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暁のヨナ夢

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暁のヨナ夢

第4話 - ...何？

35

2024年01月06日

#暁のヨナ

#ファンタジー

#ドラマ

#創作

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35

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ヨナ

...何？

ユン

爆竹だ

リリ

灯水町では今夜水神様の祭りが行われているのよ

ユン

祭り....へぇーっ

リリ

毎年この辺りではやっている祭りなの。音楽や花火でとても賑やかなんだから

ハク

この町か？斉の商人や行方不明者が出るのは

リリ

それは....

ツバル

リリ様

リリ

あっツバル

ツバル

また来て下さったんです？

リリ

いいのよ、この件を解決したいのは私も一緒なんだから

ツバル

ありがとうございます

リリ

あっ、紹介するわね。彼女は知人のツバル。一月程前ツバルの息子がこの辺りで行方不明になってるのよ

ミア

....

ユン

えっ

ユン

いくつぐらいの子？

ツバル

15です...夜に家を出たきり帰ってきてないの....

リリ

私も情報を集めているのだけど、なかなか手掛かりが掴めないの

リリ

斉との国境は広いし、この件が麻薬に関係しているかは分からないけど、まずはこの灯水町から調べようと思うの

ヨナ

わかった

ツバル

リリ様そちらは....？

リリ

ああ

リリ

調査を手伝ってくれる人たちよ

ツバル

お世話になります...!リリ様は変なお友達が多いんですねぇ

リリ

ツバルの家は旅籠屋で麻薬を取り締まっている時に知り合ったの

リリ

あっ、私は仙水の貴族の娘ってことになってるから

キジャ

祭が始まった

ハク

人も増えてきたぞ、やりづれぇな

ジェハ

いや...四泉での麻薬騒動と同じだよ、かえって好都合かも

ジェハ

シンアくんも目立ちにくいし

ハク

確かに

ヨナ

この中に斉の商人が紛れ込んでるかもしれないのね

シンア

アオ...行っちゃダメ

ユン

お腹すいたのかな、町中美味しそうな匂いしてるもんね

ゼノ

ボウズー

ゼノ

飴ちゃんぷまい

ユン

幼児かえりも大概にしろ永遠の17歳

ユン

ちょっとこれお金どうしたの！？

テトラ

私が出しました〜〜

ユン

もっ、うちのバカがすみません

ジェハ

シンア君あれが立派なお母さんの姿だよ

テトラ

うふふ、せっかくいらしたんですもの、今夜くらい楽しんでいかれてくださいな

ユン

そいつを甘やかしちゃダメなの！

ジェハ

じゃあ僕らは祭囃子に混じって偵察してこようかな、ゼノ君

ゼノ

あいよ、青龍もいこ

キジャ

では私はそんなそなた達を抱えて練り歩くか

ユン

やめろ一際輝く気か珍獣4兄弟

ライ

.....ミア

ミア

黙って

ミア

.....まだ、駄目よ

ライ

.......うん

リリ

きゃあっ

ヨナ

リリ！どうしたの！？

リリ

大丈夫.....ちょっと....

リリ

誰かに手を切られたみたい...

ヨナ

切られた!?

リリ

かすっただけよ

ミア

...!!

ミア

腕を見せなさい！

リリ

！！？

リリ

え、あ.....うん...

ミア

.....!

ミア

(これは.....)

ミア

リリ、今夜は絶対に1人にならないで。分かった？私がそばにいるけど、くれぐれも闘える者を傍に置いておいて。

ミア

((ｺｿｯ))それと、私から伝えるべき人に伝えるから、これは他言しないこと。誰にもよ。

リリ

...分かった

ミア

.....ライ

ライ

了解

ﾋｭﾙﾙﾙﾙ

ドン！

ミア

！

ヨナ

...ハク、聞こえた？

ハク

あぁ

ミア

花火と歓声でかき消されたがあれは間違いなく悲鳴....

リリ

まさかまた麻薬中毒者？

テトラ

斉から麻薬の商人が来てると噂の町ですもの、居てもおかしくないですわね

テトラ

リリ様はここでお待ち下さい、私が行って....

リリ

テトラ待って

キジャ

よせ

キジャ

闘うのは我々の役目だ。姫様とリリとミアを連れて宿へ

キジャ

そなたはもう少し体を労った方が良い

ミア

！

ミア

私はやることがある。先に行って

キジャ

いくらそなたでも危険なものに変わりはない

ミア

それは貴方達もよ。

キジャ

だが....!

ミア

.....分かった、では....ジェハと少し話がしたい

ジェハ

僕かい？

ハク

.....?

ヨナ

分かった、待ってるわ

ジェハ

呼び出したりしてなんだい？今回は何も進展はないよ

ミア

話を聞いて欲しい。これは他の龍達にも、勿論ユンやハク、ヨナにも他言しては行けない。

ジェハ

！

ヨナ

ミア...なんの話しをしているんだろう

ハク

なんでよりによってタレ目なんだ？

キジャ

ジェハが不埒な真似をしたら直ぐにひっぱたいてやるから安心しろ！

ユン

そこは心配してないよ......多分

ミア

......まず、麻薬を横流ししている商人を見つけたわ。

ジェハ

！...誰なんだい？

ミア

.....リリの知人と言ったわね、旅籠屋のツバル。あいつが斉の商人よ

ジェハ

！？

ジェハ

....それは、確実なのかい？

ミア

えぇ、私は間違えたことをわざわざ報告したりしない。

ミア

あの女、上手く誤魔化していたけれど。体にナダイの匂いが染み付いている。

ミア

それと、何か血なまぐさい匂いもしたわ。

ジェハ

！

ミア

ライにも確認した、間違いないわ

ジェハ

香りなんて.....どうして分かったんだい？

ミア

.....忘れたくても忘れることが出来ない、薬品の匂い。まさかこんなところで役立つとはね

ミア

私の昔の話に少し関係しているわ。けど、今はそこは重要じゃない

ミア

リリの手を切ったのも恐らくツバルよ。

ジェハ

なんだって！？早く皆に報告して捕まえないと....!

ミア

待って！

ハク

おっ、ミアが腕掴んだ

ヨナ

言い争い....じゃないわよね、大丈夫かしら...

ミア

何故私がわざわざ貴方だけを呼び出したか分からないの！？

ジェハ

...どうしてなんだい？

ミア

...とりあえず、最後まで聞いて。

ミア

私は奴らの拠点を特定したい。

ミア

恐らくリリに傷をつけたのは宿に引っ込んで置いて欲しかったから。ヨナも一緒に戻ることになっているから、きっとヨナとリリは奴らの拠点かどこかへ連れ去られるはず。

ジェハ

....!!

ミア

ヨナの危険となると、ハクやキジャは興奮しすぎるでしょう。シンアやゼノにはあまり惨い話を聞かせたくないし。

ジェハ

...惨い話？

ミア

これは私の予測に過ぎないけど....あいつらは恐らく。連れ去った人々を奴隷として、何かしら働かせている。

ミア

ヨナならきっと、連れ去られた人も助けたいというはず。

ミア

ヨナやリリを危険な目に遭わせるのは勿論嫌だけど。今ツバルだけを捕まえても、何も収穫がないの。分かるでしょう？

ジェハ

確かに...そうだ....けど....！

ミア

私はね、1番冷静に話を聞いてくれそうだから貴方に話したの。貴方にしか、話せないの。

ミア

ヨナ達と一緒に私も例の場所へ行く。必要なものははライに跡をつけさせて近くに隠してもらうわ。

ミア

....私を信じて欲しい私が必ず。命を懸けてヨナとリリを守るわ。傷ひとつつけさせやしない。

ミア

だから、貴方達はここで.....

ジェハ

君は.....どうして平気でそんなことを言うんだ

ミア

....え？

ガシッ

キジャ

！あやつミアの肩を掴んでいるぞ！

ヨナ

待って、まだ分からないわ

ハク

(一体なんの話をしてるんだ？)

ジェハ

勿論ヨナちゃんやリリちゃんの安全も大切だ。僕も心配してる。けど、だからといって君が傷ついて良い訳じゃない....！

ミア

...!

