注意事項 ◇専門用語を使用している為、予め、今回は話の途中で捕捉をつけています。捕捉は色分けしてます。 ◇全て捕捉を入れると長くなるので、省けそうなものは、省いています。 それでも気にしないよって方は allow entry
搭乗口乗り場に行くと、既に高城さんが待っていた。
高城蓮太郎
秋元詩郎
秋元は近々、機長昇格試験を受ける予定になっている。
高城蓮太郎
秋元詩郎
高城蓮太郎
高城蓮太郎
トレイに手荷物を入れて、コンベアの上に置く。俺達は金属探知機をくぐり抜けた先で、トレイから荷物を受けとる。
秋元詩郎
飛行機に搭乗する前に、操縦する機体に異変がないか、視認での確認を行う。
高城蓮太郎
高城蓮太郎
秋元詩郎
高城蓮太郎
機体外部の確認作業を終えて、機内に乗り込む。
機内に乗った後は、CA達とコックピットブリーフィングを行う。 ※コックピットブリーフィング:顔合わせ兼打ち合わせの事
高城蓮太郎
秋元詩郎
先任CA
当日の指揮をとる先任CAモブ実から、アローケーションチャートを配られ、それに添っての説明がなされていく。 ※アローケーションチャート:当日誰がどこを担当するか、搭乗CAの全員の自己紹介。
CAからの伝達が終わると、高城から、飛行計画、気象状況、ベルトサイン点灯時の注意事項などを説明を行う。
高城の説明が終わると、再度、先任CAから乗客のインフォメーションなどの報告がなされる。
高城蓮太郎
先任CA
お互いに質問はなかった為、各自、持ち場につく。
高城蓮太郎
使用する滑走路を指定し、管制塔からの離陸許可を待つ。
管制官
管制塔の指示に従い、指定の滑走路から離陸を開始する。
時速320キロで、離陸を開始し、離陸後、徐々に機首を上げていく。
必要に応じ、主翼のフラップ(高揚力装置)を動かし、高度1万メートルまで、上昇していく。
航空業界には、魔の11分という言葉がある。離陸時3分間、着陸時前8分間に航空事故が多発している。
この離陸直後が、一番緊張する瞬間だ。
魔の3分間を抜け、機体は巡航高度の20000フィートまで、到達する。
二人で離陸後のチェックを行う。
特に問題なく、チェックを終える。
高城蓮太郎
秋元詩郎
高城蓮太郎
天気が良く、視界も良好だった。
秋元詩郎
高城蓮太郎
東京湾から、相模湾に抜けた時に、それは起こった。
進行する方向にある雲の隙間から、ちらりと黒い影が見える。
高城蓮太郎
高城は黒い影の正体に気づき、コックピット内には、一気に緊張が走る。
高城蓮太郎
手動操縦に切り替え、回避を試みる。
しかし、回避を試みるよりにも先に、黒い影の接近の方が早かった。
距離が近づくにつれて、黒い影が正体を現す。それは、高城達が想定していたものと一致した瞬間だった。
黒い影の集団の正体は、カモメの大群。
次の瞬間、轟音(ごうおん)とともに、機体に、衝撃が走る。
コックピット内に、エンジンの異常を知らせるアラームが響く。
秋元詩郎
バードストライクとは、エンジンに鳥が巻き込まれる事をさす。これの怖い所は、旅客機でさえ、墜落(ついらく)させるというとこだ。
バードストライクの影響により、段々と高度が下降している事に、計器を見ていた秋元が気づく。
秋元詩郎
高城蓮太郎
コックピット内に、火災警報、エンジンの異常を知らせるアラームが鳴る。
高城蓮太郎
高城蓮太郎
緊急事態時の対応マニュアルに則(のっと)って、秋元に確認するよう指示を出す。
秋元詩郎
秋元詩郎
スコークとは、航空機に設置されている緊急信号。ただ、どこかの管制塔のレーダー圏にいないと使えない。洋上の事故や深い山中での事故は「メーデー」送信が多く、空港が多い平地上空は「スコーク77」送信が多い。絶対ではない。 国際的取り決めスコークコードは、ハイジャック以外の緊急事態は7700、ハイジャック7500、スクランブル発信の軍用機7777。
