暗がりで息をする
中学時代、過激ないじめを受けた過去を持つ夜凪透は、
タバコの匂いと暗闇に強い恐怖を抱えながら、高校二年生として静かに日々をやり過ごしていた。
誰にも踏み込ませず、期待もしない。
そうしていれば、二度と傷つかずに済むと思っていた。
同じクラスの朝霧玲央は、明るく人懐っこい性格で、
透とは正反対の世界にいる存在だった。
しかしある日、透が過呼吸を起こす場面を目撃したことをきっかけに、
玲央は彼の抱える「暗がり」に気づいてしまう。
「放っておけない」
その感情は、次第に「手放したくない」へと歪んでいく。
優しさの仮面を被った執着。
救いのようでいて、逃げ場を塞ぐ手。
透は、玲央の存在に呼吸を許されながらも、
彼に依存していく自分を恐れ始める。
一方の玲央もまた、透が自分だけを必要とする瞬間に安堵を覚え、
その弱さを独占したいと願ってしまう。
これは、
暗がりの中でしか息ができなかった少年と、
その暗闇ごと抱きしめてしまった少年の、
救いと破滅が隣り合う物語。