【第一部完結】Angel Rest ——英雄を棺に納めた男——
英雄は、なぜ自分の最期を一人の納棺師に託したのか英雄は、なぜ自分の最期を一人の納棺師に託したのか——
魔王の居城だった大ダンジョン「ヘルヘイム」。
その麓の町、ヘイムレストには、一人の納棺師がいた。
デンケン・セッツァー。
彼は剣を振るわない。
罠を解除するスキルもない。
ただ、ヘルヘイムから帰ってきた死者の身体を整え、棺に納め、送り出す。
そんな彼のもとへ、一人の青年が訪れる。
ユリウス。ユリウス・アーヴィング。
やがて「英雄」と呼ばれることになる冒険者だった。
最初、ユリウスは死体が苦手だった。
納棺師の仕事を、ただの「死体処理」だと思っていた。
それでも彼は、何度もデンケンの仕事を目にする。
そしていつしか、彼は一つの約束を口にする。
「俺が死んだら、あんたに埋葬を頼みたい」
その後、ユリウスはヘルヘイムへ向かう。
魔王に挑み――敗れ――死者となって帰ってくる。
これは英雄の冒険譚ではない。
英雄になる前の青年と、彼が最後に選んだ一人の納棺師の物語だ。