ジェハ

君は前からずっと、何か勘違いしているようだね、

ジェハ

ヨナちゃんが大切なのは確かだ。でも、、仲間になったからには、君の事も同じくらい大切だ！

ミア

....！

ミア

.....大丈夫よ、ライもこっそりついてこさせるもの。

ミア

私は絶対に死んだりしないわ。お願い、私を信じて。

ミア

きっとライが拠点について何かしら痕跡を残すはず。だから貴方達は準備が出来次第その場所へ向かって欲しい。

ミア

貴方達が来たら私も戦闘体制に入る。水の部族を二度と荒らせないよう1人残らず捕まえる。

ミア

.....やって...くれる？

ジェハ

.....分かった

ジェハ

その代わり、君も自分を大切にすると約束してくれ。

ジェハ

何故だか.....君が傷つくと...自分をどうでもいい人間のように扱っているのを見ると...心臓が潰れそうなくらい苦しくなる....

ミア

.....約束は、出来ないかもしれない...。私の目的はヨナを守ることだから...

ジェハ

....

ミア

ただ、必ず生きて全員でまた会うと約束するわ。だから、貴方達も誰1人欠けることなく.....来てね...

ジェハ

もちろんだよ

ジェハ

彼らに話すタイミングは？いつが丁度良い？

ミア

少なくとも私達が連れ去られてからね。きっと皆して止めるから....

ミア

もし、その時ジェハが皆に責められるようなことがあったら、私に命令された。無理矢理仕方なく、、なんでもいいわ、言い訳をして

ジェハ

.....分かったよ

ミア

...ありがとう

ヨナ

！話が終わったみたい

ユン

戻ってくるよ

ミア

お待たせ。さあ、宿へ戻りましょう

キジャ

ジェハ、そなた何の話をしていたのだ？

ジェハ

んーー

ジェハ

愛の告白？♡

ユン

冗談きついよジェハ

ジェハ

ユン君辛口にも程があるよ

キジャ

そなたミアの肩を掴んでいたが...何もしていないだろうな？

ジェハ

なんもしてないよ

ジェハ

それとも、なんかしてたら困るわけ？

キジャ

！そのような事は....！

ゼノ

ボウズ、来てくれ

ゼノ

多分...死人と怪我人が出てる

ユン

うん、

ツバル

リリ様...っ

ツバル

手から血が....っ！

ミア

(このお茶には睡眠薬が入っているだろうな)

リリ

大丈夫よツバル痛くないから

ツバル

麻薬中毒者の仕業でしょうか.....？

リリ

そうかもしれないわね

「おいっそこの兄ちゃん！」

ハク

！

「橋のとこで人が折り重なるようにして倒れて、怪我人が沢山出てる、ちょっと手伝ってくれないか!?」

ハク

....

バッ

ミア

(....まずはハクを遠ざける)

テトラ

騒ぎの原因は事故...だったみたいですね

リリ

そう.....なんだ

リリ

事故.....大丈夫かしらね

ヨナ

うん....

ｶﾞｼｬﾝ

テトラ

私...少し外を見てまいります

ミア

(誰もこの中の人間を疑っていない為テトラも上手く外へ)

ミア

(ホント...よく出来たシナリオだこと)

リリ

麻薬の事もあるのにこんな事故が起こるなんて

ヨナ

.....事故....かしら....

ミア

...!

リリ

えっ....

ヨナ

本当にただの事故かしら...

リリ

えっでも

ヨナ

リリの手を切られたのも....ただの事故....?

リリ

これはかすっただけよ

ヨナ

かすっただけ....

ヨナ

かするだけで良かったんだとしたら

リリ

どういう事？

ヨナ

たぶん、リリには宿に引っ込んでいて欲しかったのよ

ミア

.....(まさかヨナが気づくなんて)

ミア

.....(成長、したのね)

リリ

ヨナ、何を言って....

リリ

.......

ミア

(そろそろか)

ｶｼｬﾝ

ヨナ

リリ？ミア？

ヨナ

リリ!？ミアまで！

ヨナ

リリ...

ばっ

バタ....

ツバル

おやすみ、勘のいいお嬢さん

ヨナ

(頭がくらくらする)

リリ

ヨナ...

ヨナ

リリ....!

ヨナ

ミアは...!

ミア

ここにいるわ

ヨナ

良かった....

リリ

何これ...私達どうしたの...？

ヨナ

分からない、馬車の中...みたい

男

降りろ

「何だ...」

「何だここは....」

ミア

(....やはり奴隷か、胸糞の悪い....)

「斉国？ここは斉国だと！？」

「どういうことだ、俺らは灯水町の祭で怪我をして、診療所がいっぱいだからと隣町へ....」

「なぜ斉国まで運ばれた！」

「聞いてないわ」

「今すぐ帰せ！」

ミア

...まずいな

ﾋﾞｼｯ

「ぎゃあ！」

男

下がれ、逆らえば殺す

ミア

(この人数、今すぐ潰せなくはない。けど、人質が多すぎる....)

男

お前らは奴隷として斉国に連れてこられた

男

奴隷の仕事は単純。ここで砦を作ることだ。

ミア

(砦...?なんのために....)

ヨナ

これは何の砦なの？

男

黙れ、問うことは許されない

ミア

(極秘か)

男

お前らは何も考えず働けばいい、仕事さえすれば帰してやる

リリ

ツバル！

リリ

お前も連れてこられたの？大丈夫？

ミア

....

ヨナ

リリ！

ヨナ

その人から離れて

リリ

ヨナ...?

ヨナ

ツバル...あなた何者？なぜ私とリリを斉国へ連れてきたの？

リリ

ツバル...

ツバル

...そんな大層な身分じゃないわお嬢さん

リリ

どういう事ツバル

ツバル

申し遅れましたリリ様、私斉国で商人をやっているんです

リリ

商人....

ツバル

リリ様お探しの...ね

リリ

麻薬商人....!?

ツバル

近頃貴方が麻薬を取り締まっているせいで商売が滞っていましてね、邪魔だったんですよ

リリ

じゃあ息子が行方不明って言うのは....

ツバル

そう言えば貴方をおびき寄せられるでしょう？

ツバル

そして祭の中騒ぎの種をひとつずつ撒いて

ツバル

混乱に乗じて人間を回収。

ツバル

おかげで大漁、計画は上々でした

リリ

ツバル!!

ミア

！よしなさい...!

男

そこ！大人しくしろ！

ヨナ

リリ!!

バシッ！バシッ！

ヨナ

っ....

ヨナ

ミア....!!

ヨナ

どうして...!退いて、私は大丈夫だから...!

ミア

傷1つつけないって約束だもの。それに私は大丈夫よ、打たれ慣れてる。

ヨナ

っ....!

リリ

やめて！やめてぇ！

男

ここで逆らえばこうなることを教えてやる...!!

ブワッ

ミア

......

男

!?

ミア

(...馬鹿ね、殺気の調整には慣れているのよ)

ツバル

せっかく無傷で連れて来たんですよ。その辺で

男

...い、いいだろう....

男

持っているものは全て出せ

ミア

(やはり荷物の没収は王道だな。武器をライに預けて置いてよかった)

男

おい女、仮面も外せ

ミア

御免なさいね。これは私も外したくても外せないのよ

男

嘘をつくな。もう一度打たれたいのか？

ヨナ

ミア....!

ミア

嘘だと思うのなら試してみれば良いのです。さあ仮面を外してご覧なさい。

男

....!

男

ビクともしねぇ.....!

男

おい、これはどういう仕掛けだ！

ミア

外したくても外せないと先程申したではないですか。

ミア

.....まあ、

ミア

人間の顔の中身が見たいと言うのなら...止めませんが

男

.....っ！もういい！

リリ

.....

ヨナ

リリ

リリ

ヨナ...ごめんなさい...!ﾎﾟﾛ

リリ

やっぱり巻き込むんじゃなかった、まさかツバルが

ヨナ

泣かないでリリ、私は大丈夫

ヨナ

ミア、さっき鞭で.....、大丈夫？

ミア

問題ないわ

ミア

リリも、そんなに弱気でどうするのよ

リリ

ミア....

