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人通りの多い街
夕暮れ時、ネオン街の通りは買い物客や
子供たちの笑い声で賑わっていた
その雑踏の中を響とセラフィスは並んで歩いていた
響
セラフィス
ーーその瞬間雲が急に曇り始めた
街のざわめきがやみ、冷たい風がふきぬける
白い雪が、夏の雲を切り裂くように舞い落ちた
響
セラフィス
セラフィスの声が少し震えていたような気がした
広場の中央に氷の柱が突如としてせり上がり
白い白衣を纏った女が立っていた
蒼白の肌、銀の髪、そして氷晶のように澄んだ瞳
女は冷ややかな視線をセラフィスに向け、薄く笑った
霙
セラフィス
セラフィスの胸に走る激痛。記憶が一気に蘇る
まだ幼かったあの日。炎神と雪神の戦いに村が巻き込まれた
両親は早くに失い、彼女の唯一の支えであった弟を
その氷に呑まれて失った
氷室 蓮華
崩れ落ちる弟の手を蓮華は二度と掴めなかった
そして、その惨劇の中心にいたのが
雪神 霙だった
霙
セラフィス
セラフィス
セラフィスの声は掠れ、震えていた
霙は1歩。氷柱を鳴らし前へ進む
霙
響
響が一歩前へと出る
しかしセラフィスは彼を制し低く答えた
セラフィス
街の人々が悲鳴をあげて逃げ惑う中霙が腕を振る
氷の結晶が咲き乱れ、鋭い氷柱が街路を覆った
霙
一瞬で広場が氷の牢獄と化し逃げ遅れた人々が 絶望に顔をゆがめる
霙
霙の技で無数の氷刃が降り注ぐ
霙
セラフィス
セラフィス
セラフィスは1歩も退かずに前に進んだ
セラフィス
その瞬間、彼女の周囲に淡い光が咲き始めた
花弁のように広がる光輪。夜明けのように柔らかく しかし刃のように鋭く。
セラフィス
光の花弁が一斉に舞い上がり氷の雨を受け止め、撒き散らす
氷と光が弾ける度、夜空に煌めきが広がり、 まるで光の花火のようだった
霙の瞳が僅かに揺れる
霙
セラフィスは静かに告げる
霙
霙が笑みを歪める
霙
彼女は両手を振り下ろし巨大な氷の竜を呼び出す
霙
轟音と共に、氷の竜が街路全体を次々と凍り尽くす
人々の悲鳴。街が砕け散る
セラフィスはその前に立ち胸に両手を重ねた
セラフィス
光の花弁が更に大きく広がる
霙との決戦を前に街全体を包む光の幕が
夜を切り裂いたーーー
ー第6話 裂かれた氷ー
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