直ぐさま、秋元が管制塔に緊急信号を発信する。
秋元詩郎
秋元詩郎
秋元詩郎
管制官
秋元詩郎
管制官
秋元詩郎
管制官
機首を下げて、高度を18000フィートまで、下降を始める。
機体の揺れが激しくなる。
秋元詩郎
秋元詩郎
そして、こういうときに限って、悪いことは重なるものだ。
高城蓮太郎
推力を失った機体は、フゴイド運動を始める。 ※フゴイド運動:上下の揺れ
管制官
秋元詩郎
管制官
秋元詩郎
管制官
秋元詩郎
管制官
秋元詩郎
管制官
相変わらず、コックピット内では、アラームが鳴り止まない。
CAから連絡が入る 。
秋元詩郎
右エンジンが脱落し、これで残りのエンジンは2つとなった。更にフゴイド運動は強くなる。
高城蓮太郎
効かない操縦レバー、エンジンの脱落、発火。
油圧に引火しての、爆発の恐れ。
高城蓮太郎
秋元詩郎
高城蓮太郎
秋元詩郎
秋元詩郎
高城蓮太郎
高城蓮太郎
高城は決断する。
高城蓮太郎
秋元詩郎
管制官
緊急着水と聞いて、管制塔に緊張が走る。
海に着陸する方が助かるんじゃない?って、思うかもしれないが、着水着陸は簡単なものではない。侵入角度、波の流れと着水方向の一致、速度を、一つでも間違えれば、海の藻屑(もくず)コースだ。高所から落下した場合、海面はコンクリートに匹敵する硬さになる。着陸が成功したからと言って安心出来ない。沈没するからだ。その上、沈没するまでに掛かる時間もまばらである。だから、着水着陸の成功率は低い。
秋元詩郎
管制官
緊急着水の了承を得られる。
秋元が、緊急着水についての機内アナウンスを行う。
秋元詩郎
乗客への説明も終えた。
残る問題は、機体をどうやって安全に降下させるかだ。
この時、奇跡が起きる。
今まで、操縦不能に陥(おちい)っていた操縦レバーが、突如、機能回復したのだ。
しかし、手放しでは喜べない。突如回復したという事は、いつまた操縦不能に陥るか分からないということだ。
高城蓮太郎
祈りながら、操縦レバーを前に倒す。
全エンジンをアイドリングに変え、緊急降下を開始する。依然とフゴイド運動は続いている。
秋元詩郎
秋元詩郎
高城蓮太郎
フラップを下ろした事で、少し機体は安定を見せる。
高度が下がってくるに連れて、海面が見えてくる。
対地接近装置が作動する。
対地接近装置
対地接近装置
対地接近装置
速度を290kmまで落とす。
高城蓮太郎
秋元詩郎
対地接近装置
対地接近装置
けたたましく、警報装置は、上昇しろとアラームを鳴らし続ける。
降下開始してから、120秒後、遂にフラップが海面に接触する。
次に、機体の胴体が触れ、滑るように海面を走る。
着水時、完全に勢いを殺しきれなかった為、衝撃に耐えきれず、一部破損したが、運よく、機体分解には至らなかった。
高城蓮太郎
秋元詩郎
管制塔に、おおよその位置を伝え、秋元も避難誘導へと回る。
高城蓮太郎
秋元詩郎
着陸と同時に、客室乗務員達が避難誘導対応を行ってくれていた為、秋元が誘導にきた時には、乗客の半分はシートを滑り降りていた。
最後の乗客が脱出した後、誰も残ってないか確認する。
高城蓮太郎
秋元詩郎
エンジンは依然と発火している。機体は、いつ爆発するか、爆発するよりも沈没するのが先かの状態だ。
高城蓮太郎
秋元と高城も救命胴衣をつけ、脱出する。
秋元詩郎
高城蓮太郎
秋元詩郎
高城蓮太郎
高城蓮太郎
秋元詩郎
高城蓮太郎
小さな箱を投げて寄越してきた。海面に浸かっていた事もあって、箱は濡れていた。
秋元詩郎
高城蓮太郎
秋元詩郎
高城蓮太郎
箱を開けると高城さんとお揃いのデザインのネクタイピンが納められていた。
秋元詩郎
高城蓮太郎
秋元詩郎
高城蓮太郎
秋元詩郎
高城蓮太郎
