最初で最後。

いつの間にか、夕方だった

キラキラと西日が輝いている

きっと、肌が赤くなっている

でもそれは、西日だけのせいじゃない

きゅっと、ポケットに入っているあれを握る

消太さんが、私に贈ってくれた

桜のヘアピンだ。

不意に出た、動揺の言葉。

消太さんの手が、髪の毛に触れる

そう、消太さんは答えた

たくさん、いろいろな話をした

でも、その話は長くは続かなかった

言いがかりである。

なんとなく、嫌な予感がした

頭を下げようとしたが、消太さんに止められた

周りの空気が、悪くなるのがわかった