鳩はやさしく首を振る
駅前の広場にいる、ただの鳩。
誰にも気にされないようで、ずっとそこにいる存在。
母を亡くし、どこか感情を置き去りにしたまま生きる少年・須藤は、ある少女と出会う。
どこか不安定で、軽やかに「生きること」を踏み越えてしまいそうな少女――神崎みのり。
屋上での会話。
意味のないようで、どこか核心を突く言葉。
近づいているのか、すれ違っているのかも分からない距離。
やがて日常は静かに形を変えていく。
誰も止めないまま、誰も気づかないまま。
時間は流れ、大人になった須藤は、変わってしまった街と、自分の中に残り続ける“何か”に向き合うことになる。
「帰る場所」とは何か。
「生きる理由」とは何か。
これは、大きな出来事ではなく、
誰の中にもある小さな違和感と喪失を、静かにすくい上げる物語。