小学生にはむずかしい！

「 小学生には難しい ！ 」

放課後。15時半はとっくに回ってるくらい

なつくんによると「2人だけの秘密のお話」してくれるらしい。 …はずなんだけど

話があるって言ったのはなつくんからだったのに、いざとなれば口を開くどころかびっくりするくらいだんまりしちゃってる

なつくんが恋してるのとか想像もできないけど…、何だか言いにくそうな感じだし＿

（ ｽ ｯ

なんだぁ …それだけか。 何だか安心したような、ホッとしたような気持ちになる。 てっきり好きな子が出来たとか、付き合ったとか恋愛関連でなにかあったんじゃないかなってドキドキしてたから。

まさかこさめに好きって言うために呼び出したなんて考えてなかったけど、こさめだってなつくんは大切な「友達」なんだから好きに決まってる。

無駄に暑い帰り道、なつくんの話も耳に入らないほど思考をめぐらせる。 …なつくんに対してのほんの些細な疑問について。

さっきからなつくんの距離が異様に近い事も、でれでれしてくる事も、全てが珍しくて違和感すら覚えてしまう。 なんなら今思い返せばなつくんがわざわざ呼び出して、友達に「好き」なんて告白みたいな事を囁くのも違和感しか感じない。

「好き同士」「友達じゃない｣ すっかり脳裏に焼き付けられたその言葉に驚く暇もなく、ただ頷く事しかできなかった。

「 好きって、友達としてじゃないの？ ｣なんて聞ける気力すらその時のこさめには湧かなかった。