ミア

軽く考えなさい。ある意味お手柄よ

ヨナ

そうよ、私達の目的は何？

リリ

...斉国からの麻薬の流通を潰すこと....

ヨナ

そう

ヨナ

ここはかなり重要な拠点だと思う、しばらく耐えて彼らの目的を探ろう

ミア

....ふっ、泣いている暇なんてないわよ？

リリ

ヨナ...ミア....

リリ

やっぱりあんた達は強いわ

ヨナ

リリが居てくれるからよ

「うぅ、ひでぇ....俺達は怪我人だぞ、こんなボロボロの体でどう働けってんだ」

ヨナ

ねえ

ヨナ

あの人達は怪我人なの、せめて手当を

リリ

ちょ、ヨナ....

男

...分かった、薬を出そう

ヨナ

....

男

お前達も飲め

ミア

ヨナ、間違えても飲まないように

ヨナ

え...?

「なんだこれ酒じゃないか」

ヨナ

...まさか...!

ヨナ

リリだめっ

リリ

きゃ

リリ

どうしたのヨナ

ヨナ

...麻薬よ

ヨナ

皆だめっ、このお酒を飲んじゃ...!この酒は....!

ツバル

心配ないわお嬢さん

ツバル

麻薬はごく少量なら薬にもなる。斉国では合法なの

リリ

麻薬が合法！？

ヨナ

麻薬でボロボロになって行く人を沢山見たわ、麻薬を使って働かせるなんて....

ツバル

それは使い方が悪かったんでしょう？ま、ここでそれをどれだけ飲むかは自己責任だけど

リリ

飲むわけないでしょこんな....!

ツバル

ご勝手に

ツバル

でも....

ツバル

ここでは水の代わりにそれを出すの。こんなカラカラの場所でいつまで耐えられるかしらね

ハク

.....あん時お前がなんの話をしてたのか分かった

ハク

姫さんが連れ去られたのに妙に落ち着いてるし.....ジェハ、お前知ってたろ

キジャ

!!

キジャ

それは....誠か？

ジェハ

.....あぁ、知っていたよ

キジャ

そなた...っ！！

ユン

ジェハ、どうして....!

ゼノ

落ち着け白龍。緑龍にも理由があるはずだから

キジャ

....っ

ハク

.....ミアもいねえってことは一緒に連れ去られたんだろ。あいつとの会話の内容を詳しく教えろ

ジェハ

......

ハク

なんだその顔

ジェハ

いや.....どんな理由だろうとハクには一発殴られる覚悟でいたからさ

ハク

.....姫さん第一のミアが計画したんだろ。あいつがついてんなら、大丈夫だろ。

ハク

それより会話の内容を聞かせろ。

ジェハ

あぁ、

ジェハ

まず、あの時話をした時点で、ミアちゃんは宿の女将ツバルが斉国の商人だと気づいていた

ハク

！

ゼノ

どうやって気づいたんだ？あの時は不審な行動とってなかったのに

ジェハ

彼女曰く、上手く誤魔化してはいるが、染み付いた麻薬の香りが隠しきれていない、と。

キジャ

香り....？全然分からなかったぞ

ジェハ

あぁ、麻薬を飲んだ僕でさえ気が付かなかった

ジェハ

彼女の過去に関係しているそうだが....麻薬の匂いにはライ君も気づいていたみたいだよ

ユン

どうしてすぐ俺たちに言わなかったのかな

ジェハ

...彼女はツバルがリリちゃんを狙ってること、一緒に宿へ戻るヨナちゃんも一緒にどこかへ連れていかれること。それが奴らの拠点だということを予測していた

ジェハ

そこに捕まっている男たちに聞いたところ、ミアちゃんの予想は全て当たっているみたいだ

ハク

...それで？

ジェハ

君達に伝えずまず僕だけに伝えたのは...君達がヨナちゃんの事になると収集がつかなくなるからだ。

ジェハ

それに、君達に言えばミアちゃんらが連れ去られることを反対するだろう？

ハク

そりゃあな。けど反対はお前もするだろ

ジェハ

.....勿論したさ、けどミアちゃんの意思は硬いみたいだったよ

ジェハ

それに、すぐにツバルを捕まえたとして、それでは何も収穫がない。自分達が向こうの拠点に潜り込むことによって、この事件を終わらせようと考えているんだ

ジェハ

これはリリちゃんの思い....水の部族のことを思っての決断だろうね

テトラ

.....

ジェハ

まず、ミアちゃんがヨナちゃんを巻き込むことは普通有り得ない。けど、彼女はヨナちゃんに傷一つつけないと言った。

ジェハ

命を懸けて....守ると

キジャ

っ...!!

キジャ

それではミアはどうなる！！

キジャ

まさか...

ジェハ

大丈夫、ミアちゃんとは生きて会うって約束したから

ジェハ

彼女はこうも言っていたよ、恐らく奴らの拠点では連れ去られた行方不明者達が奴隷として何か働かされていると

ハク

！

ジェハ

それと、彼女の計画には続きがあるよ

ジェハ

鍵はライ君だ。

ハク

そう言えば...奴の姿がさっきから見当たらねぇ

キジャ

あやつもミアから離れるわけがないはず....

ジェハ

多分想像ついてるだろ？

ジェハ

彼が今回の1番重要な役割を持ってる。ミアちゃんは彼が警戒されないよう初めからずっと気配を消し身を隠させていた

ジェハ

彼女らが連れ去られると同時にライ君の尾行も始まる。

ジェハ

今頃砦とやらを見つけている頃だろうよ

ハク

...直ぐに助けにいく

キジャ

それはどこにあるのだ！？

ジェハ

落ち着いて。こいつらの話によると砦は2つあるらしい。ライ君はミアちゃん達が連れていかれた方の砦を見つけているだろう、僕らが追えるように痕跡も残しているはず。

ジェハ

ただ、リリちゃんやヨナちゃんの意思を尊重すると、もうひとつの砦の人々も救うべきだ

ジェハ

手分けをしよう。拠点が2つある所まではミアちゃんも気づいていないようだったし

ハク

...事情は分かった。が、それでもお前がすんなりその計画受け入れるなんて珍しいじゃん

ジェハ

まぁねぇ

ジェハ

最初は怒ったさ、けどあの子の意思は硬いし....

ジェハ

あんな目でおねだりされたら、断れないよ

ハク

つまりそれはハニトラに引っかかったと？

ジェハ

え？

キジャ

とにかく、ライもいるのなら彼女らが危険になることはないな...姫様が心配だが、ミアもついているし

ジェハ

うーん....砦の中にまで手を出せるかは分からないならライ君からの援護は物資以外に期待しない方がいいってミアちゃんが言ってたなあ

キジャ

...直ぐに助けに向かうぞ！！！！

ゼノ

落ち着け落ち着け

シンア

ミア...いるから....大丈夫....

ゼノ

うんうん、まずは2組に分かれよう、それからライが残した痕跡見つけて片方が追いかければいいから

ジェハ

砦を見つけ次第ヨナちゃん達を救出し、機会を見てその砦をぶっ壊す。いいね？

ハク

おう

ジェハ

ユン君、細かいことはこっちも臨機応変で行くけど、暴走しすぎた時は手網よろしくね

ユン

.....頑張る

ジェハ

ハク

ジェハ

黙っていて...悪かったね

ジェハ

彼女らなら、絶対に大丈夫だよ

ハク

.....分かってる

ジェハ

じゃあ行こうゼノ君アユラちゃん

ユン

俺達も行くよ、シンア、キジャ、ハク

ミア

...ヨナ、リリ、話があるわ。今は大人しくしていて。また夜に。

ヨナ

わかったわ

リリ

分かった

リリ

(喉が渇いた.....)

ぐいっ

男

どうした？

リリ

あっ

ミア

！

ヨナ

リリ....!

男

喉が渇いているんだろう？動きが鈍いぞ

男

お前は一滴も酒を飲んでいないらしいな

リリ

.....問題....ない....わ

男

ただでくれてやるってんだ、遠慮せずに...たっぷり飲めよ！

バシャッ

ミア

っ！....(やむを得ないか...！)

ヨナ

リリ！

男

そこ！持ち場に戻れ！

リリ

ﾍﾟｯ

リリ

.....ありがとう、丁度顔を洗いたいと思ってたところよ

男

貴様.....っ

リリ

すっきりしたわ、お陰様で

ヨナ

リリ！

ミア

ごめん...

