美味しいとこ。

与田

そう。そこをRain Bringerが買収して、別のお店にする。って…

さくら

え?

賀喜

あのダイナーは3人にとって大切な場所である。それが買収されてしまう…

与田

あ…あと、噂で聞いたんだけど、賀喜…

与田

Rain Bringerに行くの?

さくら

は?

私は初耳だった。

さくら

いや…は?どういうこと?

賀喜

…正確には、山下にこっちに来ないか?って誘われただけで、
まだなにも返事はしてない。

さくら

…賀喜はどうしたいの?

賀喜

正直、迷ってる。Rain Bringerは実力者たちが集まってる。
あそこに行けば、もっとテクニックを磨けるかもしれない。
でも…Rain Bringerに入ってしまうと…さくらを裏切るような気がして…。
どうしたら…

さくら&与田

どう返したらいいのか、返答が見当たらなかった。

さくら

賀喜の気持ちは分かった。分かったけど…
やっぱり、私は、このチーム、この3人の空間が好き。それだけ言っておく。
後は賀喜、自分で決めな。

賀喜

ーそれから数日後ー

プルルルル

賀喜の電話が鳴った。Rain Bringerの山下からだった。

山下

賀喜、あの誘いの返事はどうだ?気持ちは決まったのか?

賀喜

はい。

山下

お!ってことは?

賀喜

私、Rain Bringerには行きません。

山下

は?

賀喜

やっぱり私はLost and foundの仲間と強くなりたいんです。
お誘い、ありがとうございました。

山下

それが賀喜の答えか。分かった。

ブツッ

電話が切れた。

賀喜

…これでいい。

一方山下は…

思いもしない返答に頭を抱えていた。

山下

せっかく誘ってあげたのになぁ…

生田

じゃあ、力づくで奪っちゃえば?

今度は生田から思いもよらない発言が。

山下

は?

生田

だから、走り屋らしく、レースで奪い合えってこと。

山下

奪い合うねぇ…でも、あっちはこっちに来たくないって言ってる。

生田

でも、ここで引けないだろ?

山下

まぁ…

生田

じゃあ…?

山下

分かった。

そしてまたLost and foundへ…

さくら

そう。行かないって言ったんだ。

賀喜

うん。これからもよろしく。

与田

ふふっwそんな改まらなくて良いよ。

プルルルル

さくら

ん?

さくらの電話が鳴った。山下からだ。

山下

やはり賀喜はこちらに欲しい。もう一度考えてくれないか?

さくら

は?それは賀喜本人に聞いてほしい。なんで私に?まぁ、賀喜は渡さないけど。

山下

やっぱり。じゃあ、レースしよう。

さくら

山下

レースで勝った方が賀喜をもらう。どう?

さくら

なるほど。面白い。

山下

いつがいい?

さくら

じゃあ、来週はどう?

山下

分かった。じゃあ、待ってるよ。

プツン

与田

さっきの電話、なんだったの?

さくら

山下からのレースのお誘い。

与田

なんでこのタイミングで?

さくら

とにかく、日にちは来週。

賀喜

分かった。

ーレース前日ー

さくらと賀喜はガレージにいた。

さくら

ついに明日だね。

賀喜

うん。

さくら

明日はこいつの初陣だ。

バサッ

私が車に被さっていた布を取ると、美しい赤のマスタングが姿を現した。 これは元々私の父親のものだ。 使っていいと言われていたが今まで使ってこなかった。

賀喜

さくら、鍵

パシッ

さくら

ありがと。…あのさ、遥香…

賀喜

ん?

さくら

いや。やっぱ何でもない。

賀喜

え?何?普段“遥香”って呼ぶことほとんどないのに急に呼ぶし、
なのになんでもないって?

さくら

いや、ここでなんか言うとさ、なんちゃらフラグ立っちゃうじゃん?

賀喜

あー。確かに。

さくら

賀喜、勝つぞ。

賀喜

あ~!また賀喜呼びに戻った~!

