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LIN1120

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LIN1120

1 - あ

♥

32

2023年09月12日

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ヨシノ

ハルト、どこにいるの?

ヨシノ

ヤエが大変な事になってるんだけど

ヨシノ

階段から落ちて、ケガしてるの!

ハルト

え、なんだって

ハルト

お前、今帰って来たの?

ハルト

ずいぶん遅かったじゃないか

ヨシノ

今日は残業で帰宅が遅れるって連絡いれたよね

ハルト

あれ?そうだっけ?

ハルト

全然スマホ見てなかったから気付かなかったよ

ヨシノ

もう、私が日曜日出勤だから

ヨシノ

一日中きちんと見ててってお願いしたでしょう?

ヨシノ

それなのに、どうしてヤエを一人で残して

ヨシノ

出かけちゃってたのよ!

ハルト

だってヤエはぐっすり昼寝してたから、1~2時間は平気かなって思ってさ。

ハルト

悪かったよ。

ヨシノ

悪かった、じゃないわよ!

ヨシノ

家に帰ったらヤエがわんわん泣いてて可哀そうだったわ

ハルト

泣いてたっつったって、大したことないんだろ?

ハルト

ちゃんと家にいたんだから、いいじゃん。

ヨシノ

良くないわよ!

ヨシノ

足がすっごい腫れてんの!

ハルト

え、そうなの?

ハルト

病院なんておおげさじゃね?

ハルト

薬局で売ってる湿布でも貼っておけば治るっしょ。

ヨシノ

ふざけないで。

ヨシノ

ヤエ、すごく痛がってるんだから。

ヨシノ

とにかく車を使いたいから、さっさと帰って来てよ。

ハルト

あの

ハルト

それがさぁ、いま渋滞に巻き込まれてて…。

ハルト

高速にいるんだけど、家に着くまで時間がかかりそうなんだ。

ヨシノ

はあ?高速って、そんな遠くに行ってたの?

ヨシノ

ヤエを一人で家に残して?

ハルト

だってしょうがないじゃん。

ハルト

俺だってせっかくの日曜なのに、

ハルト

ヤエと一緒にいたら何にも遊べないじゃないか!

ヨシノ

そんなの親なんだから当たり前でしょ。

ヨシノ

まだヤエは5歳なんだから、自分の遊びよりヤエの面倒を見るほうが優先なの!

ハルト

知らねーよそんなの。

ハルト

自分の育児論押し付けんじゃねぇよ。

ハルト

俺は自由が無くなるのが一番嫌いなの。

ヨシノ

呆れた。あなた自分が何歳だと思ってるの?

ヨシノ

34歳にもなる大人の男が言う台詞かしら?

ハルト

黙れ!

ハルト

素直に帰ってやろうと思ったけど、やっぱやめたわ。

ヨシノ

え?

ヨシノ

ヤエの病院はどうするの。車が必要なんだけど。

ハルト

タクシーでも使えよ。

ハルト

言っておくけど、生活費からタクシー代を出すんじゃねーぞ。

ハルト

お前が日曜日に仕事を入れなければ、

ハルト

ヤエだってケガなんかせずに済んだんだからな。

ヨシノ

…あなた、それでも父親?

ヨシノ

少しは、ケガした娘が心配だと思わないの。

ハルト

ケガなんか放っておけば治るだろ。

ハルト

子供は回復が早いんだからさ。

ヨシノ

そんな…。

ハルト

分かったら、さっさと自分で病院に連れて行けよ。

ヨシノ

あなたはいつ帰ってくるのよ。

ハルト

うるせーな。

ハルト

いちいち干渉するな。おふくろじゃあるまいし。

ヨシノ

ヤエが心配じゃないの?