リリ

平気よ...

リリ

平気...

リリ

ミア、ヨナ。私...腹が立って腹が立って仕方ない

リリ

こんな....っ、人の尊厳を踏みにじるような、卑劣極まりない場所、許されないし許されるなんて思わせたくない

リリ

でも...

リリ

1番腹が立つのは、水が....欲しくて欲しくて

リリ

なんでもいいから少しくらいならって、あの酒を...みっともなく奪って飲んでしまいそうになった私よ.....!

リリ

例え干からびたって屈しないって、思ってたのに、冷たい水の感触にあっという間に折れそうになるなんて...!

リリ

怖い...

ヨナ

リリ

リリ

怖いよ....

ヨナ

リリはみっともなくなんかない、何も間違ってないよ

ミア

(これも...全て私の判断)

ミア

(私のせい)

ミア

ごめんね、リリ、ヨナ。もう少しだけ耐えて。

ミア

私がすぐに何とかするから....

ヨナ

ミア....

―――――――――――――――――

ミア

(ヨナ...外へ出たのね、追うか)

「来い！」

「きゃ」

バキッ！

男

....っ、殺してやる...!

男

死ねぇぇえ！

ドゴッ

ヨナ

！

リリ

！

ミア

.....遅くなってごめん

ミア

証拠はもう十分よ

ミア

今なら見張りも少ないわ。逃げましょう。

リリ

！

ヨナ

このままでは私達...殺されてしまうわ...

ミア

着いてきて

ミア

リリ、ヨナ、大丈夫？

リリ

....へい....き....

ミア

(なるべく近くに、私なら見つけられるような場所)

ミア

.....あった

ミア

少し休みましょう、ここで待っていて。すぐに戻るわ

ヨナ

えぇ、

ヨナ

....たっ、

ヨナ

木の実？ありがとうアオ

ヨナ

何の実だろう、毒ではない.....かな？少しでも水分取れれば....

ヨナ

リリ

リリ

ヨナ....

リリ

わ、私.....人を、殺そうとしたの..

リリ

ミアがいなかったらきっと殺していたわ....私....っ

ヨナ

リリ

ヨナ

大丈夫、今は忘れて...自分のことだけ考えて、

ヨナ

.....

ミア

お待たせ

ミア

とりあえず2人とも、これを飲みなさい

ヨナ

！

リリ

水...?

ミア

えぇ、安全な水よ。

ヨナ

でも、どうして....

ミア

....ごめんね、実は私、こうなることを予想して、いや。確信してた。それでライに頼んであったのよ

リリ

知ってた....のね

ヨナ

そう...なの

ミア

2人を危険な目に遭わせてごめんなさい。けど拠点を見つけるにはどうしても必要だったの。

リリ

...

ミア

2人は私が責任を持って守るわ。傷1つつけさせない。だから、私を信じて着いてきて欲しい。

ヨナ

.....うん、私はミアを信じてるわ。水、ありがとう

リリ

うん....ありがとう....

ヨナ

ところでライは？

ミア

昼間は見張りが多いから...きっと距離を取っているのか見つかって追われているのかも。

ミア

この近くに滞在しているのは間違いない。一応灯水町の方へ向かうつもりだけど.....少し遠いと思うから大変だと思う

リリ

...あんたを信じるわ、信じてる

リリ

ごめんなさい、私、一瞬でも貴方を恨めしいと思ってしまったの....私、最低ね

ミア

気に病まないで...私が悪いのよ。2人を巻き込んで...

ミア

本当にごめんなさい。けど、これだけは約束する。貴方達は生きて無事に帰すわ。命を懸けても。

ヨナ

...私は、ミアのことも大切よ

ミア

！

ミア

.....死なないわ、絶対に

ミア

今日のところはもう寝ましょう、ヨナ、リリ、疲れたでしょう

リリ

っ、、

ミア

ゆっくり、お休み...

ミア

(なんだか....向こう側が騒がしいような気がする)

ミア

....気のせいよね

ヨナ

おはよう、そろそろ移動する？

ミア

えぇ、ずっとここにいても捕まるだけだもの。

ミア

ライはどこにいるのかしら、、彼らの到着もいつになるのか気になるわ

ミア

...もしかして捕虜として潜入？いやまさかね....

リリ

ミア、私達...どうすればいい？

ミア

とりあえず水分ね。これを飲んで

ヨナ

ミアは....?

ミア

昨日夜中の見張りの時に十分飲んだわ

ミア

これは2人のために取っておいたの。多分、ライが色々な位置に物資を隠しているはず。そのうちライにも会えるはずよ

ヨナ

分かった。

ミア

私達は灯水町の方角へ向かう。ここからあっちに真っ直ぐ歩くの。何日かかるか分からないから、少しでも疲れたら言ってね

ヨナ

分かった、行きましょ

リリ

.....っ、

ヨナ

リリ、大丈夫？

ミア

疲れたなら言いなさい、ここで少し休みましょう

リリ

.....ごめん、2人とも、私っ、巻き込んだくせに足でまといで....

ミア

足でまといなんて言ったら許さないわよ。これは私達が決めたことだもの。それに、水の部族を思って動くリリは、すごくかっこいい、尊敬してるわ

リリ

ミア....

ヨナ

....!

ミア

どうしたの？

ヨナ

あ、あっち、斉国の、軍隊が....!

ミア

！

ミア

まさかもう仕掛ける気か....?

リリ

2人共、どうし.....っ....!

ヨナ

リリ！

男

ん？

ミア

走れ！

男

待てっ！

ミア

！

ヨナ

....!あっ...

ミア

ヨナ！

ヨナ

いっ....今ので足を挫いたみたい...

ミア

！私が背負って行くわ。早く乗って

ヨナ

そんな...！ミア達だけでも逃げて！

ミア

ヨナ！私の実力は知っているでしょう？

ミア

早く！

ミア

(まさかこんなに早く気づかれるとは思っていなかった....急がないと)

リリ

ヨナ...!

ミア

...っ

ぐいっ

ヨナ

ミア！

ミア

リリ、走れるわね？ヨナは足を挫いて走れない。私が背負って行くから全力でまっすぐ走って

リリ

分かった....!

ミア

.....っ、はっ、、、

ヨナ

ミア、無理しないで！貴方さっきの矢が....!

ミア

しっ

ミア

黙っておいて、これでも私、貴方達の護衛よ

ヨナ

でも.....っ！

リリ

....あっ...!

ミア

リリ！大丈夫？

リリ

ごめんさい、足でまと.....っ、私、もっ、走れな....

リリ

私の事は置いていって！後で、きっと追いかけるから....!お願い、！

ミア

っ、！

ミア

(足を擦りむいてる.....ここは道が荒いから凄く痛いはず。菌が入っているかも...早く治療しないと)

ミア

.....リリ、ヨナ、しっかり捕まっていて

リリ

え？...

ばっ

ヨナ

ミア！！

リリ

2人抱えるなんて無茶よ！私だけでも置いて....

ミア

私は！

ミア

貴方達2人のどちらも見捨てるつもりは毛頭ない！

ミア

傷1つつけないと言ったのに、結局怪我させてしまったわね...ごめんなさい

ミア

今だけは...お願いだから私の言うことを聞いていて...!

ヨナ

ミア....!

ミア

(とは言ったものの...いくら私でも2人抱えてこの量の兵を振り切るのは難しい。どうしたものか....このままでは私の体力が無くなって終わりだ)

ミア

.....!あれは......!

ミア

(っ、最後の力を振り絞れば......)

ヨナ

!?

バッ

リリ

木の....上....?

ミア

.....っ、ひとまず...ここにいれば見つかることはないでしょう....

ミア

2人とも、働かされた後に歩き詰めで.....疲れていたわよね。無理させてごめん

ミア

2人はここにいて、さっきライの痕跡を見つけたの。多分そのうちこの近くを通ると思うから...その時に声を掛けて

ミア

はいこれ。ライが残していた物資よ。これだけでも1週間は持つでしょう

ヨナ

え.....ミア...貴方は....?

