テラーノベル
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日曜日の午後、私は部屋のベッドに寝転びながら、スマホの画面を見つめていた。
緑とのトーク画面。
最近のやり取りは、短くて、淡白で、当たり障りのないものばかり。
何を送っても、前みたいな軽口や冗談は返ってこない。
"もう、私じゃなくてもいいんだろうな"って思ってしまう。
通知は来ないのに、何度も確認してしまう自分が、情けなかった。
桃 。
ふと、画面に写った自分に向かって、声を出してみた。
誰にも聞かれない部屋の中で、私はようやく、本音を口に出すことが出来た。
好きって、いつ始まったんだろう。
小学校の帰り道? 一緒にお弁当食べたあの日?
風邪で休んだ時、緑がノート届けてくれた時?
始まりなんて思い出せないのに、どうしてこんなに"終わり"ははっきりしてるんだろう。
緑は、もう私を見ていない。
たとえ言葉を交わしても、隣にいても、そこに"特別"はない。
もう、気づいてる。
この気持ちは、きっと報われない。
でも、それでも。
桃 。
誰かに行って欲しい。
「もうやめたほうがいいよ」って。 「もっといい人がいるよ」って。
けれど、そんな言葉じゃ、この想いは終わらない。
終わらせたいのに、終われない。
緑の笑顔を思い出す度に、心臓がキュッとなる。
胸の奥に居座ったこの気持ちは、私の中で生き続けている。
"好き"って、なんて残酷なんだろう。
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