太宰治
太宰治
太宰はそう言いながら、鏡花の肩を抱く。
アバドン
アバドンは中原の顔で不気味に微笑んだ。
太宰治
太宰治
泉鏡花
鏡花がぽつりとつぶやく。
太宰はこくんと首を縦に振って、
太宰治
太宰治
太宰治
その言葉を聞いて、アバドンは心から愉快そうに大きな声で笑った。
アバドン
アバドン
アバドン
アバドン
声が響き渡る。
地面をぐらぐら揺するような大きな笑い声に
鏡花が驚いて硬直していた。
アバドン
アバドン
止んだかと思うと、アバドンはいきなり太宰を指差し睨んだ。
太宰治
アバドン
アバドン
アバドン
アバドン
太宰治
元はといえば、この悪魔を呼んだのは他でもない。
“兄”ではなく、“シュウジ”なのであった。
津島修治
兄が苦しそうに息をする。
顔が赤くて、汗をぐっしょりかいて、
顔をしかめてベッドの上に横たわっている。
フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
津島修治
細くて冷たくてか弱くて頼りない手が
シュウジの頭の上に乗る。
まるで死人のようだった。
それがあまりにも耐えがたくて、
苦しくて、
祈るように兄にこう言った。
津島修治
フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
津島修治
津島修治
兄は心底信じられないといった顔をした。
フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
津島修治
津島修治
津島修治
津島修治
涙が溢れて、視界がぼやけてくる。
そして重力に耐えきれなくなったしずくが
頰をぽろりと伝って、シーツに落ちる。
フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
消え入るような声だったが、きちんと聞こえた。
そのあとすぐ、
フョードル・ドストエフスキー(幼少期)
といつもの調子で笑った。
だから、あの言葉は兄の本心なのだと、思った。
青白くなった唇を見て、悲しくなった。
だがしかし。
不思議なことに兄の容体はみるみるうちに良くなり、
ついには満足に走ったり、勉強することができるようになった。
だから、シュウジは自身の願いが叶ったのだと思い、
嬉しくて嬉しくて気分が舞い上がった。
神様がちゃんと兄を守ってよくしてくださったのだと、
本気で思っていた。
のに。
コメント
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羊右さんってあれだ。ちょい昔にTikTokで流行ってた黒子のバスケの「10年に1人の天才が5人同時にいた世代は奇跡の世代と言われている。」の音源にめちゃくちゃぴったりだ。 私の語彙力の無い文章ではこれぐらいしか賛辞は出来ないんですけど、 本当にそれくらい凄いです。 私が言える言葉の中で最上級の褒め言葉です✨