ハルト

ケガの具合がわかってから連絡しろよ。

ハルト

治療代くらいはあとで出してやってもいいぜww

ヨシノ

ヤエの治療費はかからないと思うわ。

ヨシノ

乳児医療証があるから、タダだもの…。

ハルト

そうかwwじゃ、早く病院に連れて行ってやれよ

ハルト

まあ、おれは渋滞中だし、もう少し息抜きしてから帰るわww

ヨシノ

わかったわ

~2時間後~

ヨシノ

ヤエのケガの具合がわかったわ

ハルト

ふーん。どうだった?

ヨシノ

右足小指の骨折よ。

ヨシノ

全治1か月と診断されたわ…。

ハルト

そっか。

ヨシノ

そっか、って…なんでそんなに他人事なの。

ヨシノ

あなたがヤエを見ててくれてれば

ヨシノ

こんな大怪我しなくて済んだのに。

ハルト

治るんだろ?

ハルト

そんなに騒ぐことじゃないっての。

ハルト

大怪我ってほどじゃぁないだろ、小指の骨折なんてさ。

ヨシノ

何を言ってるの!

ヨシノ

足のケガがどんなにつらいか、想像出来ないの。

ハルト

子供の怪我程度で騒ぎすぎだよ。

ヨシノ

あなたが無神経すぎるのよ。

ヨシノ

ヤエはケガのせいでしばらく走れないし、

ヨシノ

階段を登るのだって辛いのよ。

ヨシノ

少しは責任を感じて欲しいわね。

ハルト

はぁ。そんなに責める事ないじゃないか。

ハルト

でも、まあ悪かったよ。

ハルト

で、そろそろ帰ってくるんだよな。

ヨシノ

帰るわよ。やっと診察も終わったし。

ヨシノ

あなたはもう帰宅したの?

ハルト

ああ、帰ってるよ。

ヨシノ

それなら病院まで迎えに来て!

ヨシノ

市民病院の救急外来にいるから。

ハルト

悪い、それは出来ないや。

ヨシノ

え、なんでよ。

ハルト

酒飲んじゃったから。

ヨシノ

はあ?酒を飲んだですって?

ヨシノ

ヤエが大変な事になってるっていうのに、何をのんきに…。

ヨシノ

せめて車で病院に迎えに行こうとか、ないわけ?

ハルト

だって行く時もタクシー使ったんだろ?

ハルト

帰りもそうすればいいじゃん。

ヨシノ

本当にアナタって人は冷たいわね。

ヨシノ

もういいわ。アナタをアテにするより、

ヨシノ

タクシーの運転手のほうがよっぽど親身だったわよ!

ハルト

ふん、最初からそうすればいいんだよ。

ハルト

ちょっと子供をほっといたくらいで、ネチネチ言いやがって。

ヨシノ

もう黙ってて。

ヨシノ

これから帰るから。

ハルト

あ、そう。

ハルト

俺はどっかに飲みにいってくるわ。

ハルト

お前らの気分の悪いツラなんて見たくもないしな。

~2時間後~

サクラ

こんにちはぁ、奥さん♪

ヨシノ

はあ?どなた?

サクラ

いきなりこわいなぁ(汗)

ヨシノ

誰だか分からないけど、なんで私のLINEを知ってるの。

サクラ

ご主人のスマホから、奥さんのLINEのIDをゲットしたんですよ♪

サクラ

私、どーしても奥さんとお話ししたかったから。

ヨシノ

主人のスマホからIDをゲット?

ヨシノ

どういう関係?

サクラ

もう、お察しのクセに!

サクラ

私、ご主人と仲良しなんですよ、私。

ヨシノ

へえ~。

ヨシノ

それでわざわざ私にLINEをくれたんだ。

ヨシノ

で、仲良しってどの程度の関係かしら。

サクラ

ん~、時々私の家に来て、お夕飯を食べて行ったり

サクラ

日帰りで旅行に行ったりしますよぉ。

ヨシノ

日帰り旅行ねぇ。誰の車で?

サクラ

もちろん、ハルトさんの車で連れてってもらうんです。

サクラ

だって乗り心地のいい電気自動車でしょ?