ミア

.....

リリ

冗談じゃないわ！貴方も一緒に帰るんでしょ!?

リリ

何.....考えてるの....!?

ミア

生きて帰るわ、必ず

ミア

2人の血痕が残ってしまっている、私はそれを消しに行くの。

ヨナ

直ぐに、戻って来るよね...?

ミア

勿論よ

ミア

(約束は出来ないけれど)

ミア

(あの量の兵に捜索されたら、いくら木の上でも見つかるかもしれない、そうなれば絶対に木を切り落としあの子たち諸共殺そうとするはず。)

ミア

(...私は囮、ただの囮。もしかしたら砦にジェハ達も来ているかも。)

ミア

血痕の処理は完了ね

男

見つけたぞ！追え！！

ヨナ

ミア！！！

ミア

！

男

上から声がしたぞ!

ミア

!!

ヨナ

ミア、待っ....!

ずるっ

リリ

ヨナ!!

ヨナ

落ちる.....!

ミア

ヨナ！！！

バッ

ヨナ

え......

ミア

怪我はない？

ヨナ

う、ん

ミア

駄目じゃない、リリ1人にしちゃ

リリ

ヨナ.....！

男

脱走者2人だ！捕まえろ！

ミア

(幸いリリはまだバレてない)

ミア

っ、

ミア

(全く...こんな時にばかり纏わりつく...)

ミア

ヨナ、もしもジェハに会ったらこう伝えて欲しいの。

ミア

ヨナ達に傷一つつけないって言ったのに

ミア

約束を守れなくてごめん、って

シュンッ

男

どこへ隠れた！？まだ近くにいるはずだ！探せ！

ヨナ

え...な...ミア....?

ミア

私が時間を稼ぐから、その間にリリと隣の木へ移って

ミア

この木の距離なら貴方達でも行けるはず。怖いかもしれないけど.....頑張って。くれぐれも怪我をしないようにね

ミア

私がまた見つけられるように、印もつけておいてね

ヨナ

待って、ミア、駄目！

ミア

大丈夫よ

ミア

大丈夫

リリ

待っ、て、行かないで...っ！

ミア

大丈夫、ヨナがいるわ

ミア

それに、私があんなのに負けないって、よく知ってるでしょ？

リリ

違っそうじゃない....!

リリ

(なんだか嫌な予感がするのよ....!)

ミア

ヨナ。リリを頼んだわよ

ヨナ

ミア...!

ヨナ

待ってる、待ってるから.....絶対に.....

ヨナ

戻ってきてね.....!

ミア

.......

ミア

バッ

男

居たぞ！捕らえろ！

男

あいつ、足を矢で射抜かれているのになぜ追いつけない....!

ミア

.......ﾋﾟﾀｯ

男

！！手こずらせやがって...奴隷風情が

男

随分と遠くに来ちまったじゃねぇか

男

お前は処刑場行きだ。おい、捕まえろ！

ミア

簡単には捕まらないわよ....

ミア

たかが奴隷風情に翻弄されるお前達は凄く面白いわね。

ミア

(半分...いやもっと減らしてやる。あの子達を守るために、自分で決めたことだから)

ミア

かかってきなさい！

―――――――――――――――――

ヨナ

.....

リリ

....っ、ぐすっ、

ヨナ

(遅い.....ミアの言う通り木は移動したけど....)

ヨナ

(あの兵の量だと時間がかかるのは分かる...だけどあまりに遅すぎる、それにミア一人でのスピードならあいつらを撒くなんて簡単なはずなのに)

ヨナ

(もしかして、矢で射抜かれた足の傷が思っていたよりも深い...?いや、私達2人を抱えて走っていたのも...この高さの木にジャンプしたのも....)

ヨナ

(ライはミアが演技上手だと言っていた、もしミアが怪我を、体調不良を演技で上手く隠していたとしたら....?)

リリ

...ヨナ、大丈夫？

ヨナ

！

ヨナ

うん、大丈夫だよ。なんでもない...

リリ

遅いわね、あの子、まさか捕まったんじゃ....

ヨナ

リリのせいじゃないわ。安心して、それに...ミアなら大丈夫よ、、

ザッ

ヨナ

え.....

リリ

あれ、さっきの兵達じゃない....?

ヨナ

ミア.....は....?

リリ

あの兵の中に姿は見えないわ、

ヨナ

兵が減ってる...戻ってきてると言うことは、もしかしてミア......

男

あれ？

ヨナ

！

リリ

誰....!

ばっ

ヨナ

(私がリリを守らなきゃ....!)

ライ

びっくりした、脱出してたの？

リリ

！あんたは....

ヨナ

ライ.....？

ライ

2人とも、大丈夫か？ミアは？

ヨナ

ミア...は....

リリ

.....っ、ごめんなさい！私のせいで、私が巻き込んだせいで......っ！

ライ

落ち着け、ゆっくり話してくれるか?って、ここじゃ危ないな....

ライ

兵達はもう行った、ひとまず降りて安全な所で話そう。

ライ

.....なるほど、それでミアが連れていかれたかもしれないと...

ヨナ

ごめんなさい、私が怪我なんてするから...私達を助けるために、

ライ

謝んなくていーの

ライ

まぁ、危険は承知の作戦だったからな

リリ

私っ、下の会話を少し聞いてたの...っ！

リリ

早く、早く行かないと...ミアが....！

ライ

ミアが？

リリ

処刑されちゃう...っ！

ライ

...！

ライ

心配要らない、あいつは...

ヨナ

知ってるわ、

ヨナ

ミアが、強いってこと、よく知ってるわ。

ヨナ

けど.....

ドンッ！

ライ

！？なんだっ！？

ゼノ

悪いけど...娘さん達から離れてくれる？

ライ

お前っ

ドッ

ジェハ

.....

ライ

あぶねぇっ！

ジェハ

ふうん、中々素早いね、早くその子達返してくれる？

ヨナ

ジェハ...!

ジェハ

ヨナちゃんリリちゃん無事？今助けるから...

ライ

ちょーっと待てお前ら！！

ゼノ

え？

ジェハ

ん？

ライ

俺だよ俺！ライ！！お前作戦聞いたんじゃなかったのか？まあ大幅に変更はしてるけど！

ライ

つか気配で気づけし！

ゼノ

あ。ごめん

ジェハ

悪い、ついカッとなってしまって☆

ジェハ

はぁ.....無事で本当に良かったよ

ジェハ

あれ、ミアちゃんは....?

ヨナ

ジェ....ハ.....

ジェハ

ヨナちゃん？

ヨナ

ジェハ.....ｯﾎﾟﾛ

ゼノ

！

ヨナ

どうしようミアが....ミアが連れて行かれた...っ！私のせいで...

ヨナ

顔色悪かったの....!足も矢で射られてて....怪我してて....!

ライ

何だって!?

ヨナ

私たちに気づかれないよう演技してたんだと思う....ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ私たちを守るために兵の囮に....!

ヨナ

助けて、ミアが....

ヨナ

ミアが殺されちゃうよぉ....っ

ヨナ

守っ...守れなかった....！

ジェハ

落ち着いて、すぐにミアちゃんを追うから、君はもう休んでいい

リリ

ヨナ....

リリ

(あの子...こんな顔出来たのね)

リリ

ごめんなさい...巻き込んで、本当にごめんなさい

リリ

多分...多分だけど、ミアは砦に来てから1度も水を飲んでない...っ

ヨナ

え......?

リリ

見張り中に飲んだって言うのは嘘よ.....っ、だって、、だって水の量が減っていなかったもの.....!

リリ

自分の分まで私たちに与えてくれたのよ...ﾎﾟﾛ

ジェハ

っ......予想以上に危ない状況かもしれないね

ライ

くっそ.....離れすぎてた...もっと近くにいれば......!

ヨナ

ジェ....ハ....ミア....の...

ジェハ

何だい？

ヨナ

ミアからの...伝言.....傷1つつけないって言ったのに...約束守れなくてごめんって...

