ホラー・ミステリー
2
止まった時計(ぶっ飛んでるよ)
1話から読む深夜0時。高校生の希美が帰宅すると、家のリビングの時計が止まっていた。
針は11時58分を指したまま、動かない。
「電池切れかよ…」と近づいた瞬間、彼女は気づいた。
――部屋のカレンダーが昨日の日付のままだ。
しかも、スマホを見ても時間は「11:58」から進まない。
外に出ても、街全体が止まっていた。
人も、車も、風さえも。
動いているのは、私だけ。
混乱する中、希美は公園のベンチに「誰か」が座っているのを見つけた。
それは、明日死ぬはずのクラスメイト・すみれだった。
「……やっぱり来たんだ、のーたん」
彼女はそう言って、壊れた腕時計を差し出した。
その針も「11:58」で止まっている。
すみれは静かに続けた。
「この時間は、私の“死の一分前”。
本当は誰も入れない場所なんだけど――あなたなら、変えられるかもしれない」
希美は息を呑んだ。
私がすーさんを救えば、未来が変わる。
けれどその代わりに“別の誰か”が消えるという。
残り一分。
希美は選ばなければならなかった。
『誰も死なないでほしいのに...』