羽花
ママ!
羽花の母
ん?なーに?
羽花
今日晩ごはん一緒に作ろ!!
羽花の母
えーいいの〜?
嬉しいなぁ
嬉しいなぁ
羽花
ふふっ
羽花
あっ!信号、青になったよ!
羽花の母
あ、ホントだぁ
羽花は先に駆けた
羽花
ママー!
羽花
そういえば、今日晩ごはん何つくるの?
羽花は振り返った
バンッ
街の人
きゃーっ!
街の人
なにごと?!
街の人
だ、誰か救急車呼べっ!
羽花
ま…ま?…
羽花は母親に駆け寄った
羽花
まま?ねぇ!ママ!
体を激しく揺さぶった
羽花
(なにこれ?嘘、何?)
羽花は困惑した
???
ちょっと失礼…
???
君、ちょっと良いかな?
羽花
…………
彼は医者だった
医者は脈拍をはかった
医者
君、この方のご家族さんだよね?
羽花は頷いた。涙を流しながら。
医者
…………
悲しげな顔をする
医者
お母様はもう…
その言葉で羽花は母に覆いかぶさるように泣いた
羽花の父親と母親は3年前に離婚していた
その際に父親は多額の借金を母親に押し付け そのまま空へ逝ってしまった
それから家には男の人達がよくお金を請求しに来るようになった
母は羽花の前では笑顔を絶やさず朝から夜まで働いていた
それでも借金を全部返すことができなかった
羽花の家族は母親以外もう誰もいなかったので羽花は一人になった
羽花
………
羽花は仏壇の前で手をあわせた
羽花
(一人になっちゃったよ…)
羽花
(これからどうすればいいの…)
ピンポーン
羽花
ん?誰だろ
ドアアイを覗いた
羽花
(嘘、来ちゃった…)
ヤクザの人達だった
羽花
(お金は葬式代でほとんど無い…)
羽花
(どうしよう…)
羽花はパニックになった
ヤクザ
おい、いるんだろ?
ヤクザ
出てこいやっ
ドンッ
ドアをけった
羽花
(どうしよう…どうしよう…)
ガタンッ
羽花
わぁっ!
羽花
(あっ、しまった…!)
パニックで転んでしまった
ヤクザ
あ?
ヤクザ
おい!開けろッ
さっきよりさらに激しくなった
羽花
(もう、無理だ…)
羽花はチェーンをかけてドアを開けた
ヤクザ
あ?ガキかよ
ヤクザ
親は?
羽花
……
ヤクザ
何か言えよッッ
羽花
………な、亡くなりました…
男はニヤッと笑い刃物を突きつけてきた
ヤクザ
これハズせ
羽花
…………
ヤクザ
外せって言ってんだろ!
羽花はチェーンを外してしまった
男達はずらずらと中へ入ってきた
羽花
(こんなにいたの?!)
ヤクザ
で、金は?
羽花
……まだ、用意できてません…
ヤクザ
あ?来月までに用意するって言われたんだけど?
羽花
………
ヤクザ
あーお兄さん達優しいから
ヤクザ
金払わなくていいぜ?
羽花
えっ…ホントですか?
ヤクザ
あぁ、でもその代わり…
ヤクザ
お前で払ってもらうけど
羽花
………
ヤクザ
どう?
男は嬉しそうだった
ヤクザ
お前結構美人だな…
ヤクザ
売れるぞ…
羽花
(怖い…嫌だ…)
ヤクザ
コイツ縛れ
羽花
?!