常夏ビーチの後宮街~溺愛? よりも門の番!~
東南アジアとよく似た異界、サイアム王国。
海に面した華やかな交易都市アユタヤの南には、三千人の女たちが暮らす巨大な後宮街が存在する。
この閉ざされた街をたった一人で守る門番のプロイは、前世で日本の麻薬取締官だった記憶と、鍛え抜かれた捜査技術を持っていた。
ある日、国の象徴である神聖な白象が突如として暴走し、象使いの女が命を落とす。周囲がただの事故として片付けようとする中、プロイは遺体の不自然な状態から他殺を疑う。
血を見るのが極端に苦手なプロイは、引きこもりの天才医師であるナーガの目と手となり、またプロイを慕う王子のタヤンの協力を得て独自の捜査を開始する。プロイは前世で培った捜査手法を駆使し、巧妙な毒殺のトリックを暴いて真犯人を捕らえる。
しかし、事件はこれで終わらなかった。後宮の女たちが次々と幻覚を見て暴れ出すという奇病が蔓延し始める。原因は「悪魔の吐息」と呼ばれる、人間の記憶を奪い操る恐ろしい薬物だった。事態の解決に向けて動いたプロイだったが、犯人の罠にかかり、猛毒を浴びて倒れてしまう。死の淵をさまようプロイを救うため、ナーガは自身の正体である「竜神」の血を用いた危険な解毒薬を作り、自らの身を削って彼女の命を繋ぎ止める。
意識を取り戻したプロイの傍らで、タヤンは一連の事件の裏には共通の黒幕がいるという推理を語る。その矢先、「神聖な白象が忽然と姿を消した」という新たな緊急事態が報告されて――