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しの
57
その報告書を見た瞬間、空気が凍った。
ハンター本部の会議室
壁に映し出された資料
——夜のみ出没。
——異常な身体能力。
——赤い瞳。
条件が、重なる
私は無言で資料を閉じた
教官
教官の声
即答
迷いはない。はずだった
夜。
いつもの場所
ゆあんはもう来ていた
短く返す
今日は距離を取る
自然と、一歩分
ゆあんは気づいている
でも何も言わない
嘘。
胸の奥がざわつく
視線が、彼の手に落ちる
包帯の巻き方
昨日の動き
夜しか活動しない生活
赤い瞳。
さらっと答える
まるで、隠す気もないみたいに
わざと、言う
沈黙。
ゆあんは笑った
冗談のつもりだろうか
でも瞳は笑っていない
私は剣に触れる
はっきり言う
ゆあんは、ほんの少しだけ寂しそうに目を細めた
その瞬間
背後に濃い気配
上級吸血鬼_。
反射でゆあんを庇う
飛び込んでくる影
早い。
私は斬りかかる
だが一瞬遅れた
爪が頬を掠める
ゆあんの声が、低く変わった
次の瞬間。
見えなかった
上級吸血鬼が地面に叩きつけられる
喉を掴まれている
ゆあんの目が_
はっきりと赤く、燃えていた
空気が震える
圧倒的な力。
その声は冷たく、王のような響きだった
吸血鬼は恐怖の顔で消滅する
静寂。
私は、ゆあんを見つめる
赤い瞳。
隠しようのない事実
喉が、うまく動かない
ゆあんはゆっくりと手を離す
赤は、ゆっくりと闇に溶ける
頬に触れようとする手
私は強く払いのけた
風が冷たい。
ついに口にした
ゆあんは逃げない
視線を逸らさない
肯定と同じだ
杭を握る手に力が入る
任務対象。
王家の血筋。
赤い瞳。
全部、繋がる
声が震える
怒りか、恐怖か、それとも——。
正直すぎる返事
剣を持ち上げる
ゆあんは、動かない
何も言わない。
ただ、優しく微笑んでいる。
手が震える。
刺せる。
刺さなきゃ…いけないのに、
なのに、
なのに!
体が動かない、
ぽつりと零れる
初めて、本音が出た
ゆあんの瞳が揺れる
名前を呼ぶ声が、こんなに切ないなんて知らなかった
夜が深くなる。
敵かもしれない。
でも。
まだ剣は下ろせなかった
——物語は、ここから壊れ始める。
コメント
2件
この物語最高すぎひん?