短編集

付き合っていた人が浮気していた話

それでも好きだから別れず結婚まで至った話

そこから始まった監禁生活の話

もう何が何だか分からなくなっちゃったって話

竜胆くんから聞いた弱点

生活までさせてもらえて更にあいつを絶望させる計画まで考えてくれるとは

本当にいい幼馴染を持ったものだ

昔は周りがうるさくて嫌気がさしてた街だったけど、今回ばかりは感謝でしかない

3日ほど経ったある日

色ー？入るよー？

ﾊﾟﾀﾝ

幼馴染の家に居候してからはや3日

もちろん細々と家事をして難なく生活している訳だが

私はある壁を感じていた

2人の行動に対してじゃない

私は家事だけで足りてるのか

少しでも仕事をしてお金にしようと思った私は

外には出られないため、簡単なパソコン作業をする内職を始めた

これでも商業高校卒だ

パソコンなんてちょちょいのちょい

あれ？でも前はスマホの操作なんてわかんないって言ってたって？

そりゃそーでしょ

だってあいつが全部見てると思ったらいじらなくなる

どんなに得意なことでもずっとやらないでいたら出来なくなるに決まっている

それが今回スマホだったってだけ

正直、まだトラウマはある

口に出して伝えることも

外に出ることも

スマホを使うことも

でも自分のトラウマってだけで他の人を巻き込みたくない

私が全部我慢してればいいだけ

そしたら時間が経つにつれて良くなっていくでしょ？

きっとそう

だから、嫌なものは全部私が感じてればいいの

あともうひとつ悩みがある

家のことは大抵できるから一人暮らしは全然出来ると思う

ぶっちゃけ前も一人暮らしだったようなもんだし

でも、なんでかな

一人暮らしはしたくない

ずっと1人だったから

あいつが家にいない間だけじゃない

その前からずっと

1990年 1月2日

まだ正月真っ只中という日に

私は誕生した

元気な産声が病室に響き渡り誰もが幸せな思いをする瞬間

だったはずが

ﾋﾟｰｯ

ﾋﾟｰｯ

母に繋がった線を辿ると赤く光って音を出す機会が置かれていた

はい！！！

そう

私を産んだ母はすぐに脈を失い

他界した

母が他界してから15年

言わば父子家庭というもので生活していた

家はさほど裕福でないし自由がきかなかったけど

それでも毎日頑張ってお仕事して面倒を見てくれるお父さんが大好きだった

ある日

お父さんに真剣な話があると言われソファに座った

まあ、予想はついていた

再婚だろうな

別に反対の意はなかった

でもお母さんより大事な人ができてしまったのかなと少し悲しく思った

たったこの一言で私どころかこの空間させ凍りついた

お父さんがいなくなったらどうやって生活すればいいのか、

それよりも、ただ、嫌だとしか言葉が出なかった

お父さんが初めてお前と言ったとき、私は子供とは見てないのだと思った

捨てると言うより、父親にはふさわしくないと言う意味だろう

仕事が辛いなら私が働く

恋人が欲しいなら反対しない

そんなことばかり言って止めていたけど

違った

お母さんの後を追いたくて

自殺しようと考えたのだ

私はその言葉を聞いた瞬間

何故か止めるのをやめてしまった

この瞬間からだろう

私が我慢すればいいと思いだしたのは

そう言って私を抱きしめて出ていった

それからというもの

高校生になるまではお父さんが残した貯金でやりくりして

高校生になるなりバイトも初めてずっと1人で暮らした

誰かといる安心さを知ってから

隣にいる人の温かさを知ってから

1人では何も出来なくなってしまったんだろうな

色ー？準備できたー？

かつてお父さんが言っていた好きな色

青

きっとお母さんの名前と関係してるんだろうな

ごめんね

やっぱり、気にしないでなんていられないよ

お父さん

約束は破っちゃったけど、これだけ

この色だけ近くに置かせて