ジェハ

！

ジェハ

怪我、したのかい？

ヨナ

違っ...ミアのせいじゃ...ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ...私が...勝手に転んで出来た傷なの.....！ミアはそんな私を庇ってくれて....1人で......っ

ジェハ

うん、分かった、大丈夫だよ...

ゼノ

娘さん、よく頑張ったな

ゼノ

緑龍、娘さんをおぶっていけ。ゼノ走るから

ゼノ

お嬢さんは.....必ず助けるから

ミア

.....

男

よくも手こずらせやがって...生意気な女が！

バシッ！バシッ！

ミア

(....何も感じない、"コレ"には慣れているから。)

ミア

(....ライ、無事に2人を見つけてくれたかしらね、ここにはジェハ達もいないみたいだし。ヨナ達の方へ行っているのか？)

ミア

(ただ1人知っているとしたら....)

ミア

(アユラがここに居る。)

ミア

(気配を感じた...向こうは気づいていないみたい、アユラもわざとここへ来たのかしら)

男

くっそ、こいつなんでこんなに大人しいんだ....!

男

ムカつく女だな....!

バキッ

ミア

っ......

男

おい、こいつがもう動けねえようにお前らもやれ！

男

切れば良いのではないか？

男

まだ殺しちゃ駄目だ。かするくらいなら問題ないだろう

ミア

(.....好きに殴れ。斬れ。それで時間が稼げるならいくらでもやられてやる)

バシッ、ドカッバキッ、

男

っはぁ、はぁ、

男

反応がないのが気に入らねぇがこれでとりあえずは動けねえだろう。こいつは縛って放置しておけ。そのうち上からの命令が来る

―――――――――――――――――

スウォン

奴隷や兵士が...1人もいない...

テトラ

リリ様はどこに.....

ジュンギ

流石に読まれていましたね

スウォン

えぇ、ですがここは進みましょう

ジェハ

もうすぐ砦の近くだ。

ヨナ

ミアいないわ....

ジェハ

この部隊には見当たらないね...

ジェハ

もっと前列にいるのかもしれない、急ごう

ヨナ

えぇ

ジェハ

大丈夫、キジャ君達の気配も近くなってるし、そこにはハクもいる

ジェハ

ミアちゃんは、絶対に殺させないよ

ヨナ

.....うん！

アユラ

砦の奥の広場に奴隷を集めて何を...

男

間もなくクシビ様が到着なさる。平伏してお迎えしろ

ミア

(最高権力者が自ら来てくれるなんて....なんて幸運なのかしら)

男

公開処刑の罪人をここへ

アユラ

(公開処刑....?)

アユラ

！？

アユラ

(あの面...間違いない、ミア様！)

アユラ

(リリ様とヨナ様はどこに...)

男

動くな

男

大人しくしていろ。一緒に公開処刑されたくなければな

アユラ

っ、公開処刑とは、あの少女のこと...?

男

当然だ。脱走したのだからな

クシビ

面倒だ、早く処刑を始めんかい

男

申し訳ありませんクシビ様。今、砦に高華国からの侵入者が....

クシビ

聞いている

クシビ

数人でホツマの砦を陥落させたと

クシビ

どうせ奴隷を取り戻しに来た親族か何かだろう

クシビ

ホツマの評判はガタ落ち、俺はその侵入者の首を刎ねる。我ながら丁度よい時に訪れたものだ

クシビ

早くその侵入者も処刑場へ招き入れろ。手出しは出来まい、奴隷達の命はこちらが握っている

男

罪人、前へ

ミア

(さて...片足の感覚がほとんどない。ここには人質が多すぎて今の私では手に負えない)

ミア

(ハクやジェハ達が到着するまで...何とか時間稼ぎをしなければ)

クシビ

ん？

クシビ

貴様その面はなんだ？荷物検査の時に所持品は全て奪えと命令したが

男

申し訳ありません！何故か取ろうとしてもビクともせず、本人も外せないと言うもので....

ミア

(丁度いい方法があったわね)

クシビ

もう一度外せないか試してみよ。苦しむ顔も見れなければ公開処刑の意味がないでは無いか

男

はい！

男

......っ

ミア

...取れないでしょう、どうやっても

クシビ

何を面程度に手こずっている！どうせ簡単な仕掛けだ！今すぐ外せ！

男

で、ですが...本当にビクともしません！

クシビ

はぁ、がっかりだ。仕方ない、他の奴隷も見せしめにする。

ミア

！！

ミア

この仮面を！外した姿がそんなにみたいのか？

クシビ

ふっ、やっと口を開いたかと思えば何を....罪人の顔が拝めなくて残念と言うだけだ

ミア

(....この場の人間の命を救うことが出来るなら.....)

ミア

.....この面を....

ドッ

男

！この女....!

ミア

(アユラ....!!)

ザシュッ

男

ぎゃぁあ！

ミア

(いけない...兵の目が完全にアユラへ向いている！いくらアユラでも1人では.....!)

男

何をしている早く殺せ！

男

しかしこの女....!

ミア

おい腰抜け共。話は終わりか？

ミア

処刑人である私はまだ死んでないんだけれど。

ミア

あぁ、そうか、お前らは女一人殺すことも出来ない腑抜けだったな...笑

男

この....っ

男

早く殺せ！処刑しろ！！！

アユラ

おやめ下さいミア様！！

アユラ

なぜ抵抗しないのです！早くお逃げ下さい！！

アユラ

ミア様ぁ！！！

スウォン

何か...聞こえませんでした？

スウォン

！

スウォン

下がって！！

クシビ

動くな侵入者

クシビ

動けば百の矢の雨が降り注ぐ

クシビ

ようこそ我が砦へ

クシビ

君達は招かれた

クシビ

今活きのいい少女が一人死ぬところだ。見物して行け

ミア

.....

テトラ

ミア様!?

スウォン

!?

スウォン

(なぜあの子が....!)

シンア

こっち

ユン

わっ、兵士達がいっぱい....砦の奥にこんな広場が...

シンア

！

シンア

ミアが危ない...!!

ユン

どういうこと！？ヨナとリリは！？

キジャ

ミア....!

キジャ

ゼノとジェハの気配もないぞ

ハク

あの馬鹿結局無茶しやがって....

ハク

行くぞ

男

うわあぁあ！

クシビ

何事だ!?

男

わ、分かりません！別方向からの侵入者が....!

クシビ

鎮めろ千人の兵を連れて来たんだぞ！！

アユラ

ミア様...!

テトラ

アユラ！！

ジュンギ

ここにもリリはいないようですね。一体どこに....

スウォン

恐らく、今処刑されようとしているあの少女、前も見た事があります。あの子がリリ様を逃がしたのでは....?

ジュンギ

...リリは無事という事ですか？

スウォン

恐らく、、。いいえ確実に。

スウォン

でも、そうですね...我々は砦を破壊することも目的のひとつ。

スウォン

大人しく招待されてみましたが...きっとクシビ殿はご存知ないでしょう

スウォン

招いたのは高華国四部族長だと言うことを。

スウォン

さて、行きますか

男

侵入者を殺せ！

スウォン

グンテ将軍はあの少女を、ムンドク長老は囚われてる方達をお願いします。テウ将軍は上を

ミア

騒がしい.....ハク達、やっと到着したのかしら

ミア

遅いわね....!?

ミア

(スウォンに四部族長...！？何故ここに....)

ミア

(そうか...リリの救助か...)

ミア

(先にリリを逃がしてしまったことで、余計混乱させてしまったかしら)

ゴッ

男

ぐぶっ

ハク

白蛇

キジャ

む？

ハク

タレ目とゼノの気配は!?

キジャ

よく...分からぬ...少なくともこの広場にはいない

ハク

....そうか

ハク

白蛇、シンア、俺はミアを助けにいく

ハク

ここは頼む

キジャ

それは良いがそなた丸腰ではないか

ハク

お前も丸腰だろ

ハク

こんなバカげた事終わらせて、とっとと姫さん迎えに行くぞ

男

でやあ！

ガッ

男

わわっ

ハク

ちょっと貸して

ドカッ

男

うわっ

男

クシビ様！

男

ここは危険です、安全な所へ移動を....!

クシビ

たかが数人...何故殺せん

クシビ

ええい、小娘を早く吊るせ！奴隷共もだ！！

クシビ

こちらには人質が山程いる....

