エンシェントソルジャー
2669年、異次元生命体との生存戦争に敗れた人類は、敵もろとも地球ごと滅びる道を選んだ。
そして役目を終えた人類最後のサイボーグ兵士は悠久の眠りに就く。
再び彼が目を覚ました時、目の前に広がるのは未知の世界だった。
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人類は科学技術の飛躍的な進歩により、文明を極限まで発展させ、膨大な消費社会を支え続けた。
しかし、無尽蔵とも思えたエネルギーの需要に対し、深刻な枯渇問題が立ちはだかっていた。
そこで、核融合を凌駕する革新的技術が誕生する。別次元から無限のエネルギーを直接抽出する「異次元エネルギー機関」の発明である。これにより人類は、かつてない繁栄と無限の可能性を手に入れた。
だが、ある日突然、異次元の境界が破られ、有機物とも無機物とも判別しがたい正体不明の存在――明確に人類へ敵対的な「異次元生命体」――が無数に溢れ出した。楽園だった世界は、一瞬にして地獄へと変貌する。
人類と異次元生命体との生存戦争は、圧倒的な物量差により人類側が次第に消耗・撃破されていく形で進行し、多くの国家が滅亡、残された人類は全技術を結集。
突出した最終戦力を局所的に投入することで、数に抗う戦術を採り、数百年にわたる抵抗を続けた。
そして2696年、最終作戦の果てに、人類は最後の手段を発動する。敵ごと地球全土を焼き尽くす「最終焦土作戦」――もちろん、自らをも含めて。
人類最後の兵士は、役割を果たした後、悠久の眠りについた。
そして再び兵士は地上からの救難信号により彼は再び目を覚ます。
眼下に広がるのは、もはや灰色に荒廃した地球ではなかった。
大陸の形状すら異なる、青々とした美しい惑星である。
地上には、中世レベルの文明を築いた人々が暮らしていた。
彼らは「魔法」と呼ばれる魔力をエネルギー源とする未知の技術を有し、世界各地に点在する遺跡を基盤として街や国家を形成していた。
遺跡から発掘される太古の技術を魔法と融合させることで、独自の科学・文化を発展させていたのだ。
そんな魔法が常識として存在する世界で、ただ一人、生まれつき魔法を使えない少女と出会う。
この星は果たして本当に地球なのか。それとも全く異なる異世界なのか。
古の兵士による、悠久の時を越えた最後の任務が、今、始まろうとしていた。