青葉城西女監督

バレー部にも少しずつ慣れてきた頃だった

今は部員たちはスパイク練習を行なっていた

及川くんと矢巾くんが各スパイカーたちにトスをあげている

そう今彼女はとある選手を観察していた

最近、心なしかミスが増えていってる気がする彼

次は彼のスパイクの番だ

及川くんのセットに合わせて彼が跳ぶ

特に問題なさそうにスイングをしようとしたところ

ぐっ

傷んだんだろうか、ボールは打たれることなく地面に落ちる

スパイクミスだ

ミスと言う以前よりかは傷みで打てなかったのだろう

当の本人は心配そうに及川に声をかけられていたが

「大丈夫わりー」と問題なそうに返した

流石にこれは見過ごせない

彼女は首元にかけている笛を鳴らした

選手がこちらに注目する

その中で彼女は冷静な口調で口を開いた

花巻くんがこちらに向かったところで練習は再開された

無言のまま彼は答えない

仕方がない。強行突破だ

彼の体にそっと触れた

そして確認する

流石に男子高校生。女子に触れられたらびっくりするもんね

あたしはもう女子じゃないけど…

そしてあたしは花巻くんの腕を掴み連れ去った

やはり警戒心強めだ…当たり前だ…

あたしはそう言って彼をマットに押し倒した

いきなり押し倒されて焦っている。当たり前だ

でもこうでもしないときっと…

ガシッ

あたしは彼の体を掴み仰向けにする

そして肩を触り確認した

質素な空気の中花巻くんが口を開く

その時の花巻くんの顔は惨めで情けなくて悔しそうだった

彼の筋肉…相当疲労が溜まっていたのね

他にもいっぱいこの様な部員いるかもしれない…

気を改めて望まないと

そして家でのストレッチ方法も教えて、なんとか終わった

用具室を出ようとしたその時彼に声をかけられた

ニカっと笑ってVサインを作った

なんとか一件落着してホッとしていたが

そんなにあたしのマッサージ痛かったかしら…

きっと花巻くんが疲れていてそう感じただけよね！

そばにいたコーチに話しかける

ぐっと彼の肩に力を入れた