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EKUBO
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伊藤 美郷(いとう みさと)
佐藤 彗(さとう けい)
宮水 小百合(みやみず さゆり)
谷口 翔吾(たにぐち しょうご)
高橋 ひなの(たかはし ひなの)
井上 翔(いのうえ しょう)
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クラスメイツ
休み時間の教室。廊下から聞こえてきたそんな小声の噂話を、私は完璧な真顔で受け流した。
伊藤美郷、16歳。黒髪ポニーテールに丸メガネ、ブレザーのボタンは一番上までキチッと留める。その見た目のせいで、新学期早々「生徒会長っぽい」「お堅い」と勝手に勘違いされている。
でも断言する。私はただの普通の中キャ(中位カースト)だ。目立ちたくないから大人しくしているだけである。
小百合
ひなの
私の席の周りに集まってきたのは、宮水小百合と高橋ひなの。
ハーフアップの黒髪が上品な小百合は、おっとりしたお嬢様。金髪ショートにイヤーカフがオシャレなひなのは、カースト上位のギャル。
周りからは「なんであのお堅い伊藤が、あの2人と?」と不思議そうな目で見られるが、私たちはただの話の趣味が合う大親友だ。
ひなの
ひなのが視線で示した先――教室の一番後ろの窓際。
そこには、黒髪のボサボサ前髪、丸メガネ、そしてマスクを完璧に装備してノートと睨めっこしている男、佐藤彗がいた。
「学年一モテない男」と噂される、筋金入りの陰キャ男子。いつも顔を完全に隠していて、何考えているか分からない。
私は「住む世界が違うな」くらいに思いながら、また小百合たちとの雑談に意識を戻した。
この時の私は、まだ知らなかったのだ。 彼が、世界を揺るがすレベルの特級地雷(イケメン)だということを。
美郷
放課後。夕日が赤々と差し込む教室で、私はプリントの束と格闘していた。日直の仕事を押し付けられたのだ。
静まり返った教室内。残っているのは、私と――。
カタ、と小さく机が揺れる音がした。 見ると、後ろの席の佐藤くんも、課題が終わらないのか1人で黙々とペンを動かしていた。
メガネにマスクの完全防備。気まずい。ただただ気まずい。私はなるべく音を立てないようにプリントをめくった。
5月の西日は、予想以上に教室の温度を上げていた。
ふと、後ろの席から小さく
彗
と低い呟きが聞こえた。
喉が渇いたのか、佐藤くんが自販機で買ったのであろう冷たいペットボトルの水に手を伸ばす。
そして、水を飲むために――片手でスッと、マスクをあごへと下げた。
偶然、そっちを振り向いてしまった私の動きが、完全にフリーズした。
美郷
カサリ、と手元からプリントが何枚か床へ滑り落ちる。そんな音すら耳に入らない。
夕暮れの赤い光に照らされて現れたのは、シャープで美しいフェイスライン。すっと通った綺麗な鼻筋。そして、少し薄い唇。
前髪の隙間から覗く伏せられた睫毛が、信じられないほど長くて綺麗だった。
美郷
そこにあったのは、「学年一モテない陰キャ」の顔ではなかった。二次元からそのまま飛び出してきたかのような、あるいは国宝級のトップアイドルのような、奇跡みたいな美形だった。
そこにあったのは、「学年一モテない陰キャ」の顔ではなかった。
ゴクリ、と彼が喉を鳴らして水を飲み干す。
私の熱い視線(というか凝視)に気づいたのか、佐藤くんがぼんやりとこちらを振り向いた。
丸メガネの奥の、アンニュイで、だけど吸い込まれそうなほど綺麗な瞳と、バチッと目が合う。
彗
マスクを下げたままの綺麗な唇が動き、鼓膜に響くような、少し低くて心地いい声が鼓膜を震わせる。
彗
美郷
私は裏返った声で叫ぶと、床のプリントを音速でひったくり、カバンを掴んで教室を飛び出した。
ガラガラガラッ!!!と激しくドアを閉め、廊下を全速力で駆け抜ける。
心臓が、バカみたいにうるさかった。ドクドクと、胸の奥が痛いくらいに脈打っている。
美郷
美郷
翌朝。
教室の隅の席には、昨日と全く同じように「前髪×メガネ×マスク」の完全防備で、読書をしている佐藤くんの姿があった。
クラスメイツ
前の席の女子たちが、そんなコソコソ話を繰り広げている。
私は教科書を持つ手が、わずかに震えるのを止められなかった。
チラ、と佐藤くんのほうを見る。彼は相変わらず、外界のすべてをシャットアウトするように本を読んでいる。
美郷
ドキン、と心臓が跳ねる。
その日を境に、私の丸メガネの奥の視線は、どうしても教室の隅の「彼」を追いかけてしまうようになったのだった。
(つづく)
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EKUBO
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コメント
5件
おお、これめっちゃ面白かったわ! 「学年一モテない陰キャ」って噂の佐藤くんが実は国宝級イケメンって展開、王道だけどめちゃくちゃ刺さる。マスク外した瞬間の美郷のフリーズっぷりが映像で浮かぶし、「世界で私だけが知ってる」って感覚、少女漫画の醍醐味よな。続きが気になりすぎる!