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忘れてしまったとしても

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忘れてしまったとしても

9 - 第9話 痛いの痛いの飛んでけ

♥

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2024年07月11日

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すまない先生

さて!レッドも加わった事だし

すまない先生

調査を再開するぞ!

拳を上に突き上げ、気合を入れる

銀さん

おう!

レッド

お…おう

すまない先生

まずレッドに聞きたいんだけどさ

すまない先生

君の記憶を奪って行った男って、どんな奴だったの?

レッド

俺の記憶を奪った奴の見た目……か

レッド

うーん……

レッド

あんま覚えてねぇんだよな…

レッド

あの時は…必死だったからな

レッド

確かだけど…

レッド

背の高い偉そうな女と……

レッド

太ってるおっさんみたいなのがいたような…

銀さん

背の高い女ってのはみんなを倒した奴だな

すまない先生

ああ、恐らくな

レッド

ちっ……思い出せねぇ…

レッドは手で顔を覆い机に肘をつく

すまない先生

そんな絶望しなくても大丈夫さ!

すまない先生はレッドに安心するように促す

すまない先生

実際僕が記憶を取り戻した時も

すまない先生

街にいた組織の人間から教えてもらったからな

レッド

そ…そうなのか?

銀さん

きっと組織の奴らはまだここら辺にいるはずだ

銀さん

とにかく、街に出て調査するしかねぇ

レッド

……そうだよな

レッド

とにかく行動するしかねぇ

レッド

今の俺にできるのはそれだけで

レッド

ここで唸ってたってしょうがねぇからな

そう言ってレッドは何かを決意したかの様に勢い良く立ち上がった

レッド

お前ら!早速街に出るぞ!

すまない先生

もちろんだ!

7月真夏日

夏が来た事を伝えるかの様に太陽は光り輝いていた

銀さん

ちっ……何でこんなに暑いんだよ…

そう言って銀さんは顔を手で扇ぐ

相当イライラしているのか、地面に落ちている空き缶を蹴り上げた

すまない先生

し…仕方ないだろ…

銀さん

はぁ……帰りてぇ

レッド

おい、お前忘れたのか?

レッド

俺がこのスクールに帰って来た条件は

レッド

「俺の記憶を取り戻してくれる」って条件で帰って来たんだ

レッド

取り戻す気が無いのであれば俺はまた1人で動く

レッドは真面目な面持ちでそう話した

すまない先生

な…なんか真面目だね

レッド

そうか?いつも通りのつもりだぜ

すまない先生

(いやー、いつもこのぐらい積極的に動いてくれたら良いんだけど…)

すまない先生

(だからと言って記憶を取り戻さない訳にもいかないしね)

すまない先生は記憶を取り戻す事を改めて決意し

足に力を込める

すまない先生

よーし!

すまない先生

情報収集頑張るぞぉぉぉ!!

銀さん

きゅ…急にどうしたんすか!?

すまない先生

暑いけど走るぞ!ほら、ついて来い!

すまない先生は前へと全速力で走り出す

銀さん

ま…待ってください!

3人は全速力で街を駆け抜け、あっという間に広場へ到着した

銀さん

つ…着いた…………

銀さん

マジで…急に走るなよ…

すまない先生

あー、ごめんごめん!

すまない先生

ちょっと走りたくなっちゃってね!

レッド

俺的にはサッパリしたぜ

レッド

暑い中ぐだぐだ歩くのも嫌だしな

レッドの額には汗が輝いており、いつもより爽やかであった

そんな姿を銀さんが凝視する

銀さん

なんかいつも面倒くさがってる姿しか見てなかったけどよ

銀さん

お前って、意外とイケメンだな

レッド

意外とって何だよ……

レッドは少々納得いかなさそうにする

銀さん

俺が褒めてやった事に感謝しろよ

レッド

なんか…偉そうだな

すまない先生

ちょっとちょっと、顔の話はいいから情報収集始めるよ!

銀さん

へーい

レッド

はい!

すまない先生

(なんか…レッドの性格真逆になったレベルで変わったな)

数時間後

すまない先生

はぁー………

すまない先生

不審者を探し回ったり、聞き込み調査をしたものの……

すまない先生

全く手掛かり無しとはね……

銀さん

変な奴はたくさん見つかったんだけどな

すまない先生

結局1日終わりそうだし……

レッド

本当に俺の記憶を取り戻してくれるのか?

