はるちゃん
はるちゃん
はるちゃん
はるちゃん
はるちゃん
はるちゃん
俺には一個上に、幼なじみで兄のような存在の男の子がいた. それが三途春千夜。 優しく、強く、思いやりのある 美人な男の子。 俺たちは小さい頃からずっと「強い人」になるのが夢で、 一緒の道場にも通っていた。 これからも、ずっといっしょ。 そんな甘く優しい夢には辛い現実を突きつけられる。
武道
俺はとうとう、口を開いた. 家が近いということで、いつも一緒に遊ぶ公園にですら俺たちは一緒に行っていた. いつもは学校であったことを話すのに、 ちよ君は一言も話してくれはしなかった.
武道
春千夜
春千夜
武道
春千夜
武道
武道
春千夜
いつもの明るく、優しい声色はない。 冷たく、震えた声でそういう。 俯いたまま、拳をぎゅっと握り締めていた
武道
武道
春千夜
春千夜
春千夜
俺は、地面に小さく丸い痕をつけた水滴を見逃さなかった. 俺は、ちよ君のほっぺに軽くキスをした
春千夜
武道
武道
春千夜
春千夜
ちよ君は、俺の両頬に手を当て、 親指で優しく涙を拭ってくれた. ほっぺにキスをするのも、 手を当て涙を拭うのも、 俺たちにとっては珍しいことではなかった ちよ君は、俺が泣いた時、 必ず両頬に手を当て涙を拭ってくれる。 その後には必ず、 2人で笑う
武道
武道
春千夜
武道
春千夜
春千夜
武道
春千夜
春千夜
春千夜
武道
いつもは俺から出す右手の小指は、 今日はちよ君から差し出された. 俺は小指を絡める。
春千夜
武道
春千夜
春千夜
武道
春千夜
春千夜
武道
春千夜
さよなら、はいわなかった。 また会えるよう、 またね。 そう一言だけ。
小さな頃の約束など、 大して覚えていることなどないだろう。 それこそ、小学校、中学校、高校に上がれば、出会いと別れの繰り返し。 高校になれば、小学校の時の友達など、全員覚えていることすら難しい。 それなのにも関わらず、 俺の記憶には、いつでも鮮明にちよ君が残っていた
武道
千冬
俺は高校に上がり、 友達もそこそこできた。 相棒である千冬も。 だが、必ず頭の隅にはちよ君がいた
武道
千冬
武道
千冬
武道
千冬
武道
千冬
武道
武道
千冬
千冬
千冬の男女という響きが、 俺の頭で響く
男女。恋とは、男女がするものであり、 俺のちよ君への感情が恋ならば、それは行けないことなのかもしれない。
中には気持ち悪いと、 そう思う人もいる。 俺は、恋は、この気持ちは、行けないものだと。 いつからか決めつけていたのだ。 ちよ君に出会うまでに、 この思いを捨てなければいけない。 だが、現実こそ厳しく、 忘れよう。忘れようと思うたび、記憶にはぎっしりと詰め込まれていくものだった
…俺は気づいた頃には成人していて、 結局ちよ君には会えずに大人になった。 俺は、今日、新しい仕事先に向かった。 佐野万次郎 マイキーと名乗る人に、俺の腕を買われた 伊達に道場に通っていたわけではない。 そこそこの腕を身につけていた。 それに俺は昔 殺し屋というものに雇われていた。 理由は、金が入るからだ。 我ながら単純だ。
マイキー
武道
この仕事につくことに、迷いなどなかった ここで技術を身につけ、 もっと強くなり、いつかは俺を守ってくれていたちよ君を守りたいと思っていたから 未だに彼を思い続けるのは、 未練がましいにも程があるが。
マイキー
武道
できるだけフレンドリーに行こう。 そう思い、俺は笑顔を作る。
マイキー
武道
マイキー
武道
春千夜
武道
春千夜
春千夜
武道
マイキー
蘭
竜胆
鶴蝶
ココ
武道
春千夜
武道
春千夜
春千夜
春千夜
春千夜
そう言われた時、 重く、太い槍が心に刺さった感覚がした. あの頃の思い出も、 あの日の約束も、 慰めのキスも、全部、全部、忘れてしまったの? 俺はずっと、覚えてたのに。 その瞬間から、周りの声がぼやぼやと聞こえるようになって、視界が滲むようになった. ただわかったのは、 ちよ君が誰かに必死に話をしていた事だけだった。
春千夜
春千夜
マイキー
蘭
竜胆
春千夜
鶴蝶
ココ
春千夜
なぜみんなが焦っているのかわからない。 だが、ただただ俺は、溢れ出る涙と嗚咽を止めずに、目を袖で拭っていた. 彼の名を呼んで。 なんで自分が泣いているのかもわからない 彼が昔を忘れているから? でも、昔のことなんて、覚えているわけがない。 覚えているのが、自分だけだった。それだけの事なのに。 ひどく重く、心に刺さった.
