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コメント
11件
...辛かったね... ...😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭
優しい人という事が分かる、人の辛さが分かる作品だ!✨ 凄いなぁ👏 続き楽しみにしてますね❤︎
この物語読んで東日本大震災の辛さが知ったかも…うちは経験してないけど…
なおゆあ 🔞🍐 東日本大震災 実在の災害を題材にしたフィクションです 辛い内容が含まれます つらかったら読むのを止めてください
海の近くの町で俺らはよく過ごしていた
放課後になるとなおきりさんが俺を連れて防波堤まで歩く
特別なことをするわけじゃない
ただ海を見てくだらない話をして帰る
それだけの時間だった
でも俺にとってはそれが1番大切な時間だった
ある日、春の少し冷たい風の中で なおきりさんがぽつりと呟いた
なおきりさん
ゆあんくん
なおきりさん
なおきりさんは海を見たまま続けた
なおきりさん
ゆあんくん
なおきりさん
なおきりさんは少し照れたように笑う
なおきりさん
その言葉に俺の心臓は大きく跳ねた
しばらく沈黙が続いたあと、なおきりさんは静かに言った
なおきりさん
ゆあんくん
すぐには答えられなかった
でも胸の奥が暖かくなっていってるのを感じる
ゆあんくん
それだけ言うのがやっとだった
なおきりさん
ゆあんくん
なおきりさん
ゆあんくん
なおきりさん
俺は小さく頷いた
その数日後
大きな揺れが町を、襲った
立っていられないほどの地震
鳴り止まないサイレン
人の叫び声
俺らは必死に走った
海の方を見た瞬間俺は凍りついた
ゆあんくん
黒い壁のような波が、町へ向かっていた
逃げなければならない
頭では分かっているのに 足がうまく動かなかった
そのとき、なおきりさんが俺の背中を強く押した
なおきりさん
ゆあんくん
なおきりさん
俺は何度も振り返りながら坂を駆け上がった
なおきりさんもすぐ後ろにいると思ってた
けれど
振り返った時には
なおきりさんの姿は無かった
巨大な波が町を飲み込んでいた
数ヶ月後
町は静かだった
壊れた建物も、空き地もまだ残っている
俺は1人で海を見に来ていた
あの日と同じ場所
静かな波の音だけが聞こえる
ゆあんくん
返事は無い
それでもしばらく海を見ていた
胸がギュッと、痛む
あの日最後に見た背中
最後に聞いた声
それでも、俺はゆっくりと息を吐いた
ゆあんくん
ゆあんくん
波が静かに打ち寄せる
俺は空を見あげた
青くて、広くて、あまりにも普通の空だった
ゆあんくん
ゆあんくん
海は何も言わずに波の音だけを返していた