クシビ

見せしめに1人ずつ殺せ！

ミア

(まずい.....状況が悪化した)

ミア

(もはや挑発では時間は稼げぬか)

ブチッ

ミア

.....

男

この娘...!縄を....!

ミア

っ....ライの荷物から武器を取ってきて置いて正解だったわ

ミア

(意識が朦朧としている....恐らく貧血だわ。1人で全員を相手となると難しいけれど...これで少しくらいは....)

ハク

縄を解いてる...大丈夫そうだな

ミア

ハク！キジャ！人質達の救出を最優先に行え！ここは私が何とかする！

ハク

分かった！

ミア

さて.....もう片足の感覚はないわ。どう切り抜けようかしら...

男

早く吊るせ！たかが女だ！

バキッ、ザシュッ

ミア

....っ流石にキリがないな...

ミア

おいお前ら！呆けている場合では無い！死にたくなければ動け！！ここから離れなさい！！

「ひっ......」

ミア

(ハクとキジャが人質を直ぐに避難させるはず....四部族長が兵を相手にしているから....)

男

うぉおぉお！

バキッ

ミア

っ、！

ハク

(様子がおかしい？いつものあいつなら今頃処刑台に立ってた兵くらいは倒してるはず)

キジャ

(何だ、、この悪寒は....)

ムンドク

(何だ...これは)

ムンドク

(会ったことも話したこともない少女だが.....絶対に失っては行けないと心が叫んでいる！)

グンテ

くそ、どけぇ！

シンア

ジェハ....!!

ヨナ

あっ.....あれ！ジェハ！

ジェハ

ミアちゃん....!

ハク

！危ねぇ！！

ミア

！

ドカッ

ミア

げほっげほっ、

男

っはは、どこまでも手こずらせやがって....!

男

お前だけでも絶対に殺してやる！！

ハク

(しくじった...!処刑台に立たされている時点で最優先で救助すべきだった...あのままじゃあいつは....!)

ミア

ここまでか.....、

ミア

ヨナ...キジャ...約束...守れなかったらごめんね

ハク

(何だ....この感じ.....あいつを、絶対に死なせちゃ行けねぇ)

リリ

ミア！！！

テトラ

リリ様...!!

ジュンギ

リリ...!?お前無事で....!

リリ

テトラ！お願いミアを助けて、誰かっ！！

リリ

ミアは私達の代わりに......!!!

ライ

ミア.......？

ライ

ミ.....ア......っ、！

「少女が！！間に合わない...!」

スウォン

！

スウォン

ジュンギ将軍お借りします

ジュンギ

えっ

ジュンギ

陛下何を...!

スウォン

("2度"もあの人を失いたくない....!)

ジュド

まさか陛下弓で...!ここからは届きません！

ジュド

届いたとしても....!

スウォン

(ギリギリ届く)

スウォン

(ただ、届いたとしても....)

スウォン

(受け止めないと、誰か...誰かが....!)

ハク

.....！？

クシビ

吊るせぇぇぇぇえ！！

ヨナ

ミアぁ!!!!!

リリ

誰か!!!!!!!

ガッ

ミア

スウォン...流石の腕.....

ハク

っ.......!!!!

ガッ

スウォン

はっ....はぁっ......

ハク

っ.....

リリ

ミア.....生き.....生きてる.....!

リリ

良かっ...た....ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

キジャ

な...何だ？何が起こった！？

シンア

ハクが.....っ、ミアを、助けた.....

キジャ

!!!!

キジャ

っ、良かっ...た....

ジェハ

っほんとに、ハラハラさせてくれる....っ

ジェハ

見えた？ヨナちゃん

ジェハ

ハクがミアちゃんを助けたよ

ジェハ

...ヨナちゃん？大丈夫？

ヨナ

っ..........ﾎﾟﾛ

ミア

...あ.....ハク.....

ハク

あんた、なんて無茶しやがる！

ミア

ごめ.....ヨナ.....巻き込ん...で...

ミア

傷一つつけないって...言ったのに....

ミア

約束.....守れなかっ...

ハク

そこじゃねぇっつの！！！

ハク

お前、今死にそうだったの自覚してんのか!?!?

ミア

大....丈夫....私は.....

ハク

どこが.....大丈夫なんだよ......っ

スウォン

生きてる......、良かった....

ミア

っげほっ、こほっ、

ミア

ハク、私はもう平気.....今はクシビを.....

ハク

何が平気だ！お前はもう休んでろ！

ミア

...!

ばっ

ハク

！

男

動くな

ミア

悪いけど...言うこと、聞けそうにないわね...

男

助けたつもりだろうが残念だったな

男

武器も無しにこんな所まで

ミア

黙れ無能が。私が相手になってやる。

ミア

(せめてハクが武器を取りに行ける時間を稼がなくては...)

男

このっ...死に損ないが！！

ザシュッ！

男

ぎゃああ！

ミア

！

ミア

(土の部族の...グンテ)

グンテ

.....

グンテ

手負いだろ、下がってな、嬢ちゃん

ミア

！いや.....私は.....

クシビ

....こ

クシビ

殺せ！！あいつらを、今すぐ！！

クシビ

処刑台の下だ！全兵士に命ずる！！

ミア

！

ミア

ハクっ....私はいいから武器を....

ハク

あんたは休んでてくださいよ

ミア

見くびられては困るな。私だってまだ闘える。やられっぱなしで終われるものか。

ハク

ほんっと...あんたらは....

グワッ

ムンドク

....

ミア

...ムンドク(((ﾎﾞｿ

ムンドク

！

男

こ...このじじいが....!

グンテ

おいお前！重症なんだからあまり動くな....

ミア

......

グンテ

(何だこの気配は)

グンテ

(この娘、誰かに.....)

ミア

グンテ将軍、ムンドク長老。助けて下さりありがとうございます。

ミア

.....けれど、私にもケジメというものがございますので...止めないで頂きたい

グンテ

(この圧....果たして16歳程の少女に出せるものだろうか)

ムンドク

.....勝手にせい

ムンドク

わしも暴れるからな！！

テトラ

はっ！！

アユラ

ミア様っ...お助け出来ず申し訳ございません....!

ミア

私のことは気にしなくて良い。リリはあっちにいる。精神的にもあの子は苦痛を受けているでしょうから、貴方達が支えるのよ。

テトラ

！っ、はい....

アユラ

本当に、ありがとうございます

ムンドク

おい、どこの小僧かはしらんが、我々の作戦に貢献した事、感謝する

ハク

....なんだ

ハク

お偉いさんでしたか、こりゃ謝礼金が期待出来るなァ

ムンドク

飴をやろう

グンテ

奴隷は巻き込まれんうちに去れ

ミア

そう言われても、

ハク

こんなに囲まれちゃあねー

グンテ

是非もない

グンテ

とっとと片付けるぞ！

ジェハ

やあ

ジェハ

久しぶり

ハク

タレ目

ジェハ

こっち随分盛り上がってるみたいだね

ジェハ

彼女は無事だよ

ジェハ

ミアちゃんが彼女らを逃がしてくれて....

ぎゅっ

ミア

ハク....？

ジェハ

んん？え？って、あ！ミアちゃん！

ジェハ

君、なんて無茶するんだい！？心臓が押し潰されそうな思いだったよ

ミア

ジェハ...ごめんね、でも生きてるから結果オーライでしょ。

ミア

それに、まだ終わっちゃ居ないわよ。

ジェハ

君、その体で闘うつもりかい？

ミア

止めようとしたって無駄よ。こんな胸糞悪い集団は生かしておかないわ。

ミア

.....せっかくお偉いさん直々に見て下さっているんだもの。目にものを見せてやる。

ジェハ

.....無理矢理にでも捕まえておきたくなるねえ

ジェハ

しょうがないから僕も手伝うよ

男

うわぁぁああ！

男

ぎゃあっ！

グンテ

(この娘...強い)

ムンドク

なかなかやるのぉ若いのが

クシビ

おい.....誰か....いるか

男

はい、クシビ様

クシビ

目の前が.....急に、晴れてきたぞ

クシビ

先刻までここを埋めつくしていた....