武道
マイキー
武道
その時、急に両頬にパシンっ! と音がして、 優しく頬を掴まれて上をむかされた
春千夜
春千夜
春千夜
武道
春千夜
マイキー
蘭
竜胆
ココ
鶴蝶
その慰めかたは、 すぐに俺の脳に届いた. 水の中に潜ったのかと思うぐらい塞がれていた音は綺麗に響くようになり、俺はまっすぐちよ君を見た。 ずっと昔の、あの慰めかたと一緒だった. 少々荒さはあるものの、 両頬に手を当て、優しく手で拭う仕草や、 慌てて俺を慰めようとしてバカ武。という言葉。 何も変わっていない。 俺の大好きなちよ君だった. 何も、忘れてなどいなかった
春千夜
春千夜
武道
変わらない、 変わらず俺の涙を拭って、 最後には俺の頬をもう一度ぺしんっと叩く。
春千夜
春千夜
マイキー
マイキー
春千夜
春千夜
蘭
竜胆
ココ
鶴蝶
春千夜
春千夜
何も変わらない。 俺を弟のように大事にしてくれるちよ君。 そんな彼に、俺の気持ちをぶつけてみろ。 どんなふうに思われる。気持ち悪がれ、嫌われるだけだ。 だから俺は、この気持ちをずーっと奥にしまった. ただ、彼の隣に入れるだけで、それで満足だったから。
急にボロボロと涙をこぼし泣き始めた武道を見て、俺は焦りを感じ、咄嗟に昔のように涙を拭ってしまった. 無意識に。だ。 突き放そうとしてきつい言葉を言ったのに 結局突き放しきれなかった自分に嫌気が差す。 昔から武道の涙に弱かった ずっと隣で笑っていて欲しかったから。 嫌いではない。むしろ好きだ。 小さな頃から自分の隣に立つため、小さい歩幅ながら俺の跡をついてきて、 小さな声でちよ君、ちよ君。と、そう呼ぶ武道を嫌いになれるわけがなかった. だが俺が突き放そうとしたのは、 俺が武道に持っている感情が大きすぎるからだ。
武道と離れ、慣れない学校に行くと、 全く知らない男に女と間違われるナンパされるわで大変だった. 俺は、武道以上にいい存在にあえる気がせず、 慣れない学校でもずっとむすっとしていた 次第に自分の顔を隠すマスクまでつけ始めた. そして俺は、戻ってきて、 東京卍會にはいった。 そこであったのが、佐野万次郎、マイキーだ 圧倒的カリスマ力。 俺はその力に惚れた、
だが武道以上に好きになることはなかった この感情に、俺は名前をつけることはできない。 俺を兄だと思い、慕ってくれている武道にこの感情をぶつければ、 この感情のデカさに耐えきれず 潰されてしまうだろう。 だからきついことを言ったのに。 結局武道を目の前にしてみろ。 突き放すことなんて出来やしなかった
ずっとずっと前頭に残っていた、ちよ君と言うたった四文字の言葉と、 嗚咽と、泣き顔と、全ての記憶が蘇る。 泣かないで。悪かったから。俺が。 お前が泣くのは、見たくないんだ。 その一心で俺は手を伸ばし、 パシンっ!と頬を叩き、 忘れもしないあの慰め方で 武道を慰めたのだ。
結局俺は弱い。 武道を前にすれば何も出来ない。 ただ、守りたいと、そばにいてほしいと、そう思う事だけしか出来なかった. この感情はしまうことにする。武道が俺を兄だと思うように、 俺は武道を弟だと思って接する。 それでいいだろう。
春千夜
武道
春千夜
武道
春千夜
春千夜
ちよ君はさっきと打って変わって優しく微笑み、俺の頭を撫でた.
