それでも僕は、守りたかっただけなんだ
『それでも僕は、守りたかっただけなんだ』
いつからだろう。
笑顔が痛いと感じるようになったのは。
優しい声が、遠くで鳴ってるように聞こえるのは。
仲間たちのことが、光みたいに眩しくて、見ていられなくなったのは──。
表の顔は「ほとけ」。
いれいすのボケ担当、明るくて、笑ってて、ちょっと天然なムードメーカー。
でも裏の顔は、「殺し屋・無威」。
いれいすを狙う闇組織、ストーカー、嫉妬に狂う元ファン……
誰にもバレないように、仲間に手が届く前に──静かに、確実に、“消していた”。
「だって、僕がやるしかなかったから。」
殺して、守って、それでも笑って。
いつしかその“優しい嘘”が、自分自身すら壊しはじめていた。
気づくないこ。
問いかけるいふ。
寄り添おうとする悠祐。
ぶつかってくる初兎。
泣きながら拒絶するりうら。
“いれいす”という光の中で、
一人だけ、深い闇に足を沈めていく「ほとけ」の物語。
心が壊れても、声が震えても、
それでも僕は、守りたかっただけなんだ。