さくら

いいじゃん。ほら。

私が右手の拳をグータッチしろと言わんばかりに、賀喜の前に差し出した。

賀喜

うん。

ガラララ

ガレージのシャッターが開いた。

与田

あ!ちょっと~私抜きで絆深める~的なことしないでよ~

さくら

あwごめんごめん。じゃあ3人で。絶対勝つぞ!

与田&賀喜

おー!

3人で改めてグータッチをした。

ーレース当日ー

さくら

ついに今日か…

賀喜

勝とう。

与田

うん。

ーレース会場へー

レース会場に着くと、もう先にRain Bringerたちが来ていた。 すると山下がふいにこちらに近づいてきた。 そして賀喜の耳元で何かを囁いた。

賀喜の耳元でー

山下

なぁ。今からでも答えを変えてもいいぞ。

賀喜

いえ。答えは変わりません。私はこのレースに勝ちます。

山下

分かった。

さくら

山下、賀喜に何吹き込んだ?

山下

いや。何も。
ただ、答えを変えてもいいと言ったが、変えないときっぱり言われたよ。

さくら

ふぅん。じゃあ、山下の答えは?レース、取りやめにする?

山下

するわけないだろ。もちろん、力ずくで奪う。

さくら

まぁ、そうなるよな。

さくら

…しかし、意外と強引なんだね。いやだって言ってるのに奪うだなんて。

山下

走り屋ってのはそういうもんじゃないのか?

さくら

さぁ?少なくとも私はそうは思わないが。とにかう、賀喜は絶対に渡さない。

山下

奪って見せる。

さくら

あ、ついでに。

山下

なんだ。

さくら

あのさ、うちのダイナー買収するってホント?

山下

あぁ。そうだが。何か悪いことか?ドイツ料理屋に変えるだけだぞ?

さくら

あのダイナーにはな、私たちの思い出が詰まってる。何が何でも買収はさせない。
だから、追加の条件として、
勝った方がダイナーをどうするか決めるってのはどうだ?

山下

いいよ。面白そう。ダイナーと賀喜の取り合いか。

さくら

そういうことだ。

ちょうど2人の会話が終わろうとしていたとき、

アナウンス

レース開始10分前です。レーサーの皆さんは場所に着いてください。

さくら

そろそろか。

山下

じゃあ、お互い、約束は守れよ。

さくら

ー現在ー

スタートの合図と同時に走り出した。若干金色の車が速いように見える。 金色の車のレーサーは齋藤飛鳥。Rain Bringerの中でも圧倒的に速い。

与田

くっ…

全力でアクセルを踏む。しかし、相手も同じタイミングで踏み、 しかもあちらの方が速いため追いつけない。

与田

なんなのあれ…全く追いつけない…

Lost and foundチーム劣勢のまま第二走者へと、繋がれた。

与田

ごめん賀喜…

与田の思いを受け取り、全力で追い上げを試み、 相手の後ろにぴったり着くことが出来た。 が、やはりRain Bringerは速い。 第三走者の繋ぐころにはまた差がついていた。

賀喜

さくら!任せた!

私はさくらに届くよう、ありったけの声で叫んだ。

その声はしっかりと私の元に届いていた。

さくら

任された。

この一言と共に、ギアMAX、アクセル全開で 一足先に出た山下の車を追いかけた。

そしてとうとう山下の車と横並びになる直前のところまで追いついた。

しかし、このままでは山下が先にゴールしてしまう。

この車にもニトロが搭載されている。使うと一瞬だけ急加速する。 一瞬だけなため、使うタイミングがとても重要なのだ。

さくら

(使うのはゴール直前…それまでこの距離を絶対維持する!)

そしてゴール前へ…

さくら

今だ!

ポチッ

さくら

ガッ…反動が…耐えろッ…いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!

その瞬間、

山下をギリギリで抜かし、ゴールした。

つまり、勝ったのだ。 Lost and foundがRain Bringerに。

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