本田
えーと…
本田
あったあった、脹漣様が言ってた赤い長椅子
本田
ヨッコラショ
本田
(久しぶりに動いたせいか体が痛い…というかもう夕方か…)
本田
(そう言えば全然考えてなかったけど…信長様は本能寺で死んでしまうんだよな…じゃあ一旦自分が未来人だってことを伝えて…)
本田
(でも助けていいのか…?未来が変わってとんでもないことにならないよな…?)
本田
(というかまずまず未来人って事を信じるかどうかから始まるよな…)
本田
(あぁ…くそどうすればいいんだよ…)
本田
(でも正直俺はそんなの全部置いて帰りたい…信長様とかどうでもいい…脹漣様がなんか深い事言ってたけどそれもどうでもいい…帰らせてくれよ…)
本田
(これ昨日もやってたよな…そんな連続で放送するほど視聴率よかったっけこの番組…)
本田
ッ!!これは…
普通にスマホを閉じようとしたその瞬間俺はとんでもないものを発見した
課長
不在着信
本田
(そうか…!何故かスマホは使えるんだ!!)
本田
(会社に来てないのに電話をしてこないから心配してそっちから電話してきたのかッ!)
本田
(なんか分かるかもしれないッ!)
俺は祈るように電話を掛けた…何か戻れるきっかけができるんじゃないかと思い必死に…
本田
ッ!!
本田
あっあの!!もしもし!?
課長
はい、もしもし
本田
あっあの…すみません…仕事来てないのに電話せずに…
本田
でもちゃんとこれには理由があってですね…
本田
信じてもらえるかどうか分からないんですけど…本当に…
課長
ふむふむ…
課長
掛け間違えでしょうか?
本田
はい…?
課長
多分お宅、掛ける場所間違えてますよ…?
本田
どういうことですか…?
課長
今日、うちの会社休み居ないんですよ
本田
えぇ…?
本田
でも自分西洋紡株式会社豊郷事務所の本田紅葉として働いてるんですけど…
課長
うちのところですね…
課長
少し待ってて下さい…
本田
は…はい…
愉快な保留音とは裏腹に不気味な汗がうなじから垂れる、そんでもって軽快なリズムで鳴る心臓…
本田
ゴクリ…
課長
すみません…やはり休みを確認したところ誰もいませんでした…それと本田紅葉さんでしたよね…?
本田
はい…
課長
本田紅葉さんの名前は自分の所の社員の登録表に載ってないんですよね…
本田
そ…そうですか、ありがとうございます
課長
いえいえ、じゃあ自分は仕事に戻りますね
本田
はい…
本田
嘘だろ…?なんでだ…ドッキリ?これは壮大なドッキリなのか…ナワケナイヨナ…ハッハッハ…
本田
そ…そうだ…
何故だろう…凄くスマホを持ってる手が揺れている…モノスゴク…
母さん
もしもし?
本田
あ…あのもしもし?
母さん
はい
本田
あの俺…本田紅葉何だけど覚えてる…?
本田
(ハハッ…何だその意味わからない質問の仕方…笑われるぞ…)
母さん
ハハ笑
母さん
オレオレ詐欺にはまだ騙されませんよ!
本田
はい?何言って…
母さん
何言ってってこっちのセリフよ…笑いちいち息子の名前を言うオレオレ詐欺がありますか!オレオレ詐欺は名前を言わないのが醍醐味なんでしょうが!
本田
ちょ…母さん…覚えててくれてたのね…
母さん
だからあんた何か知らないわよ
本田
へぇ?
母さん
本田紅葉って何?うちは子供なんて産んでませんよ!笑
本田
嘘だろ…?冗談言ってる?
母さん
いい加減しつこいですねーいいですか?私は絶対にオレオレ詐欺何かにはかかりませんからね!
母さん
それじゃ!
本田
(なんだなんだ…?)
本田
(どういうだ…?現代では俺がいないことになってるのか…?)
右手に持っていたスマホの重力に負け一気に右手が下に落ちる…
本田
ガクッ…
本田
(どうなるんだよ俺…)