黄色い薔薇は咲かぬ日々 第40話
与根宮 桜子
……え?
黒蝶 弥生
だって……あの方が自ら進んで後宮に選ぶなんて初めてですもの
黒蝶 弥生
他の後宮は後宮の方が進んでなりにいったケースしか聞いたことがありませんし
黒蝶 弥生
「わたくしは貴夾公爵に推薦されて後宮になった桜子です」と自慢をしても誰も何も言わないと思います
黒蝶 弥生
もし後宮から降りることになったとしてもその時はきっと貴夾夫人が望んだ時かと…
黒蝶 弥生
どんな方法を使って貴夾公爵を惚れさせたのか教えていただきたいくらいですわ
与根宮 桜子
惚れさせただなんて…あったとしても一時の興味ですわ
与根宮 桜子
彼にも後宮は他にも…いますし
黒蝶 弥生
……あら…
黒蝶 弥生
もしかして夫人ってヤキモチ妬きですか?
与根宮 桜子
…ヤキモチ妬き…?
黒蝶 弥生
ふふ笑なんだか安心ですわ
黒蝶 弥生
お年頃の女の子なのに後宮としての振る舞いなど気にするなんてませてるお嬢さんだなあと思ってましたので
黒蝶 弥生
ちゃんと18歳ですのね
与根宮 桜子
………
与根宮 桜子
……子供扱いされるのは嫌いですわ、わたくしも一応は華族なのですから
黒蝶 弥生
悪い意味では無くってよ?可愛いなと思っただけです
与根宮 桜子
可愛い……?
黒蝶 弥生
ええ
黒蝶 弥生
ところで……もし宜しければなのですが
黒蝶 弥生
「桜子さん」と呼ばせていただけませんか?
黒蝶 弥生
お話しを聞いていて、とても謙虚で芯のある方だと読み取れましたので是非仲良くしたいのです
与根宮 桜子
…
与根宮 桜子
是非 その呼び名で構いませんし、仲良くもさせていただきたいです
与根宮 桜子
わたくしも弥生さんとお呼びしてもよろしいですか?
黒蝶 弥生
…もちろんですわ
黒蝶 弥生
それと、わたくしは貴方の味方ですわ
黒蝶 弥生
まだ信じられない部分もあるかもしれませんが、それだけは心に留めておいてくださると嬉しいです
与根宮 桜子
………
与根宮 桜子
ええ。ありがとうございます
黒蝶 弥生
では、また舞踏会で
黒蝶 弥生
使いの者を呼びますね
与根宮 桜子
はい、お話し出来て嬉しかったです 本当にありがとうございました
黒蝶 弥生
こちらこそ
与根宮 桜子
………(様子を伺っているのを見抜かれたのかしら)
与根宮 桜子
……はあ、最近人間不信になりかけてる気がするわ
寅彦の秘書 兼古 馨
奥様、社長がお呼びです
与根宮 桜子
寅彦様が……?
与根宮 桜子
わかりました すぐ行きますね
与根宮 桜子
失礼いたします
貴夾 寅彦
ああ。
貴夾 寅彦
急に呼んですまない。
与根宮 桜子
平気ですわ。
貴夾 寅彦
ここに呼んだのは舞踏会の時の桜子につく護衛についての事について話そうと思ったからだ
与根宮 桜子
…護衛…?
貴夾 寅彦
そうだ。
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