武道
武道
武道
春千夜
春千夜
春千夜
武道
春千夜
武道
春千夜
武道
春千夜
武道
武道
春千夜
武道
春千夜
春千夜
武道
春千夜
ぽんぽんっと弾む会話に、懐かしさを覚え 懐かしい大きな背中、声、仕草、笑い方。全てを、 胸がいっぱいになる程感じた. 涙が出るほど嬉しく、そして辛かった. 弟と、そう呼ばれた時。 結局俺は、なんとも思われていない。ただの仲のいい弟。 当たり前なのに、辛かった
閉じ込めていた感情にまた慌てて閉じ込める。 ちよ君と話をしているだけで、 心がドキドキとうるさい。 感情が溢れそうになる。 これでいい。 弟として、隣に入れるならそれで。
武道
春千夜
春千夜
武道
春千夜
2人。 その言葉に無性に心臓が鳴る
春千夜
武道
春千夜
武道
ベランダに出てみると、 すっかり夜が来ていて、 明るい月が夜を照らしていた
俺は、胸のモヤモヤを晴らすために外に出た.
春千夜
武道に笑って欲しくて 昔みたいに、また。 兄弟だと思ってくれ。 そう言ったのに。 あの笑顔じゃなかった. 苦しそうに笑った. なぜ?俺が傷つけたことに変わりはない。 何か、何かを…堪えるような笑い方だった 俺はその武道の思いを、気づくことはできなかった
春千夜
俺は部屋に戻った. 昔っからお子様な武道は、ずっと前に寝たらしい。 俺は寝顔を少し見つめ、 すやすやと寝息を立てる武道の横で眠った
そんな日が、 一年ほど続いた
急に避けられるようになり、俺は、マイキーに相談を持ちかけた
春千夜
マイキー
マイキー
春千夜
マイキー
春千夜
マイキー
春千夜
マイキー
春千夜
春千夜
マイキー
マイキー
春千夜
マイキー
春千夜
マイキー
春千夜
マイキー
春千夜
マイキー
マイキー
春千夜
マイキー
春千夜
マイキー
春千夜
マイキー
マイキー
マイキー
春千夜
マイキー
マイキー
マイキー
マイキー
春千夜
春千夜
マイキー
春千夜
春千夜
春千夜
マイキー
マイキー
マイキー
春千夜
マイキー
春千夜
春千夜
俺は走った、ただひたすらに。 武道の好きな桜の見えるあの屋上に。 息をすることも忘れて
武道
ちよ君をとうとう避けてしまった… そんな自分が嫌になる。
武道
好きで、好きで、たまらない。おかしくなってしまいそうなくらい。 好きで。 いつか爆発してしまうであろう、 普通ではない俺の恋の気持ち。
武道
春千夜
武道
春千夜
息を切らして俺の元に走ってきた彼は、 呼吸を忘れていたかのように大きく吸って吐いてを繰り返した
春千夜
武道
春千夜
春千夜
春千夜
春千夜
武道
春千夜
春千夜
春千夜
春千夜
春千夜
春千夜
春千夜
春千夜
下を向いていた俺は、 顔を上げる。 すると、またあの嗚咽が聞こえた.
春千夜
武道
春千夜
春千夜
武道
春千夜
武道
武道
武道
武道
武道
春千夜
武道
武道
武道
武道
止まらない涙を、強制的に止めたのは、間違いなくちよ君だった. 柔らかな唇が、俺の唇にあたる。
武道
春千夜
春千夜
前みたいに、涙を拭ってくれる。
春千夜
武道
春千夜
春千夜
武道
武道
春千夜
ちよ君は、俺のほっぺとおでこにチューをした
武道
春千夜
春千夜
武道
春千夜
武道
驚くことに、ちよ君も一筋、ツーッと涙を流していた. 俺は、唇を塞いだ
春千夜
武道
春千夜
俺たちは2人でおでこをピッタリくっつけて、笑った。 心にあったモヤモヤはいつしか晴れて、 男同士なんて気にしなくなった. だってきっと、 2人でいれば大丈夫だから。
俺たちは、また約束をした. 今度は、また会おうの約束じゃない。 一生離れないように。 また指切りをした。
コメント
27件
めっちゃ感動して泣きました これまで読んできた感動系の中で1番感動しました
仲いいね(うらやまぁ〜)
面白い上に内容がこってて素敵です…🥲💖💖、700いいねほどさせてもらいました✊✊応援してします!