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体育祭のハイライト。全クラス対抗リレーの準備が始まる。 校庭を屋上から眺めて、私は溜め息混じりに呟いた。
後ろから聞き慣れた声。私は振り向かずに答える。
うんざりした声が返ってくる。
眼下では若手の教員が陸上部のエースと良い感じに 張り合っているようで、耳をつんざくような女子生徒の 黄色い声援が空間を揺らしている。
私は昔、父が貸し切りにした縁日での記憶を掘り起こした。
私が思わず振り返ると相手はすぐ後ろにいた。 びっくりしてフェンスに体が当たってガシャリと音を立てる。
言っている意味が分からない。
勝ち誇ったような顔。
自分でも驚くほど声が大きくなる。校庭では大歓声が上がる。
ガシャリ!金網が鳴る。許嫁の顔が近い。
心臓が痛い。顔が熱い。
ぼそぼそ喋るくせに通る声。 校庭がうるさいのによく聞こえる。
動けない。いつもと違う。 小さいころから知ってるのに、知らない顔。 笑っているような、怒っているような、 感情が読めない顔が迫ってくる。
ドン!
リレーが終わって、閉会式の前に花火が打ち上がる。 その音と同時に目が覆われる。 柔らかくて大きくて、温かい手の感触。
ドン!ドン!
花火が打ち上がっていく。その音の中。
くちびるに、柔らかいものが触れた。
何ごとも無かったように去ろうとする 許嫁のジャージをつかむ。
肩をすくめてみせた許嫁のことを、 私はフェンスに思い切り押し付けた。
~FIN~
#BL