すまない先生

ああ、もちろん取り戻すさ

すまない先生

だけどまだ手掛かりが見つかってない…って感じだね…

レッド

…そうか

レッドは近くのベンチに腰を下ろす

レッド

ちょっと休憩しようぜ、お前らも疲れただろ?

すまない先生

ああ、ありがとな

3人ともベンチに腰を下ろし、しばしの休息を取る

レッド

はぁ…………

レッドは何をするでもなく、人混みに目を向ける

すると

小さい男の子

わぁぁぁん!

小さい男の子

痛い…痛いよぉ…

男の子が転び、膝を擦りむいていた

小さい男の子

わぁぁぁん!痛ぁぁぁぁい…

男の子は泣き叫んでいるが、通行人は誰1人として助けようとしない

小さい男の子

うわぁぁぁぁぁぁ……

レッド

ん……

レッド

転んじまった…のか

レッド

助けに行ってやるか…

そう呟いてレッドは立ち上がる

レッド

おい…大丈夫k……

そう言った瞬間、レッドよりも先に

小さな男の子よりも3、4歳上のような子が男の子に駆け寄っていた

中学生くらいの男子

おい葵、大丈夫か?

小さい男の子

あ…!お兄ちゃん!

中学生くらいの男子

お前、人混みで走るから転んだんだろ?

中学生くらいの男子

走るなつったろ〜?

中学生くらいの子は少し苦笑しながら言う

小さい男の子

お兄ちゃん!「痛いの痛いの飛んでけ」ってやって!

中学生くらいの男子

仕方ないなぁ

中学生くらいの男子

痛いの痛いの飛んでけ!

小さい男の子

わぁぁぁぁ!ありがとう、お兄ちゃん!

そう言って小さな男の子はお兄ちゃんに飛びつく

中学生くらいの男子

おいおい、抱きつくのはよせよ〜

小さい男の子

だってお兄ちゃん大好きだもん!

そんな様子を、レッドは遠くから眺めていた

レッド

兄弟……か

レッド

…………

心の中が…モヤモヤする

うわぁぁぁぁん

転んじゃったよぉ…兄貴ぃ……

レッド

何だ…またかよ

痛いよぉ………

レッド

お前が坂道で走るからだろ?

で…でも……

レッド

…はぁ

レッド

いつものやつ……やってやるよ

レッド

痛いの…痛いの…

レッド

飛んでけ!

レッド

………!?

レッド

(何だ…今の記憶…)

レッド

(俺が…誰かに「痛いの痛いの飛んでけ」ってやったのか…?)

レッド

(でも…一体誰に……?)

レッド

(……………)

レッド

(思い……出せない)

レッド

(大切な…記憶なのに…)

レッド

(思い出せない…)

レッド

(一体…一体……)

レッド

(誰……なんだ?)

周りの音が完全にシャットダウンされる

記憶を辿る

大切な記憶を辿ろうとする

だが…

思い出せない

レッド

く…くそっ……

レッド

どう…すれば…

銀さん

レッド?

銀さん

急にどうしたんだ?

銀さんの声で現実に戻ってくる

レッド

あ…ああ

レッド

だ…大丈夫だ

すまない先生

いやいや…大丈夫って感じじゃ無いよ?

すまない先生

すごい…汗かいてるし…

レッド

い…いや…その……

銀さん

声も震えてるぜ

レッド

あ…あのな

レッド

さっき、身に覚えのない記憶が頭に流れたんだ

レッド

誰か…知らない誰かに…

レッド

「痛いの痛いの飛んでけ」って……

銀さん

そ……それって…

銀さん

昔の記憶じゃないか?

レッド

あ…ああ

レッド

昔の出来事だって事は分かる

レッド

だけど……

レッド

一体…誰に…?

すまない先生

恐らく…それは

すまない先生

君の弟にやっていたんじゃないか?

レッド

お……弟…?

レッド

俺に…弟が…?

すまない先生

ああ、君にはな

すまない先生

「ミスターブルー」という弟がいた

レッド

ぶ…ブルー…?

すまない先生

君は、彼の事を本当に大切にしていた

すまない先生

喧嘩もしてたりしたけど……

すまない先生

君とブルーは本当に仲が良かった

レッド

お…俺に…弟が……

すまない先生

だから、いくら記憶を奪われても

すまない先生

心のどこかに…君の弟の記憶が残っているんじゃないか?