ヨシノ

はぁ。

サクラ

あと、誕生日にはブランドの指輪をプレゼントしてくれましたよ!

サクラ

いくらのモノだと思います?

ヨシノ

さあ?

サクラ

20万円もするモノですよ!

サクラ

他にも、私が欲しいって言ったモノはなんでも買ってくれるんです。

ヨシノ

プレゼントをもらうだけ?

ヨシノ

つまり、ハルトに愛されてますよ~って言いたいんですかね?

サクラ

そうですよ、もちろん。

サクラ

奥さんにはそんな高いモノはプレゼントした事ないって言ってましたしね。

ヨシノ

確かに、プレゼントはそんな高いモノはもらってないわね。

ヨシノ

時々ハルトが朝まで帰ってこない事があるのは、

ヨシノ

あなたと一緒にいるからよね。

サクラ

そうですよ。私がね

サクラ

奥さんが心配するから早く帰ってってお願いしても

サクラ

サクラと一緒に居たいから帰りたくないって言うんです。

ヨシノ

あ、そう。

ヨシノ

もしかしたら、今もハルトはアナタの家に居るの?

サクラ

そうですよ。お酒飲んで寝てますけど♪

サクラ

さっきまで、ずっと愛し合ってたんです。

ヨシノ

それはそれは…。

ヨシノ

今日、ウチの娘が骨折した事は聞いてる?

サクラ

はあ、そうらしいですね。

サクラ

なんか奥さんが子供を置いて遊びに行っちゃって、

サクラ

その間にお子さんが階段から落ちたって言ってましたよ。

ヨシノ

え?

サクラ

小さい子をほったらかして遊びに行くなんて、

サクラ

母親としても最低ですね、奥さん。

ヨシノ

はあ?

サクラ

そんなんだからハルトさんに愛想つかされるんですよぉ。

サクラ

ママならちゃーんとお子さんの面倒を見て上げなきゃね。

ヨシノ

もう、どこから突っ込んで良いのかわからないわ。

ヨシノ

子供を放置して遊びに出かけたのはハルトのほうよ?

サクラ

え?

ヨシノ

あのさぁ…ハルトは、今日の昼間もあなたの家にいたの?

サクラ

そうですけど?

ヨシノ

私は今日の昼間は仕事だったの。

ヨシノ

日曜日だし保育園もやってないから、

ヨシノ

ハルトに、子供を見ているように頼んでいたのよ!何日も前からね。

サクラ

え?うそぉ!

サクラ

ハルトさんは、奥さんが家事も育児も俺に押し付けるから、困ってるって言ってましたよ。

ヨシノ

私がもし、そんな悪妻だったら、

ヨシノ

ハルトもアナタとデートなんてしてる場合じゃないよね?

ヨシノ

母親が子供の面倒を見ないなら、父親の出番でしょ?

ヨシノ

ハルトがアナタと不倫してられるのは、私が子供の面倒を見てるからよ。

サクラ

そ、そうだけど…。

サクラ

でも、お子さんがケガしたのは奥さんのせいだって言ってたわ。

ヨシノ

それは、ウソよ。

ヨシノ

ハルトがアナタの所に出かけている間、あの子は一人で留守番させられてたの!

ヨシノ

夕方、私が返ったら大泣きして足を腫らしてたんだよ。

サクラ

それは…私に言われても困るわ!

ヨシノ

アナタも無関係じゃないわよ。

サクラ

え?どういう意味?

ヨシノ

別に意味なんて分からなくてもいいわ。

ヨシノ

あと、ハルトに伝えておいて。

ヨシノ

当分家に帰ってくるなってね!

~翌日~

ハルト

おいヨシノ、お前警察になんか言っただろ!

ヨシノ

さあ?何のことかしら。

ハルト

いきなり警察官が来たんだよ!

