貴方の前だけでは

1月1日

正月

この寒い冬にはあっても暖かくない太陽が

私達を照らす

人に押され

思わず転けそうになる

でもすぐに腕が伸びてきて

yanくんに支えられる

そう、今私が人に押されたのは

私達は今初詣に来ているからで

あと、もう一つ

手を繋いでいないから

ポケットから手を出し

手を差し伸ばされる

手を繋いでいない原因は

私で

yanくんは、私が会社ではクールのことは知っている

一瞬ニヤッとして

私の左手を掴んで握る

そしてそのまま指を絡ませる

そしたらyanくんのポケットの中に私の手ごと入れられる

yanくんは満足そうな顔でそう問いかけてくる

バレバレで恥ずかしい気持ちもあったけれど

でも、その気持ちより

本当は私もyanくんと手を繋ぎたかったと思っていて

だからこれ以上

何も言わなかった

おみくじを引き

二人で結果を教え合う

紙を見て絶望する

何かをひらめき

驚きの顔から笑顔に変わる

いきなり過ぎて、変な声が出る

紙を隠す

だって

恋愛のとこに

相手が引っ張ってくれますが、自分から 行動するのがいいでしょう。 そうしたら、きっと相手も…

ここから先は隠して読めなかった

相手もって？

ぐいっと手を引っ張られる

気づいたら、私のことをyanくんが引っ張ってくれている

自分から。だなんて

無理だよ

結び終わり

また二人で手を繋いで

ポケットの中に入れる

そのまま歩いていったら

人混みが少ないとこまでやってきた

だから人がよく見えるようになって

目立つ水色髪の可愛い子が見つかる

rn

私の後輩

rnが周りを見渡していると

私と目があって

笑顔になって私の元へ駆け寄ってくる

私は思わず手を離し

ポケットから手を出す

私達の前に立ち止まる

rnの目が輝く

やっぱりそうなると思った

yanくんの腕を突く

目で駄目という合図を送る

yanくんは一瞬微笑んで

ほっと胸を撫で下ろす

rnがyanくんの前に手を差し出す

私には理解できない

でも、1つだけわかった

yanくんがrnの手を握る

口元まで赤いマフラーを引きずり上げる

嫌だ

手、繋がないで

そんな軽々とさぁ

わかってる

心が狭いことぐらい

後輩に嫉妬していることぐらい

ぱっと手を離す

手を大きく振られる

目線はyanくんと反対方向を向き

返事も曖昧で

両手を引っ張られ

yanくんと顔を合わせられる

手で支えていたマフラーが口元から下がる

手、温かい

なんで？

そっか、さっきまでrnと…

思わず頬を膨らます

頭におみくじのことが遮り

言葉が詰まる

自分から…行動

どんどん声が小さくなっていき

最後にボソッと言い付け足す

目線がどんどんyanくんから離れていく

yanくんの手が私の両頬を押す

手を離し

私の片手を引っ張り

yanくんと距離が縮まる

そしてもう片方のyanくんの手が

私の背中に回されそうになったが

一瞬止まる

そしたらその手は私の髪に指を通す

喋っていた口が止まる

繋いでいた手をまたポケットに入れて

また二人並ぶ

少し物足りなく

続きをやってほしかったと思う私

足元には

さっきよりも縮まった二人の影が

重なっていた