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大翔の部屋にて 時計の針が、夜の9時を指していた。 漫画は読み終わり、たこ焼きの皿も空になっている。 部屋の中は静かで、テレビの音も消えていた。 二人は並んで座ったまま、何も話さずに過ごしていた。
颯真が、ふと立ち上がる。
颯真
その言葉に、大翔の心臓が、少しだけ跳ねた。
大翔
声は平静を装っていたけど、どこかぎこちない。 颯真はカバンを手に取って、玄関へ向かおうとする。 その背中を見ながら、大翔は言葉を探していた。
大翔
颯真が振り返る。
颯真
大翔
颯真
大翔
颯真は、少しだけ笑う。
颯真
大翔
颯真
二人は笑う。でも、大翔の笑顔の奥には、少しだけ寂しさが混じっていた。
颯真が靴を履きながら言う。
颯真
その言葉に、大翔の胸がじんわりと熱くなる。
大翔
颯真は、少しだけ目を見開いて、それから顔をそむける。
颯真
大翔
玄関のドアが開く。 夜の風が、ふたりの間を通り抜ける。
颯真
大翔
颯真が外に出て、ドアが静かに閉まる。 その音が、大翔の胸にぽつんと響いた。
部屋に戻って、ベッドに倒れ込む。
ベッドに倒れ込んだ大翔は、天井を見つめていた。 部屋の静けさが、さっきまでの笑い声をかき消していく。
大翔
その言葉が、胸の奥でじわじわと熱を帯びていく。 ソースの匂いも、漫画の余韻も、全部が“颯真といた時間”を思い出させる。
大翔
大翔は跳ね起きて、玄関へ向かって駆け出す。 靴もちゃんと履かずに、ドアを開けて外へ飛び出した。 夜風が頬を打つ。 でも、そんなこと気にしていられない。
大翔
声が夜に響く。 住宅街の静けさの中、大翔は走る。 颯真が帰る道は、いつも決まっている。 その道を、ただまっすぐに。
角を曲がった先に、見慣れた背中があった。
大翔
颯真が振り返る。 驚いた顔。すぐに眉をひそめる。
颯真
大翔は、息を切らしながら言う。
大翔
沈黙が流れる。夜風が、ふたりの間を通り抜ける。
大翔
颯真は、何も言わずに大翔を見つめる。その目の奥に、何かが揺れていた。
颯真
大翔
颯真は、少しだけ目をそらして、ため息をつく。
颯真
大翔
颯真
大翔は、目を見開いて、それから笑った。
大翔
二人は並んで夜の道を、ゆっくりと歩き出す。 その距離は、もう誰にも測れないほど近くなっていた。