すまない先生

誰にも引き裂けない、兄弟の絆ってやつだ

レッド

兄弟……絆…

すまない先生

君は今、弟のことが分からないと思っているかもしれない

すまない先生

でも

すまない先生

実際は、心に残っているんだ

すまない先生

ブルーとの思い出が

レッド

お……弟…

レッドの頬に涙が伝う

レッド

は…はは…

レッド

全く…思い出せやしねぇや

レッド

だけど

レッド

俺は…俺にとって1番大切な事を忘れている事が分かった

レッド

へっ……記憶を失う前の俺は…相当弟思いだったんだな

すまない先生

レッド……

レッド

こんな所で座ってる場合じゃねぇ

レッド

俺の大事な記憶を取り戻す

レッド

このまま忘れたままでいられる訳がねぇ

レッドの顔は精悍な表情に変わり

記憶を取り戻す事を決意し、拳を握る

レッド

なぁ、お前ら

レッド

お前らも、俺の大切な人なんだろ?

レッド

俺の記憶を取り戻す為に…本当に協力してくれるんだろ…?

すまない先生

ああ、もちろんだ

そう言ってすまない先生は手を差し出す

すまない先生

絶対に記憶を取り戻そうな!

レッド

……!

レッド

ありがとな!すまない先生!

レッドは差し出されたすまない先生の手をガッチリと掴む

すまない先生

先生って…呼んでくれてありがとう…!

すまない先生

何だか…嬉しいよ…

レッド

急にどうしたんすか?先生

すまない先生

だって…君…

すまない先生

僕の事呼ぶ時おっさn……

レッド

あ…ああ

レッド

その事に関しては…その…

レッド

…すみません

すまない先生

いいよいいよ!先生って呼んでくれたし!

レッド

はぁ…良かったぜ

すまない先生

僕もそんなにぐちぐち言う人間じゃないからな!

そう言ってすまない先生はニカッと笑った

レッド

へっ

その表情に応えるようにレッドも笑い返した

すまない先生

それじゃあ、早速情報収集再開だな!

レッド

そうだn…

レッドが返事をしようとしたその瞬間

サッパリとした女性

キャァァァァァァァァァァァァ!!

女性の悲鳴が遠くから響く

すまない先生

!?

レッド

先生!行きましょう!

そう言ってレッドは走り出す

銀さん

あ!待ってくれ!

それに続けてすまない先生と銀さんも走り出した

サッパリとした女性

触ら…ないでよ…!

太った男

えへへへぇ

太った男

僕がイケメンすぎて怖いかな?

太った男

大丈夫だよ、痛い事はしないから

そう言って男は女性の事をベタベタと触る

サッパリとした女性

キャァァァァァァァァ!変態!

レッド

ど…どうしたんだ!?

レッドが太った男の前に飛び出す

太った男

ん?誰だお前

太った男

女の子ちゃんと僕の時間を邪魔しないでくれる?

サッパリとした女性

た…助け…!

太った男

君もうるさいなぁ…

そう言って男は女性の頭に触れる

サッパリとした女性

あ…あわ…

女性の頭から光る物が取り出される

銀さん

レッド!大丈夫か!

すまない先生

って…

すまない先生

あ…あれって…

すまない先生

記憶を取り出してる…?

太った男

何だよぉ…邪魔が入ったなぁ…

太った男

女の子ちゃん!僕の秘密基地まで逃げるよ!

太った男が女性を抱えて走り出す

すまない先生

お前!逃げるな!

すまない先生は男を追う

銀さん

おい!レッド!

銀さん

お前も追うぞ……って

銀さん

レッド?

レッドは立ったまま硬直する

レッド

な…なぁ

レッド

銀…さん……

レッド

あいつ…あいつ……

レッド

俺の記憶を…奪った男だ

レッドの表情は忽ち怒りに変わる

レッド

あいつが…あいつが…!

レッドは声を荒げる

そして

勢いよく地面を蹴り上げ、男の方へと走り出す

銀さん

!?

銀さん

ちょ…ちょっと!

銀さん

待ってくれ!

そう言って銀さんも2人の方へ走り出した

忘れてしまったとしても

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コメント

27

ユーザー

レッドとブルーの記憶が好きすぎる…。 最後の奴にこの世の最期を…))殴

ユーザー

塾だったから見れなかったーー 最後のやつぶっころs...

ユーザー

痛いの痛いの飛んでけ… 最後の男ピーしてピーしてやるよ…(#`皿´)

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