ポンポコポーン

ノベル

２４歳のボクはフェアレディＺＸを駆り東名高速を東京から西へ向かっていた・・・高校を卒業して二度と足を踏み入れまいと思っていた徳島の実家へだった。
目的は病院・・・父が５７歳の生涯を閉じようとしていた。

父、母、祖父、そして弟と平和に暮らしていた。
ボクはクラスの中心人物だった・・・野球チームでもエースだった。クラスメイトの茜が好きだった・・初恋だった。
・・・そんな幸せな一家は、父の事業の失敗により崩壊していった。・・・ボクが１０歳。弟は３歳の時だった。

生活が成り立たなくなった一家。

手のひらが返った教室。

・・・ボクは「虐めの標的」となっていた。

家族はバラバラに・・・そしてボクは「透明人間」になった。

一家の転落は、一族の転落の物語だった。


父を愛し、父を憎んだ。
親と子の物語。兄と弟の物語・・・そして、根底にある田舎の一族の物語。