コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
時刻は深夜2時。
冷たい秋風が吹き、満月の夜。
俺、紫月(しづき)斗愛(とあ)は橋の下を流れる川をじっと見つめていた。
高校1年生である自分がこんな遅い時間に外出をしていたら、親が心配したり、補導されるかもしれないと思うだろう。
だが生憎そんな心配は必要ない。
俺のことを心配する人はいないし、この辺りは建物や街灯が少なく、人通りもないからだ。
俺はこの橋の上から見る月が好きだ。この辺りは夜になると特に暗闇で覆われるため月明かりが綺麗に感じられる。
辛いことや苦しいことがあるといつも俺はここに来ていた。
あの眩しいほどの月明かりが俺のことを救ってくれるような気がしていたんだ。
けど今日の月は俺のことを救ってはくれないらしい。
紫月斗愛
ため息が溢れる。
結局自分の欲しいものは手に入れることができなかった。
俺はずっと欲しかったんだ__________を。
人は心から欲しいと思ったものが、もう手に入れることが出来ないと悟った時、絶望という感情が芽生える。
悲しくて、怒って、失望して、絶望して。
ずっとその繰り返しだった。
いい加減もう疲れた。
紫月斗愛
でも1つだけはっきりしていることがある。
『この苦しみから解放されたい』
それが俺の今の願いだ。
そう思い、橋の欄干部分に座り込み、川に飛び込もうとしたその時だった。
月瀬春夜