クシビ

どこに行った....?

男

クシビ様....うっ、！

ミア

動くな。

ミア

(ここからは彼の仕事ね。私は離れておこう)

クシビ

き...貴様....全て貴様のせいだ

ミア

....

クシビ

女のくせに...奴隷のくせに.....そこまでの傷を負っていながら....

クシビ

何故まだ生きている......！

クシビ

貴様さえ.....貴様さえ居なければ....!!

ミア

(自分から連れ去って来たのにどこまでも勝手な)

ミア

.....

ぐいっ

ミア

!?

スウォン

...クシビ殿、ですよね？

ミア

(斬りかかって来た人間の間に急に入るなんて...)

ミア

ちょっと、危な

ぎゅうっ....

ミア

!

ミア

......

クシビ

いかにも...俺が...クシビだ

クシビ

お前は...何者だ

スウォン

高華国国王、スウォンと申します。

ミア

(貴方はもしかして.....私の事を、覚えているのかしら)

ミア

(緋龍王の末裔だから.....？でも、確かに全員の記憶を...)

ミア

(覚えているとしたら.....もしかして貴方はあの日のことも......)

スウォン

━ん

スウォン

お嬢さん

ミア

！

スウォン

...大丈夫ですか？ぼーっとしていたようですが...

スウォン

酷い怪我ですね...

ミア

...ぁ

ミア

私は、問題ないわ、そんなことより、水の部族の捕虜は....

スウォン

彼らは解放されました

ミア

そ....う

ミア

っ、((ｸﾗｯ

スウォン

！ｶﾞｼｯ

グンテ

その娘、血を流し過ぎてるな。急いで手当しないと危ない。

ムンドク

.....

グンテ

...陛下、この娘は何者です？

スウォン

！

スウォン

...いえ、知らない子です。

グンテ

....(知らない子。にしちゃあ.....)

グンテ

(大切そうに抱えてたけどな)

スウォン

お嬢さん、歩けますか？

ミア

ス...ウォン.....貴方は何故.....(((ﾎﾞｿ

スウォン

！！

スウォン

......あちらのお仲間の所まで、1人で行けますか？

ミア

問題ないと...言っている

ミア

貴方はやるべきことがまだ多い。私なんぞに構わなくて良いのです。

ミア

1人で...歩けますから。

スウォン

.....お気をつけて

ｽｯ…

ジュド

━━お待ち下さい。

ジュド

このままあの男を帰すおつもりか？

ジュド

次は斬ると、貴方は仰ったではないですか

ジュド

....っ(ｻﾞｯ

スウォン

ジュド将軍....!

ミア

....

グンテ

おい

グンテ

闘いは終わったぞ。何を殺気立っている

ジュド

...お前こそ何を寝ぼけている。最も警戒すべき男がそこにいるんだぞ

グンテ

......

グンテ

...今回の計画に手を貸してくれた。お前の立場も分かるが今日のところは....

ジュド

加勢する気がないなら黙っていろ！ジュンギ将軍の娘とこの話は関係ない！

グンテ

そうはいくか

グンテ

あいつの助けがなかったら今頃...

ジュド

お前は知らんのだ!!雷獣の恐ろしさを!!

ジュド

あれはいずれ陛下の命を脅かす!!

ジュド

そうなる前に何としても殺さねばならんのだ!!

ジュド

一時の馴れ合いで....

スウォン

.....ジュ...

ミア

ジュド将軍。

ジュド

！

ムンドク

！

ジュド

退け娘！お前もあいつらの仲間か!

ミア

退くのはお前だジュド。剣を向ける相手を間違えているだろう。

ミア

視野が狭すぎる。陛下の事を考えるのならお前はもっと行動に気をつけた方が良い。

ミア

.....それでも殺したいと言うのなら、まず私が相手になろう。

ハク

...!

スウォン

なっ....

ジュド

(何だ...この気配...っ、何故...)

ミア

どうした。手負いの娘1人だぞ。躊躇うことあるまい

ジュド

(何故...抗えない....)

グンテ

(この娘.....やはり....)

ムンドク

(..........そうか)

スウォン

.....向こうを見て下さい。彼らと正面きって戦えば、貴方も私も命はありませんよ

スウォン

クシビと斉国の兵士もいます。今はこの件の処理が先です。

ジュド

.....っ

グンテ

...誰だ？あいつらは

スウォン

四龍の戦士らしいですよ

グンテ

は....?

ミア

.....ふぅ、

リリ

ミア！！！

ミア

わっ

ミア

リリ...？無事で良かったわ、あの後ライに会えたのね、今回は巻き込んでしまって本当に....

リリ

馬鹿！！！！

リリ

怪我してるのに、水飲んでないのに...囮になったりして....!

リリ

心配したんだから！！

ミア

....ふふっ

ミア

ごめんリリ

ミア

ジュンギが貴方を待っているわ。早く行ってあげなさい

リリ

うん、そうね.....無理しないでね！！

ミア

うん

リリ

...？(それにしても、どうしてあの子...)

リリ

(父上を呼び捨てしているのかしら...)

ハク

姫さん、俺は大丈夫ですよ

ヨナ

.....うん

シンア

ヨナ、ミア、あの人達が見てる

ミア

(ムンドク...)

ハク

リリの救出に駆り出されたらしい

ミア

.....元気そうで良かった(((ﾎﾞｿ

ヨナ

ミア....

ミア

ヨナ

ミア

...ごめんね？でも、約束通り。生きてまた会えたよ

ミア

...ヨナ？

ヨナ

危なかったじゃない.....、ミアと、二度と会えなくなるかもって....不安になったんだから....

ミア

.....大丈夫よ、心配性ね、ヨナは

ミア

大丈夫よ、、今は....

ライ

ミアー！！！

ミア

ゔっ、

ミア

強く...抱きしめすぎよ...!私これでも怪我をして...

ライ

遅くなってごめん....!!!ごめんな....!

ミア

...大丈夫大丈夫

ミア

ライの物資のおかげで助かったのよ？

ミア

私がそう命令したんだもの。ライは悪くない

キジャ

にしても...そなた無茶をしすぎだぞ！

ジェハ

本当に...心臓がいくつあっても足りないよ

シンア

...ミア....

ミア

どうしたの？シンア

ミア

お腹でも空いた？笑

ユン

もうっ！治療するから怪我見せてよね....!

ゼノ

娘さんただいまぁぁぁあ！

ヨナ

おかえりなさい！

ミア

ゼノ...

キジャ

ゼノ、ご苦労だったな

ユン

あ！ゼノ血だらけ！

ミア

また無茶をして....

ゼノ

お嬢さんも人のこと言えないからね!?

ユン

ったくもう！次から次へと....

ヨナ

私が危険だと思って飛んできてくれたのよ

ジェハ

飛んだというか落ちたというか

ゼノ

これでも服には気をつけ....

むぎゅー

ゼノ

う？

ゼノ

お？

ゼノ

お？

ゼノ

なんだなんだ兄ちゃん！?

ハク

ご褒美

ゼノ

ふはっ、これご褒美？わーいって、兄ちゃん苦しいから

ミア

...ふっ、

ミア

全員大した怪我なく終わって...良かったわ....

キジャ

！

ガシッ

キジャ

酷い怪我だ....!

ハク

！

ミア

......

ユン

ミア！

ヨナ

ミア....!

ヨナ

ユン、ミア、私とリリを守るために無理して....、足に矢が直撃していたの、出血が多いはず....

キジャ

っ......

ハク

.....顔に大量の痣...

ライ

あんの野郎共...やりやがったな....

ジェハ

女の子の顔に傷をつけるなんて....

ライ

やっぱ俺も闘い参戦すればよかった

ユン

早く治療しないと危ない！

ミア

........て....

ユン

？なんて!?

ミア

...た.....す.....

ミア

け......

ハク

！

ヨナ

!?

ヨナ

っ.....

ジェハ

.....

キジャ

.....

ライ

...ヨナちゃん、安心してくれ。今回のことじゃない

ライ

きっと昔を思い出したんだろう、ヨナちゃんのせいじゃない

ミア

......

ユン

っ、早く、治療しよう