ヨシノ

ああ、昨日のヤエのケガの件だね。

ヨシノ

アナタが未就学児であるヤエを、家に放置して遊びに行って、

ヨシノ

家に一人残されたヤエが大怪我をしたから、

ヨシノ

〇待していたのかも、って警察に相談したの!

ハルト

へ?

ヨシノ

ところでアナタ、今どこにいるの?

ヨシノ

あなたがいる場所に、警察が来たわけでしょう?

ハルト

そ、そうだけど。

ハルト

どこにいるのかなんて、お前には関係ないだろ。

ヨシノ

自分から言うつもりはないようね。

ヨシノ

じゃあ、私から言ってあげる。

ヨシノ

あなた、サクラさんって女性の所にいるんでしょ?

ハルト

へ?

ハルト

なんでその事を…。

ヨシノ

昨日わざわざサクラさんが連絡をくれたのよ。

ヨシノ

私のLINEにね!

ハルト

なんだって!

ヨシノ

本当よ、LINEのスクショもおくってあげようか?

ヨシノ

~画像送信~

ハルト

あ、あいつこんな余計な真似を…。

ヨシノ

まあ、これで認めざるを得ないわよね。

ヨシノ

ヤエを放置して、浮気相手の所に遊びに行ってたって事で。

ハルト

お前、ヤエのケガが許せないからって、ここまでしなくてもいいだろ。

ヨシノ

なに言ってんの。

ヨシノ

こんなものじゃ済まないわよ。

ヨシノ

ヤエが独りぼっちで3時間も放置されて、どんなに心細かったか分かる?

ヨシノ

それだけでも十分、許せないことなのよ!

ハルト

それは、謝ったじゃないか。

ヨシノ

謝って済むなら警察には相談しません!

ヨシノ

それに浮気に、飲酒運転まで!

ハルト

あ、それは…。

ヨシノ

浮気の事は別問題だけど、ヤエの件と飲酒運転の事は

ヨシノ

しっかり警察に相談しておいたから。

ヨシノ

ちゃんと反省してもらわないと困るわ。

ハルト

そんな!警察沙汰は勘弁してよ。

ヨシノ

ダメよ。

ヨシノ

それから、浮気の件もきちんと責任をとってもらうわ。

ハルト

え、そんな…。

ハルト

まさか離婚するとか言わないよな?

ヨシノ

もう無理よ。

ヨシノ

子供を放置された時点で、私の決心は固まったわ。

ヨシノ

もうあなたとはやっていけない。

ハルト

ま、待ってくれよ。俺反省したから!

ハルト

ヨシノの事も、ヤエの事ももっと大事にするよ~。

ハルト

だから許してよ、な?

ヨシノ

まあ、諸々は警察の件がすんでからにしましょ。

ヨシノ

もう一緒に住む気はないから、ウチには帰ってこないでね。

ヨシノ

ヤエもパパ怖いって言ってるしね。

ハルト

そんな。

ハルト

なあ、考え直してくれよ。

ハルト

追い出されたら、俺やっていけないよ…。

ハルト

サクラ…

~後日談~

ヨシノ

ハルトはその後、あらためて警察に事情を聞かれ、

ヨシノ

起訴はされなかったものの、こってりと怒られたらしいです。

ヨシノ

まあ、未就学児の保護責任遺棄とか、

ヨシノ

飲酒運転とか、いろいろやらかしましたからね…。

ヨシノ

一緒に暮らしていた夫が、こんなにヤバイ男だと

ヨシノ

気付かなかったのは、不覚だったと思います。

ヨシノ

もちろん、浮気についてもキッチリ話し合いました。

ヨシノ

そして、ハルトとサクラの両方に慰謝料を請求し

ヨシノ

世間の相場とほぼ同額の慰謝料を払わせる事に、成功しました。

ヨシノ

ストレスの元凶がなくなって、とてもスッキリしました。

ヨシノ

これからは、娘のサクラをしっかり守って

ヨシノ

母親として頑張っていこうと思います!

ヨシノ

聞いて下さってありがとうございました。

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