千冬
一虎
千冬
生きててごめんなさいなんて
こんな子どもに言わせたくなかった
一虎
千冬
何があったのか
何がこの子をこんなに傷付けたのか
知りたいと思うのは、余計なお世話だろうか
一虎
一虎
千冬
千冬
一虎
千冬
無理やりだと分かっている
でも、この子を夜の街に1人にするのが、どうしても不安だった
一虎
千冬
千冬
一虎
刹那、羽宮君の瞳が分かりやすく輝く
千冬
千冬
一虎
一虎
何か言いかけ、焦ったように口を噤んでしまう
イタズラを見つかった子どものようで、意図せず笑ってしまった
千冬
千冬
千冬
一虎
一虎
一虎
一虎
千冬
千冬
千冬
キラキラと瞳を輝かせる羽宮君は無邪気そのものだ
さっきまで泣いていた子とは思えない
千冬
千冬
一虎
元気な様子に安心すると共に、彼の事に1つ詳しくなれたことが嬉しかった
これから、この子のことをもっと知れたらいい
心からそう思う
千冬
千冬さんの声に振り向くと
そこにはピカピカのバイクがエンジンをふかしていた
一虎
一虎
千冬
千冬
千冬
一虎
一虎
千冬
千冬
一虎
初めて跨った千冬さんのバイクは、自分のモノとは比べられないくらい大きい
片方に傾けてもらわなくては足が付かなくて、乗った後はぷらぷらと前後に揺れていた
千冬
千冬
一虎
家まで送ってもらわなくて大丈夫だ、と最寄りの公園を出したのに、危ないからと却下されてしまった
本当は、
家に来て欲しくなかったけど
一虎
一虎
住所を口にしたら胸の奥が気持ち悪くなって
空咳をひとつ零した
ただ、家に帰るだけなのに
千冬
一虎
一虎
千冬
他愛の無い会話を引き伸ばして引き伸ばして時間を稼ぐ
こんなことしちゃ、迷惑なのになぁ
千冬
千冬
一虎
ねぇ、千冬さん
俺、帰りたくないの
そんな言葉はついぞ口から出なかった
千冬
千冬
一虎
一虎
千冬
千冬
ぶろろ、とバイクのエンジンが大きい音を立て、タイヤが滑り出す
この音が途切れることを願うのは初めてだった
千冬
一虎
一虎
千冬
一虎
千冬
千冬
千冬
一虎
千冬
走行中、羽宮君は一言も話さなかった
帰りたくないとも言わなかったし、家は大丈夫なのだろうか
千冬
こういう子ほど、親を庇っていたりするものなのだ
千冬
千冬
一虎
千冬
路上にバイクをとめ、羽宮君に向き直る
俯いていて、表情は見えなかった
一虎
一虎
千冬
千冬
千冬
千冬
手を取って握れば、見えない表情が、少しだけ和らいだ気がした
一虎
一虎
一虎
千冬
暗闇に消えていく背中を見守り、エンジンを付けようとすると、電話がかかってきた
数分話し、スマホから耳を離した時
壁に隔てられた淡い音で酷い物音と悲鳴のような声が
千冬
鈍い音は止むことも無く
閑静な住宅に響き渡っている
千冬
絶対に救ってみせる
だからもう少しだけ待ってて下さい
そう胸に決め、帰路を急いだ
コメント
1件
羽宮くん…とっても救われてほしい、ちふゆ頑張ってくれ!!更新嬉しかったです♡今回もめっちゃ好きです♡♡