海面を漂う事、数分後、救助に来てくれた、民間の漁船に俺達は引き上げられたのだった。
おわり
あとがき 航空系は畑違いなので、日本航空123便墜落事故、ハドソン川の奇跡を参考にさせて頂きました。リアリティを出す為に、数値などは変えてますが、一部引用させて頂いています。⬇️ 日本航空123便墜落事故 - Wikipedia https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%88%AA%E7%A9%BA123%E4%BE%BF%E5%A2%9C%E8%90%BD%E4%BA%8B%E6%95%85 不明な部分は、たぶんこんな感じなんだろうなと、かなり、ふわっとした感じで書いているので、正確性に欠けている部分もあります。 調べながら書くので、秋元の誕生日の7月10日に間に合わんかった(^-^; 2日遅れだけど、秋元誕生日おめでとう。今日は城ヶ崎の誕生日だけど、間に合わんから、じょうかぶの投稿は諦める。 直前まで、死ネタにするか、生還させるかで迷ったけど、誕生日に殺すのもどうなんだろという葛藤(かっとう)の末、本編は生還させました。 でも、個人的に死ネタの終り方の方が好きなので、今回のおまけは、別軸の、あったかもしれない世界線、いわゆるパラレルワールドだと思って下さい。おまけは、死ネタとなります。どっちが、本編でもいいんですけどね。読む人の好きなように解釈して下さい。
無事着水に成功した。
高城蓮太郎
高城蓮太郎
秋元詩郎
優秀な客室乗務員達のお陰で、乗客は既に避難を開始しており、俺も誘導の手伝いへ入る。
秋元詩郎
秋元詩郎
乗客の避難を終える。
先任CA
秋元詩郎
先任CA
救命胴衣を受けとった。
座席に人が残ってないか確認していく。
誰も残ってないのを確認し、脱出の為、救命胴衣を着けようとして、そこである事に気づく。
秋元詩郎
秋元詩郎
秋元詩郎
秋元詩郎
嫌な予感にかられ、コックピットに急ぐ。
コックピットを潜ると、まだ機長席に高城さんは、座ったままだった。
高城蓮太郎
秋元詩郎
高城蓮太郎
秋元詩郎
高城蓮太郎
高城蓮太郎
秋元詩郎
高城蓮太郎
秋元は慌てて、機長席を確認する。着水時、僅かに機長席の方に、機体が傾いていた。殺しきれなかった着水の衝撃で機体に歪みが生じ、高城さんの足を挟んでしまっていた。見ただけで分かる。自力での脱出は不可能だということが。
高城蓮太郎
救難信号を出しているといっても、残された時間は少ない。この機体の行く末は、救助される前に沈没するか、機体が焼失するかのどちらかしか残されていない。
高城蓮太郎
秋元詩郎
高城蓮太郎
秋元詩郎
秋元は副操縦席に座った。
高城蓮太郎
秋元詩郎
高城蓮太郎
秋元詩郎
秋元詩郎
秋元詩郎
秋元詩郎
高城蓮太郎
秋元に脱出する意思がない以上、幾ら言っても意味がないと分かり、脱出するように促すのを高城は止めた。
火が燃え広がってきてるのだろう。焦げ臭さと、黒煙がコクピット内にも漂ってきた。
刻一刻(こくいっこく)と、その時が迫ってきている。
高城蓮太郎
秋元詩郎
高城蓮太郎
高城蓮太郎
高城さんが、小さな箱を秋元に差し出してきた。
秋元詩郎
高城蓮太郎
高城蓮太郎
高城蓮太郎
秋元詩郎
高城蓮太郎
秋元詩郎
秋元詩郎
高城蓮太郎
秋元詩郎
既に火の手は、二人の真後ろまで迫っていた。
秋元詩郎
高城蓮太郎
秋元は高城から差し出された手を、指を絡めて握り返す。
高城蓮太郎
秋元詩郎
高城蓮太郎
秋元詩郎
ついに、その時が訪れた。火がコクピットを舐めつくす。
後日、海底から引き上げられた機体から、互いの手を握りあったままの焼死体が2体発見された。
おわり
コメント
4件
目茶苦茶、調べていらっしゃるぅ! 凄いしか出てこないです😲 秋元の誕生日、メンバーシップで知られたんですかね?