俺の友達は何があっても写真を撮らせてくれなかった
遊園地に行っても、花火を見ても
「俺は撮りたくない」
そう言って断り続けていた。
シャークん
スマイル…
スマイル
何?
シャークん
…いや、写真撮りたいなって…
スマイル
そう、俺は撮りたくないからいいや…
まただ…
いつになったらいいのかな…
シャークん
…いつ撮らせてくれるの…?
スマイル
分かんない、でもいつかね
シャークん
マジ?
いつか撮らせてくれるんだ…
嬉しいな…
スマイル
…なぁ、シャークん
シャークん
…どうした?
スマイル
写真…撮って
マジか、やっと写真撮れるのか…
ドキドキしてきたな…
シャークん
あい、撮るぞー
スマイル
あ、待って…
スマイル
ポーズ、笑顔のダブルピースか後ろ向き、どっちがいい?
ポーズ…?そんなの普通に笑顔で良くないか…?
シャークん
…どっちでも
スマイル
そ、じゃあ後ろ向きで
後ろ向き…顔を写したくないのか…?
シャークん
はい、チーズ
パシャリ
スマイル
あ、もう一枚撮らない?
もう一枚撮らせてくれるのか…
スマイル
今度はちゃんと前向きで
シャークん
…わかった
シャークん
…はい、チーズ
パシャリ
スマイル
…ありがと
次の日、スマイルは死んだ。
病気だったらしい。
そう言えばあいつ、楽しくなると 「いえー」って言ったっけな…
シャークん
……
END『遺影』